選ばれる物件には理由がある
近年、「ペット可賃貸」は珍しいものではなくなりました。
ですが、実際に入居希望者の声を聞くと、
「ペットが飼えるならどこでもいい」という人は意外と少ないのです。
多くの飼い主さんが求めているのは、
“ペットと人の両方が快適に暮らせる住まい”
そのため、ちょっとした設備やルールの違いが、
物件選びを大きく左右します。
今回は、実際の入居者の声や現場の傾向から、
オーナーが知っておきたい“選ばれる物件”のヒントをまとめました。

1. 「ペット可」だけでは足りない時代に
以前は「ペット可」と書いてあるだけで入居希望が殺到する時期もありました。
ですが現在は、
・飼育頭数の制限
・犬・猫どちらか限定
・追加敷金あり
といった条件が多く、“可”の範囲が曖昧になっています。
入居者からは、
「どこまでOKなのか問い合わせないと分からない」
「“ペット相談可”だと断られることもある」
という声も少なくありません。
つまり今の飼い主層は、
「単にペット可」ではなく、“どう共に暮らせるか”を重視しているのです。
2. 物件選びの決め手は「安心感」と「利便性」
ペット共生物件が選ばれる理由の多くは、
飼い主の“生活のしやすさ”に直結している点にあります。
たとえば──
・犬の場合:近隣に散歩コースや動物病院があるか
・猫の場合:日当たり・静かさ・脱走しにくい構造か
・共通:ペットの足洗い場やゴミ分別の配慮があるか
これらの条件を満たすと、
「ここなら安心して暮らせそう」と入居者の信頼を得やすくなります。
また、”会社やオーナーが“ペットに理解がある”と感じられるだけで、
成約率が上がるというデータもあります。
3. 内見で好印象を与える“見せ方のコツ”
実際の内見時、飼い主さんが最も注目するのは「ペットの動線」。
・玄関〜リビングまでの広さ
・床の素材や滑りやすさ
・窓の位置(外を見て興奮しないか)
などを自然とチェックしています。
そのため、内見前に
「ペット対応床材使用」「足洗い場あり」などの情報を
チラシやウェブ掲載時点で明記しておくと効果的です。
さらに、
「小型犬2匹までOK」
「猫も可(爪とぎ壁紙採用)」
など、具体的な飼育条件を明示することで、
“問い合わせしやすい物件”として差別化できます。
4. SNS時代は「見た目」も武器になる
最近では、ペットと暮らす日常をSNSに投稿する入居者が増えています。
そのため、「映える空間」も選ばれる理由のひとつに。
例えば、
・キャットウォーク付きの白壁
・木目調の床+観葉植物が似合う明るい部屋
・ドッグスペースにマットを敷ける小上がり
といったデザイン性のある共生設備は、
口コミ拡散やリピーター効果を生むことがあります。
物件の写真に“ペットと暮らすイメージ”を添えるだけでも、
他物件との差が出やすいポイントです。
5. 飼い主のマナー意識も変化している
以前は「ペット可=汚れる・うるさい」という懸念がありましたが、
今の入居者層はそのイメージとは違います。
多くの飼い主は、
・退去時のクリーニングを想定している
・共有部の利用マナーを理解している
・近隣への配慮を重視している
といった“責任ある飼い主層”が増えています。
そのため、オーナーがしっかりとルールを示していれば、
むしろトラブルの少ない安定した入居者層になるケースも多いのです。
🐾まとめ
「ペット可だから選ばれる」時代から、
「ペットと人が心地よく暮らせる物件が選ばれる」時代へ。
入居者が求めているのは、
・安心して暮らせる設備
・明確で分かりやすいルール
・オーナーの理解と共感
この3つです。
少しの工夫とメッセージ性で、
“ペットに優しい物件”は“入居率の高い物件”へと変わります。

次回は、
「トラブルを防ぐ入居ルールと契約書の工夫」をテーマに、
実際の運用で役立つ注意書きや契約例をご紹介します。






























