「繁殖としての用途が終わったから」という理由で、ブリーダーから放棄された推定5歳のイタリアングレイハウンドが、犬の譲渡を専門に行っている動物愛護団体『Dog Shelter(ドッグシェルター)』に保護された。
穏やかな性格だったその犬は、「ふく」と名前と名付けられ、新しい家族が見つかるまで私の自宅で預かることになりました。
性格が穏やかで老若男女誰とでも挨拶ができ、ハウストレーニングや留守番も上手だったふく。
一方、トイレのしつけをされておらず、リードを付けて散歩をした経験もなく、リードを付けて歩くことができませんでした。
ふくが新しい家族を探すための課題は、トイレトレーニングとリードを付けて散歩をする練習。
トイレトレーニングは、指定場所全面にシートを敷き、上手にできたらご褒美をあげ、成功率が上がってきたらシートを1枚づつ減らしていく方法。
散歩の練習は、無理せずふくのペースを観ながら少し歩けらたら褒め、時々ご褒美をあげて不安を自信に変えていく。
ふくができるところから始め、一歩一歩着実に、ステップバイステップで取り組み、トイレと散歩が安定してきた頃、ふくに里親希望の応募が届きました。
応募した人は、一人暮らしの女性で日中留守番がある。
団体によっては、犬を飼う家庭として不向きと判断されることもあるケースです。
でも、ふくは、留守番が得意で留守中のトイレも自らできる。
そんなふくの性格やタイプは、彼女の生活ととても合っていました。
私や団体スタッフは、犬への想いや気遣いがあるその女性に、ふくとの縁と感じ、ふくを送り出すことにしたのです。
トライアル初日。
注意事項を説明していると、私たちの横にちょんと入り込んで座るふく。
そんなふくを優しく撫でる様子を見て、私は「大丈夫」と確信した。
その後、トライアルでのトイレや散歩も順調に。
2週間後、ふくは、正式に彼女と家族になり、名前は「ふく」から「福」に変わった。
それから数ヶ月後、こんな嬉しいメールが届きました。
「お散歩中に会う赤ちゃんやおじいちゃん、おばあちゃんにもナデナデされると手をペロペロしたり、お正月には私の実家で飼っている保護猫とも仲良くなりました。福ちゃんのおかげで、みんなの心にも福が来ています、感謝ですね!」
犬に福(ふく)が来るようにと付けた仮の名前が、今は家族に福をもたらしてくれていた。