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イヌに教え、教えられ 第30回 犬は今を生きている

イヌに教え、教えられ

第30回 犬は今を生きている


私は、自宅で保護した捨てられた犬をトレーニングしながら一緒に暮らし、新しい家族(里親)を見つける活動をしています。

2016年3月に保護した「ぽんず」
それから10ヶ月、翌年1月から里親を希望するSさん家族のもとでトライアルをしています。
     *トライアルとは
     里親希望家族に正式譲渡するまえの「お試し飼育」期間。
 
犬の生涯は、10~15年。
近年は、動物医療が発展し、20年近く生きる犬もいます。
トライアルは、Sさん家族とぽんずがこれから10年以上を一緒に暮らしていけるかどうかを判断する大切な期間です。
 
トライアル初日。
Sさん宅へぽんずを届けた時、ぽんずは新しい環境に戸惑っていました。
散歩している様子を後ろから見守る私が気になり、振り返っては止まる。
私がいなくなった後は、しばらく鳴いていた。
犬達にとって、今まで一緒にいた人が居なくなり、生活環境・共に暮らす家族・関わりを持つ人や動物が変われば、慣れるまで多かれ少なかれ時間が掛かるのは、普通なこと。
そうであることが分かっていても、何度となく犬達を送り出していても、トライアルが始まれば気になります。
 
トライアル10日目。
しつけのアフターフォローをするため、Sさん宅へ訪問。
ぽんずは、私を見つけるやいなや尻尾を目一杯振り、顔をベロベロ舐めて喜んでくれました。
ぽんずを保護して1年近く一緒に暮らしてきた、預かり冥利に尽きます。
でも、喜ぶぽんずを見ながらふと感じました。
とても喜んでいるけれど、、、
預かっている頃、私が帰宅した時や朝ゲージから出てきた時と何かが違う。。。
喜びながらも、時折チラッとママに目線を送る表情や態度から感じたのは、ぽんずの一番がママに変わりつつあるサインでした。
 
「切り替え早いな・・・(笑)」
 
新しい家族との生活がぽんずにとっての日常になり、当たり前になり、大事になっていくのを感じました。
 
「犬は今を生きている」
 
人間は、過去を思い出したり、比べたり、気になったりするものです。
それに対し、犬は、常に今を見て生きています。

 
預かっていた頃を思い出した私はというと、少し寂しくもあります。
犬がもつこの潔さがあるからこそ、私は保護犬を新しい家族に繋げることができるのです。
 
トライアル初日、私を目で追い、側を離れず、いなくなれば鳴いていたぽんずが、今はSさんの側で安心したような、いい顔を見せてくれている。
 
それから数日後、無事に2週間のトライアルを終え、1歳を迎えたぽんずはSさんと家族になりました。

 

 

2017年1月27日掲載

 

イヌに教え、教えられ
第29回 根気よく、気長に向き合う

イヌに教え、教えられ
第31回 犬(動物)目線からの譲渡

里見 潤

里見 潤

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(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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