「活動初期は、活動資金は全て会員たちによる持ち出しでした。7年を超える活動で、少しずつ募金が集まるようになったところです。でも、不幸な犬猫を減らすための活動に充分な資金とは言えません。」
そう語るのは、東京都足立区竹ノ塚で野良猫、捨て猫の保護、避妊・去勢や里親探しをしている竹ノ塚里親の会の神戸(かんべ)代表です。ボランティアスタッフが活動の主体となっている非営利のNPO団体・竹ノ塚里親の会は、寄付、募金活動で、この会を運営しています。
今日は、代表の神戸さんと会員の堀川さんにお話をうかがいました。
活動の概要 |
-週二回の里親会-
竹ノ塚里親の会は、東武伊勢崎線の竹ノ塚東口と西新井駅にあるアリオ前の歩道で、里親募集の会を毎週火・土日祝日のいずれかに実施しています。
この活動には警察の許可が必要で、1日の使用料が数千円かかり、年間でもかなりの金額にのぼります。募金・寄付などの収入は活動を行うのには充分でなく、今でも持ち出しで活動を続けています。
会に集まったお金は猫たちの避妊手術の費用や、保護猫の状態が思わしくなければ医療費に、活用しています。
資金繰りという面では厳しい状況といえますが、多くの方々の支えによって運営を続けています。
竹ノ塚里親の会の様子
-地域猫活動とTNR-
竹ノ塚里親の会では、小動物を捕まえる捕獲箱を所有しています。この捕獲箱を用いて、飼い主のいない猫を捕まえ、病院へ連れて行き、避妊去勢の手術を受けさせてリリースすることを続けています。これを地域猫活動における「TNR」といいます。この3文字は、T=Trap(捕獲)、N=Neuter(避妊手術)、R=Release(元に戻す)という一連の活動の流れを表しています。
猫は、保健所による捕獲義務のない動物です。その代わりに去勢や避妊の助成を行っている自治体が多くあります。足立区では、オス猫の去勢に2000円、メス猫の避妊に4000円の助成金制度を設けています。
-里親探しの活動-
当会では、保護猫の里親を探す活動もしています。里親の候補者には、まずアンケートを書いてもらい、猫を飼える環境に適しているかを審査しています。各家庭に猫がなじめるようにアドバイスし、お試しの預かり期間を経てから正式に誓約書を交わします。なお、不幸な猫をなくすのが活動趣旨ですので、避妊手術を行い、終生飼養をすることを約束したうえで譲渡完了となっています。
病気(先天性疾患、伝染病など)のある猫や、人になつかない猫は、飼い主を探すのに時間がかかる場合があります。野良猫を保護すると、子猫は大体もらわれていきます。それぞれの会員の家には、治療が必要な猫を保護しています。虐待されて傷のある猫や殺鼠剤や毒入りのえさを食べた猫を保護して、病院に連れて行き、治療を受けさせています。かわいいからという理由で保護するというより、助けの必要な状況にある猫たちを保護しています。
飼い猫は捨てられると生きていけません。
「色々な事情を抱えながら、もう無理もう無理・・・と言いながら、気がつくと今二桁ぐらい保護しているんです。」と神戸さんは言います。
猫を飼うのは簡単ですが、捨てたり給餌をしないなどの飼養放棄や体罰などの虐待をすると動物愛護法により50万円以下の罰金を科せられます。猫を傷つけることも1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられます。
次回はお二人に猫をめぐる地域の問題について、活動の体験談もまじえてお話しいただきます。