しつけ・ケア

犬の「カーミングシグナル」とは?しぐさでわかる犬の気持ち

皆さんは「カーミングシグナル」という言葉を聞いたことはありますか?
なかなか聞き慣れている言葉ではないと思いますが、犬を飼っている方なら必ず見たことのあるような特徴的な仕草などがあると思います。

そういった犬の様子は、犬にとって人間と同様に意味があってそのような表現をしているのかもしれません。
今回はカーミングシグナルについて詳しくご紹介していきたいと思います。

カーミングシグナルとは?

カーミングシグナルとは

 カーミング→Calming(落ち着かせる)
 シグナル→Signal(信号・サイン)

を意味する言葉であり、【自分や相手を落ち着かせる行動】を指します。

主な役割が4つあります。

1、相手や自分を落ち着かせる
2、敵意がないことを示す
3、不安や不快を感じていることを示す
4、自分以外の犬同士、人間同士の争いをやめさせる

ストレスや緊張をやわらげ、争わず平和に過ごせるように本能的に備わっているもので、現在わかっているだけで約30個の合図があります。

カーミングシグナルを出す時の犬の状態

*安心感を与えたいとき

人や犬などに対し、自分は友好的であることを知らせ、安心感を与えたいときにおこないます。

*ストレスや不安を感じているとき

ストレスや不安、緊張などを感じたときに、本能的に出るしぐさです。

*不快なことをおさめたい時

痛いやかゆい、苦しいなど不快な刺激を鎮めたいとき、犬や人からの威嚇をやわらげたいときにもおこないます。

*威嚇から逃げたいとき

人やほかの犬による脅威から逃げるために合図を出します。

*自分を落ち着かせたいとき

不安を感じている自分の気持ちを相手に伝えると同時に、自分の気持ちを落ち着かせるためにおこないます。

*周囲に落ち着いてほしいとき

自分だけでなく、周囲の人や犬、飼い主などに対し、落ち着いてほしいと思ったときに合図を出します。

カーミングシグナルはストレスのサイン?

ワンちゃんはストレスの度合いに応じて、カーミングシグナルを出します。
そのため、カーミングシグナルは【ストレスサイン】としての指標の役割を担っているため、サインを読み取ることが出来れば早期改善が見込めるメリットがあります。

カーミングシグナルから犬の気持ちを読み解こう!

〈 一般的なカーミングシグナル 〉

ワンちゃんが見せるカーミングシグナルは沢山ありますが、中でも一般的に見られるカーミングシグナルをご紹介します。

*顔を背ける・視線を避ける・身体を背ける
→興奮している相手を落ち着かせようとしている、敵意がないことを示している

*床や地面の匂いを嗅ぐ
→自分や相手が興奮していたり、不安を抱いた時に落ち着かせるための行動。
または、情報収集や緊張しているときにもみられます。

*背中をかく
→ストレスを感じた際に身体の刺激で緩和させようとしている、または敵意がないことを示している

*身体をブルッと振るう
→不安や緊張を感じた時、あるいは解放された時に気持ちを切り替える時の行動

*自分の鼻や口を舐める
→自分や相手を落ち着かせようとしている時や、争いごとに発展させないようにしている時にみられる行動

*プレイバウ(遊びを誘うおじき)
→遊びを誘う仕草

*カーブを描きながらすれ違う
→相手に対し怖がらせないように敵意はないことを示している

*あくび
→ストレスや緊張を緩和させるために行う仕草

*間に割って入る
→争いごとに発展しそうな時やしている時に仲裁には入る行動

*静止あるいはゆっくりとした動き
→敵意がないことを示し、相手に落ち着いてほしいときに行う行動

*座る
→相手に敵意がないことを示し、落ち着かせる行動

*伏せる
自分の高まった気持ちを落ち着かせる時や相手に敵意がないことを示す行動

〈 ストレスを感じている時のカーミングシグナル 〉

上記では主に「敵意がないことを示す・ストレスの緩和」でしたが、ストレスの度合いが高くなると下記のようなサインをだすことがあります。

*暑くないのに呼吸が荒い
*よだれを垂らす
*急にフケがでる
*換毛期でないのに大量に毛が抜ける
*排泄の回数が増える
*下痢をする
*嘔吐する
*足の裏に汗をかく
*食欲がなくなる
*筋肉がこわばる
*身体を振るわす
*耳が後に垂れる
*吠える(鳴く)
*集中できない
*過剰なグルーミングを行う

これらの行動が確認された場合は、ストレスの原因の解明と改善を行いましょう。

カーミングシグナルを失うこともある

カーミングシグナルは、飼い主さまの観察不足によって表現しなくなることもあります。
ワンちゃんが伝えるのを辞めてしまうことで何を思っているのかを読み取ることが出来ず、ずっとワンちゃんにストレスを感じさせてしまうことになってしまいます。
そうならないために2点注意をご紹介します。

1.カーミングシグナルを出しても無視され続ける

ワンちゃんが飼い主さまにカーミングシグナルを出しているのに気付かずにワンちゃんの意思とは反対な行動や対応をしてしまうとワンちゃんは「全然分かってくれないや」と表現を諦めてしまい、そのまま表現しなくなることがあります。ワンちゃんの本能だからやめることはないだろうと考えず、人間と同様伝えたいことを理解してあげないと出さなくなってしまう可能性があることを理解してあげましょう。

2.極度のストレス

極度なストレスを感じるとカーミングシグナルを出すことが出来ず、ただただ辛い思いをしている状態です。
もうどのシグナルを出せばいいのか分からなくなっている状況であり、パニック症状とも言える場合です。
日々のコミュニケーションでワンちゃんが発信するシグナルを可能限り読み取れるように心掛けましょう。

まとめ

今回はカーミングシグナルについて、意味や実際にどのようにサインを出してくれるかなどをご紹介しました。
犬も人間と同じ、社会と関わりながら日々カーミングシグナルとして犬たちは私たちに気持ちを伝えています。
飼い主である私たちがしっかりと受け止め、理解してあげることで愛犬の幸せな暮らしにも繋がると思います。

みなみ

みなみ

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(みなみ)
トイプードルとポメラニアンと暮らす保育士。

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