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動物たちを知ろう 第5回 猫のマーキングとスプレー

動物たちを知ろう

第5回 猫のマーキングとスプレー

    


マーキングとスプレーの種類

猫には、自分のなわばりにニオイをつける習性に「マーキング」と「スプレー」があります。リラックスしているとき、自分をアピールするとき、不安になったときなど、その仕方にはそれぞれに異なります。
 
マーキング 1
あごやほほなど口周囲腺にある分泌腺からニオイを出しなにかの突起に付けるのもマーキングの一種です。
家具や人の足に顔をこすりつけるマーキング行為は、リラックスしている証拠であり、自分のなわばりに、つねにニオイをつけて安心できる場所にしています。この場合は、ほほやあごにある分泌腺からニオイを出しています。
 
マーキング 2
爪研ぎも視覚と嗅覚両方に訴えるマーキングです。
気分が盛り上がっているときに、自分の存在を示すかのように爪とぎでマーキングをします。このときに肉球から出るニオイで自分の縄張りを他の猫に自分の存在をアピールしています。

この2種類のマーキングは、人間にはわからないニオイ(フェロモン)を発しています。

 
スプレー
猫が尾を立てて垂直面に少量の尿をスプレーすることがあります。これがマーキングの一種「スプレー」です。主に、不安なときや新入りの猫が現れたときにします。
「スプレー」は、いつもより濃いおしっこをかけるマーキングです。去勢していないオスがやることが多いですが、時には去勢したオスやメスも行います。自分のなわばりを主張する意思表示、あるいは情報伝達、発情中のメスを引きつけるためのオスの性行動のひとつとも解釈されています。また、室内で度々スプレーをする場合は、生活環境に不満がある場合などもあるので注意してあげましょう。

 

尿によるマーキング「スプレー」を止めさせるには?

マーキングは、猫にとって3つの行動意義があります。
 
メス(オス)猫に自分をアピールする性的行動
一般的には、オスの場合は性ホルモンが関係している場合が多い。
<対処法>
去勢手術をすることで大体は防げますが、中には去勢しても変わらない猫もいます。
 
自分の存在を誇示する防衛・威嚇行動
猫は、縄張りを持っています。家とその周辺がテリトリーで近隣の猫を縄張りに侵入させないように、あるいは許せない範囲に近寄らせないように競争相手に自分の存在を分かれるためにマーキングをします。
<対処法>
この場合、猫が脅威を感じる状況をできるだけ回避するように、縄張りの中が安全であることを感じさせます。例えば近所の猫が室内から見えないようにしたり、他の猫が縄張りに入ってこないように工夫したりします。
 
不安を解消する転位行動
不安や不満がストレスになってスプレーしてしまう場合は、その原因を見つけて解決しなければなりませんが、その原因追求には根気が必要です。
 例えば、
     ・狭い部屋に閉じ込めていないか?
     ・生活環境(人、物、他の猫)に大きな変化はないか?
     ・寝る場所や食事場所など、猫にとって大事な場所の近くに
      トイレが置かれていないか?
     ・トイレはこまめに掃除しているか?
     など。
原因は多岐に渡ることもあります。
<対処法>
特にトイレは重要なので、猫の数より1つ多くトイレを用意しましょう。
同居猫が問題の場合は、時間をかけて慣れるのを待つしかないようです。どの猫がスプレーしているのかを判別し、また始めた時期などから「きっかけ」を探り原因を除去することが重要です。そして、スプレー行動を見つけたときの家族の反応が行動強化になってしまうことがあるのでスプレー行動を無視し、くれぐれも叱らないであげてください。
不安・不満・ストレスの原因を取り除くことが大切です。
 
そして、スプレーは決まった場所にする傾向があります。前の臭いが刺激となり繰り返されるのです。スプレーした後は中性洗剤やアルコール・ペット用の消臭剤などでよくふき取り臭いを消すなどの処置をしましょう。猫の習性を利用して、スプレー場所に食べ物を置く方法もあります。
また、メス猫の発情に誘発されている場合などもありますので、普段の健康チェックも忘れずに。どうしても改善が見られない場合は獣医師に相談しましょう。

 

 

2015年9月11日掲載

 

 

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 GORON 吉川奈美紀 

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