前回は、「犬を飼う環境や状況を検討しましょう」というテーマでお話をしてきました。犬を飼うためには、周囲への配慮、将来への配慮、出費の覚悟など様々なことを考え、決めなければいけない。犬を飼うというのは、なかなか気楽にできるものではない、ということでした。
今回は、犬を選ぶにあたって考えたいポイントをお話します。項目番号は、前回からの通し番号になっています。
2.犬という動物について勉強しましょう
犬は人間とは違う生き物です。このことを常に頭に置いておきましょう。勉強せずに犬を理解することは不可能です。犬という生き物を理解しなければ、夢に思い描く犬と人間の最良の関係は築けません。
さまざまな書籍・ウェブサイトに目を通しておき、考え方をひろげておきましょう。このサイトのごらんのみなさまは、すでに準備や情報収集をされていることと思います。
3.希望する犬を具体的にしましょう
犬とどんな関係を築きたいのか、なぜ犬を欲しいのか、どんな犬が欲しいのかを、家族と話し合って紙に書き出しましょう。
例)将来ドッグスポーツを楽しみたい。
番犬として犬が欲しい。
犬と一緒にオシャレをして街に出たい。
子供達と友達のような関係を築かせたい
・・・など、家族とよく話し合い、犬と一緒の生活について、思い描いているものを共有しましょう。家のなかで飼うのか、庭先で飼うのか。運動好きの犬と遊びたいのか。街中や旅先に連れ歩きたいのか。など、考えている生活に適した犬種を選ぶ必要があります。
4.希望に適した犬種を選びましょう
犬には各犬種によって特色とされる性格、気質、役割があります。
では、なぜ犬種があるのでしょうか?
諸説ありますが、犬は、1万5千年前に人間が狼を家畜化したことから始まったと言われています。人間と犬が一緒に過ごすなか、人間は利用の目的に適した犬をつくるため改良に改良を重ねて、現在では600を超える犬種が存在しています。犬種は目的別に分けられ、それぞれで特性が異なります。容姿だけで選ばず、犬種の特性を理解し、希望に適した犬種から選ぶようにしましょう。
犬種は、下記のようにグループ分けされています。国によってグループ名や、分類方法がやや異なりますが、今回は犬を飼いたい方が分かりやいよう、AKC(アメリカンケンネルクラブ)が用いる分類法を参考に一部を変更して掲載します。
正確な分類表をご覧になりたい方は、AKCのサイトをご覧下さい。
Sporting group(スポーティング グループ)/ Gun dog(ガン・ドグ)
主に鳥猟犬のグループ。命令に忠実で、攻撃性は少なく穏やかで服従性が高い。
とても活発なので、毎日十分な運動が不可欠。
:スパニエル・レトリーバー・ポインター・セター等
Hound group(ハウンドグループ)
- セントハウンド 地面の匂いを嗅ぎ獲物を追跡し、ハンターに吠えて知らせる。
- サイトハウンド 遠くの獲物を優れた視覚でとらえ、高速で追いかけて捕らえる。
このグループの犬は、ハンターから離れて独自の判断で獲物を追うことを求められてつくられたため、独立した性格をしている。そのため、家庭で飼ったときに「言うことを聞かない」と感じる飼い主も少なくない。
:ハウンド・ダックスフンド・サルーキー・ビーグル等
Working group(ワーキング グループ)
狩猟以外の各種作業、警護・そりを集団で引くそり犬・救助犬等の力仕事や、護衛が主な仕事となるため、大柄で頑健な体で忠誠心が高い。性格は警戒心が強いく攻撃性が高い犬種もいれば、温和で攻撃性が低い犬種もいる。力が強い分しつけは不可欠。
:主な日本犬・ドーベルマンシベリアンハスキー・セントバーナード等
Terrier group(テリア グループ)
ウサギ・野鼠・キツネなどの小害獣を駆除する為の猟犬。
獲物を追込み果敢に闘うようつくられたため、気性が激しくエネルギッシュでスタミナがある。
体は筋肉質で力が強く、自信に溢れている。よく吠えるが、きちんとしつければよき家庭犬・番犬となる。
:ミニチュアシュナウザー・ブルテリア・ジャックラッセルテリア等
Toy group(トイ グループ)
愛玩目的で繁殖された犬種のグループ。
性格は、甘え上手だが、比較的活発で中には警戒的でよく吠える犬もいる。
甘やし過ぎてわがままになり、手に余ることも。
:パピヨン・チワワ・パグ・ポメラニアン等
Herding group(ハーディング グループ)
ハンドラーの指示によって、鋭い嗅覚、聴覚を利用して羊や牛の群を警護・監視・誘導する牧羊・牧牛犬のグループ。
飼い主の指示で動き、服従性が高く家庭犬としてふさわしい。警戒心が強いため番犬にも向いている。
運動量が多いため、毎日十分な運動と自由に走り回れる環境が必要。
:コーギー・シープドッグ・コリー
Non-Sporting group(ノンスポーティング グループ)
どのグループにも属さない犬種のグループ。外見も性格もそれぞれ。
:フレンチブルドッグ・ダルメシアン等
このようにさまざまな犬種があり、それぞれに性格・気質等に特色があります。ご自身の考えているライフスタイルに合わせた犬を選ばないと、後々、「こんなはずではなかった」「こんなに飼うのが大変だったのか」など、人間にも犬にもストレスが溜まることになってしまいます。犬を購入したり引き取る際には、かならず、犬種について考えておきましょう。