被災地に残された犬と猫
~東日本大震災、ちばわんの
被災動物支援活動~
第3回 被災地に残された動物たち
東日本大震災で被災した犬猫のためのボランティアについて送る本連載。
前回は、被災地で保護された犬や猫を、元の飼い主さんと再会できるまで責任を持って預かる「預かりボランティア」さんについてお聞きしました。第3回では、その犬猫がどのようにして現地から保護されてきたのか、また、被災地の動物たちはどのような状況でいるのかをお話いただきます。
――「預かりボランティア」さんに預かってもらう犬猫は、どのように保護されてきたのですか。
私たちが仲介している犬猫は、おもに「犬猫みなしご救援隊」さんというボランティア団体の方々が、被災地現地で保護してきた子たちです。
――「犬猫みなしご救援隊」さんとは、どのような団体なのですか。
広島県のボランティア団体さんです。普段は、犬猫の保護や終生飼養をされています。被災動物支援活動としては、原発避難区域を中心に、被災地に取り残された犬や猫を保護して、栃木県那須塩原に作った仮設シェルターで動物たちのケアをしておられます。
シェルターには200~300匹くらいの犬猫がいて、今でもペットを探してシェルターに面会に来られる方がいらっしゃるんですよ。
――「ちばわん」さんは、「犬猫みなしご救援隊」さんと連携して動物たちの保護をしているのですか。
「捕獲」という意味での動物の保護に関しては「犬猫みなしご救援隊」さんが一括して行ってくださいます。
ちなみに、保護をするのは、被災地で放浪している犬や猫だけでなく、避難中の飼い主さんから「うちの子を保護してきてほしい」と依頼があったペットも含みます。避難当初は「数日で家に戻れる」と思っていたために、避難する際、犬や猫をそのままにしてきてしまった……ということが多く、そのような動物たちの保護を求める声にも応えているんです。
「ちばわん」はというと、「犬猫みなしご救援隊」さんが保護した犬猫に対して、医療行為を受けるためのお手伝いをさせていただく事があります。 医療行為が済んだ犬猫は引き続き「犬猫みなしご救援隊」さんが、栃木にあるシェルターで経過観察や保護をされていて、状況によって飼い主の元や一時預かりのボランティア家庭へ届けたり元の場所に戻してきています。
犬や猫の捕獲は本当に大仕事ですので、「犬猫みなしご救援隊」さんはとても大変な経験をされていると思います。
――震災から数か月経った頃に、「残された動物同士が繁殖し始めている」というニュースを目にしましたが、実際はどうですか。
そうですね。たしかに、犬や猫が親子ごと保護されるということはありますが、実際はどうなのかは、更に日数が経過した現在に改めて調査が必要だと思います。
――放浪している犬の間に生まれた子犬や孫犬は、生まれながらに野生ですから、警戒心が強くて、捕まえるのは大変そうですよね。
そうですね。人間に対して不信感を持っている親犬が子犬を育てるので、人間は危険な存在と教えているのかもしれません。でもそれくらいでないとなかなか自然で生きていけません。
――犬たちの気性に飼い犬との違いはありますか。
やはり外で苦労している分、警戒心も強く、人と暮らせるようになるまでは多くの時間が必要かもしれませんが、犬は順応性が高いので人へ信頼を寄せてくれる犬もいるとは思います。
しかし、福島県では犬や猫への不妊・去勢手術が拡がっていませんので、不要な繁殖が起こってしまっている可能性もあります。
次回は、「野生」の犬猫が増殖することによって、これから被災地、そして被災動物たちに起こりうる課題に向き合いたいと思います。
「ちばわん」 http://www.chibawan.net/
「届け!被災地の犬や猫たちへ!(ちばわん支援ブログ)」
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