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ペット可賃貸オーナーのための共生経営ガイド ~犬と猫、そして人が快適に暮らせる物件づくり ~ 第5回 ペット共生型物件を選ぶ入居者の本音 

選ばれる物件には理由がある

近年、「ペット可賃貸」は珍しいものではなくなりました。
ですが、実際に入居希望者の声を聞くと、
「ペットが飼えるならどこでもいい」という人は意外と少ないのです。

多くの飼い主さんが求めているのは、
“ペットと人の両方が快適に暮らせる住まい”
そのため、ちょっとした設備やルールの違いが、
物件選びを大きく左右します。

今回は、実際の入居者の声や現場の傾向から、
オーナーが知っておきたい“選ばれる物件”のヒントをまとめました。

1. 「ペット可」だけでは足りない時代に

以前は「ペット可」と書いてあるだけで入居希望が殺到する時期もありました。
ですが現在は、
・飼育頭数の制限
・犬・猫どちらか限定
・追加敷金あり
といった条件が多く、“可”の範囲が曖昧になっています。

入居者からは、

「どこまでOKなのか問い合わせないと分からない」
「“ペット相談可”だと断られることもある」

という声も少なくありません。

つまり今の飼い主層は、
「単にペット可」ではなく、“どう共に暮らせるか”を重視しているのです。


2. 物件選びの決め手は「安心感」と「利便性」

ペット共生物件が選ばれる理由の多くは、
飼い主の“生活のしやすさ”に直結している点にあります。

たとえば──
・犬の場合:近隣に散歩コースや動物病院があるか
・猫の場合:日当たり・静かさ・脱走しにくい構造か
・共通:ペットの足洗い場やゴミ分別の配慮があるか

これらの条件を満たすと、
「ここなら安心して暮らせそう」と入居者の信頼を得やすくなります。

また、”会社やオーナーが“ペットに理解がある”と感じられるだけで、
成約率が上がるというデータもあります。


3. 内見で好印象を与える“見せ方のコツ”

実際の内見時、飼い主さんが最も注目するのは「ペットの動線」。
・玄関〜リビングまでの広さ
・床の素材や滑りやすさ
・窓の位置(外を見て興奮しないか)

などを自然とチェックしています。

そのため、内見前に
「ペット対応床材使用」「足洗い場あり」などの情報を
チラシやウェブ掲載時点で明記しておくと効果的です。

さらに、

「小型犬2匹までOK」
「猫も可(爪とぎ壁紙採用)」
など、具体的な飼育条件を明示することで、
“問い合わせしやすい物件”として差別化できます。


4. SNS時代は「見た目」も武器になる

最近では、ペットと暮らす日常をSNSに投稿する入居者が増えています。
そのため、「映える空間」も選ばれる理由のひとつに。

例えば、
・キャットウォーク付きの白壁
・木目調の床+観葉植物が似合う明るい部屋
・ドッグスペースにマットを敷ける小上がり

といったデザイン性のある共生設備は、
口コミ拡散やリピーター効果を生むことがあります。

物件の写真に“ペットと暮らすイメージ”を添えるだけでも、
他物件との差が出やすいポイントです。


5. 飼い主のマナー意識も変化している

以前は「ペット可=汚れる・うるさい」という懸念がありましたが、
今の入居者層はそのイメージとは違います。

多くの飼い主は、
・退去時のクリーニングを想定している
・共有部の利用マナーを理解している
・近隣への配慮を重視している

といった“責任ある飼い主層”が増えています。

そのため、オーナーがしっかりとルールを示していれば、
むしろトラブルの少ない安定した入居者層になるケースも多いのです。


🐾まとめ

「ペット可だから選ばれる」時代から、
「ペットと人が心地よく暮らせる物件が選ばれる」時代へ。

入居者が求めているのは、
・安心して暮らせる設備
・明確で分かりやすいルール
・オーナーの理解と共感

この3つです。

少しの工夫とメッセージ性で、
“ペットに優しい物件”は“入居率の高い物件”へと変わります。

次回は、
「トラブルを防ぐ入居ルールと契約書の工夫」をテーマに、
実際の運用で役立つ注意書きや契約例をご紹介します。

第4回 猫と暮らす賃貸のリアル ~ 爪とぎ・脱走・におい対策のポイント

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

投稿者の記事一覧

(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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