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子供と犬を守るために

乳児とゴールデンレトリバーの事故を考える


ドッグコーチ 里見 潤 さん


ゴールデンレトリバーが生後10ヶ月の女児を咬み、亡くなった事故は多くの記事にもなり、噛んだ原因は何だったのか語られています。
 
・普段は別に暮らす女児を群の対象外と認識した
・飼い主との順位付け不十分による縄張り意識から
・飼い主の愛情が女児へ向かったことによるヤキモチがきっかけ
・遊びが本気になり興奮からの行動
・おもちゃか食べ物が近くにあり、それを護ろうとして
・ハイハイをする女児を強く怖がり追い詰められて
・ハイハイをする女児を獲物と捉えての狩猟本能から
 
その時の状況も飼い主も犬も、皆それぞれ違うので、どの可能性も考えられます。
では、痛ましい事故を起こさないためにどうすればいいのか。
噛んだ原因を探す以外にも、できる事があると思います。
 
犬は、幼児や子供の急な動きや甲高い声、読めない行動、大人とは違う見慣れない動きを怖いと感じたり、逆に本能的に興奮することもある動物です。
 
犬を幼児や子供と一緒に居させる時は、飼い主が側で見守り、犬がどんな気持ちになり、どう反応するかを注意深く観察する。
幼児に対して、緊張や不安、怖さを感じている様子があればお互いを離し、犬を守る。
狩猟本能とみられる反応を示すなら、間に入り犬を制止する。
側を離れる時・見守れない時は、クレートやゲージなど犬が安心できる場所に入れる。
また、犬がどう反応するか分からない・間に入り対応する自信が持てない時は、会わせない選択を取ることも必要です。
 
犬の立場から犬の気持ちを考えられれば、兆候を見逃さず、噛む行動が出る幾つも前の段階で間に入れて、未然に防げる可能性が高くなる。
それが、幼児と犬のどちらをも守ることに繋がるのではないでしょうか。
 
側に居てもスマホや携帯、話すことなどに夢中になって犬の様子や状態を観てなかったり、「クレートやゲージに入れるのは可哀想だから」「普段は穏やかで大人しいから大丈夫」というのは、人の都合です。
 
このように考えるようになったのは、私自身似たような怖さや失敗を経験した事があるからです。
保護した犬を自宅に連れてくる時、愛犬と保護犬がお互いどう反応するか・・予測はできても、全ては分かりません。
仕事の作業や電話でちょっと目を離していた間に、トイレに行って見ていない時に、犬同士の喧嘩になりかけた事がありました。
 
   「まさか」
   「今までそんなことなかったのに」
   「ちょっと目を離しただけなのに」
   「トイレの間ぐらいなら」
 
自分が「大丈夫だろう」という先入観で、犬と関わっていたと気付かされました。
そして、「犬が予期しない反応をするかもしれない」と考えながら関わることが、必要だと痛感しました。

 
それでも、時間が過ぎれば忘れていく人間です。
その後にも、気のゆるみからヒヤッとしたこともありました。
だから私は、都度思い返すように心掛けます。
 
安全を管理することは、
犬同士でも幼児や子供が対象でも同じ

 
私は、そう思います。
 
ご家族の辛さは、想像を絶します。
同じ立場にならなければ本当の辛さは分からない。
亡くなられた女児のご冥福を祈ります。
やり場のない痛ましい事件はできる限り防ぎたい。
 

 
犬の側で、犬を観察し・犬の気持ちを考え・見守り続けることは、私たちの意識次第で今すぐ始められることです。
子供と犬を守ってあげられるのは、親や飼い主、大人にしかできないのだから。

2017年4月14日掲載

 

連載 『子供と犬を守るために
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    里見 潤 (ドッグコーチ) 

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員
 
保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com
 

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