殺処分ゼロを目指して
~「ちばわん」の活動から~
~「ちばわん」の活動から~
第1回 動物愛護団体って?
家族としてペットを迎え入れようと考えたとき、皆さんはどうしますか? 日本では、現在、あらゆる方法でペットを手に入れることができます。ブリーダーと直接交渉するという手段もありますし、驚くことにネット販売されている動物も多数見受けられます。いちばん一般的なのはペットショップから購入する方法でしょうか。
ペット先進国といわれる欧米では、生体を店頭販売する、いわゆる”ペットショップ”は存在さえしない国も少なくありません。ペット関連のお店といえば、主に物品のみ扱うお店だけです。なぜでしょうか? 欧米ではペットの権利が保障されており、法律で飼育環境が細かく規定されています。生涯で出産させることが可能な回数や間隔、ケージの広さ、温度、清潔であることに加え、照明の明るさなども細かく決められているため、その経費を計上すれば利益は見込めないからです。
では、かの国の人たちはどのような方法でペットを迎えるのでしょう? 多くの人たちが選択肢の最初に考えるのが、動物愛護団体から譲渡してもらうという方法です。愛護団体は、飼い主のいなくなった犬や猫を保護し、法律にのっとって適切に飼育し、新しく家族になってくれる人を探しています。でも、動物を飼いたいという人には無条件で差し出すというわけではありません。終生家族の一員として愛情を注いでくれるか、病気の予防や治療に努めてくれるかを見極め、条件にかなうと認められた場合のみ譲渡を受けることができます。
ペットを飼う側にも心構えが求められます。基本的に室内で飼うことが推奨されており、外飼いの場合は相応の広さの小屋を用意することはもちろん、床暖房を施すことが義務付けられている場合もあるようです。ドイツでは犬を飼う人には犬税が課せられ、本当に犬が好きで、税金のほか、予防接種や適切な病気の治療などの経済的負担を覚悟してでも一緒に暮らしたい、という人だけが犬を飼うことを許されています。
最近日本でもそのような活動を展開している団体が増えてきました。そしてそれを支持する人たちも。ただ残念なことに、まだまだ社会的な認知度が高いとはいえません。今回は、多くの人にその存在を知っていただくために、愛護団体のひとつ 「ちばわん」 をご紹介します。
「ちばわん」 は2002年に、数人のボランティア仲間が集まって始まりました。現在、日本では犬や猫の捕獲収容件数が非常に多く、その多くは法律に基づいて殺処分されてしまう運命にあります。 「ちばわん」 は、主に千葉県動物愛護センターに、飼い主によって持ち込まれたり、あるいはさまよっているところを捕獲され収容されている犬猫を一匹でも多く助けるために、それら犬猫の新しい飼い主を探す活動をしています。活動に参加している人たちは全員ボランティア。
「ちばわん」 の趣旨に賛同し、自ら手を挙げて下さった方々で運営されています。 「ちばわん」 の趣旨は 「1. 繁殖に反対しています」「 2. 不妊・去勢手術の推進をしています」 「3. 行き場のない犬猫の家族探しをしています」 という三本柱。日本ではまだ、欧米のように動物の立場に立った法律が整備されていないのが現状です。「ならば一般の人々の意識を変えていこう。それが結局は近道だ」という認識に立って活動を続けています。
次回からは、「ちばわん」代表の扇田桂代さんにお話を伺いながら日本のペットを取り巻く環境や、ペットと共生するために私たちにできることについて考えていきたいと思います。
Copyright © GORON by ペット共生アドバンスネット All rights reserved.