春から秋にかけて特に活発になる「マダニ」。
散歩中の犬に付くイメージが強いかもしれませんが、実は猫にもマダニ感染症のリスクがあることをご存知でしょうか?
マダニに感染した猫から感染したと思われる人の死亡事故が報告されています。
2025年6月13日に朝日新聞に掲載された記事
「ネコ治療した獣医師死亡、マダニ感染症疑い 獣医師会が注意呼びかけ」
マダニを通じてウイルスが哺乳類に感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、感染したネコの治療にあたっていた獣医師が死亡していたことが、わかった。獣医師も感染していた疑いがあるという。
詳しくは下記URLより
https://www.asahi.com/articles/AST6D3CL9T6DUTFL004M.html
外に出る猫や、ベランダや庭などに出る機会のある猫は注意が必要です。
マダニはわずかな隙間や草むらに潜み、知らない間に猫の体に取りつき、血を吸うだけでなく重篤な感染症を引き起こす可能性もあるのです。
本記事では、猫がマダニから受ける影響や予防の重要性について、飼い主として知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
■ 猫に付くマダニとは?どこからやってくる?
マダニは、山林や草むらだけでなく、公園・庭先・ベランダの植木鉢周辺など、意外な場所にも潜んでいます。
寄生されやすいのは、外出する猫ですが、完全室内飼いの猫でも、飼い主の衣服や靴に付着して家の中に入り込むこともあるため、「うちは室内飼いだから大丈夫」と油断はできません。
マダニは動物の体に取りつくと皮膚に口を差し込んで数日かけて血を吸います。吸血中は目視でも確認できる大きさになりますが、最初はゴマ粒程度と非常に小さく、気づかれにくいのが特徴です。
■ 猫がマダニに刺されるとどうなる?
マダニによる猫への影響は多岐にわたります。以下は代表的な症状やリスクです。
1. 皮膚炎・かゆみ・腫れ
刺された部分が赤く腫れたり、かゆみを伴ったりします。掻き壊して二次感染を引き起こすことも。
2. 貧血
大量のマダニに吸血されると、体が小さな猫では貧血を起こすこともあります。とくに子猫や高齢猫は注意が必要です。
3. 感染症の媒介
マダニは吸血と同時にさまざまな病原体を体内に送り込む可能性があります。猫に関連する重大な感染症には、以下のようなものがあります。
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ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)
猫の赤血球に感染し、貧血や元気消失、食欲不振などを引き起こします。重症化すると命に関わることも。 -
バベシア症
猫での発症はまれですが、赤血球を破壊して重度の貧血を引き起こします。発熱・元気消失・黄疸などの症状が出ることも。 -
日本紅斑熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)
ヒトへの感染リスクが知られていますが、近年は猫からヒトへ感染した例も報告されており、飼い主への健康被害も無視できません。
■ こんなサインは要注意!
猫がマダニに刺されたり、感染症を発症した場合、次のような症状が現れることがあります。
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元気がなくなる
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発熱
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食欲が落ちる
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皮膚をしきりに舐めたり掻いたりする
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被毛の中に黒や茶色の小さな虫が見える
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顔や耳のまわり、首まわりに腫れやしこりがある
これらのサインが見られたら、自己判断せず、すぐに動物病院を受診しましょう。
■ マダニから猫を守るためにできること
1. 予防薬の使用
もっとも効果的なのが、獣医師から処方されるマダニ予防薬(スポットタイプや飲み薬など)の使用です。月1回の投与で多くのマダニを駆除・予防できます。
2. 外出後のチェック
外に出る猫や、ベランダによく出る猫には、帰宅後に体をチェックしてあげましょう。首の後ろ、耳の後ろ、目の周囲、足の付け根などはマダニが付きやすい部位です。
3. 室内の清掃と環境管理
飼い主の靴や服にもマダニが付着している可能性があるため、こまめな掃除と換気、衣類の管理も大切です。
4. 草むらへの立ち入りを避ける
特に春から秋のマダニが活発な時期は、草むらや雑木林への接近は控えましょう。
■ 最後に:マダニを「甘く見ない」ことが命を守るカギ
マダニは小さな存在ですが、時に猫や人間の命に関わる感染症を引き起こすことがあります。
とくに気温が高くなる季節は、マダニの活動がピークを迎えるため、早めの予防対策が重要です。
「うちの子は大丈夫」と思わず、定期的なチェックと予防を習慣にすることが、愛猫の健康と、飼い主の安心につながります。
































