乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬インフルエンザについてです。
2025年4月、熊本県で18年ぶりとなる馬インフルエンザの発生が確認され、乗馬界にも一気に緊張が走りました。
2007年の大流行を覚えている人にとっては「またか…」という感覚だったかもしれません。
馬インフルエンザとは
馬インフルエンザは、馬同士の飛沫感染によって広がるウイルス性の呼吸器疾患で、発熱・咳・鼻水などが主な症状です。
人間には感染しないものの、感染力は非常に高く、一頭発症すればあっという間に施設全体へ広がってしまうリスクがあります。
世界の馬インフルエンザ事情
実は、馬インフルエンザは世界中で定期的に発生しています。
イギリスでは2019年に競馬イベントが一時中止になるほどの流行がありましたし、南米やアジア各国でも報告が絶えません。
国際的な馬の移動が活発になった今、どこで発生しても「対岸の火事」ではいられない時代です。
特にヨーロッパでは、競馬業界だけでなく乗馬クラブも含めて、ワクチン接種が義務付けられている場合が多く、感染拡大を防ぐ仕組みが制度的に整っています。日本では、まだこの点が任意だったり、施設ごとにバラつきがあったりするのが課題かもしれません。
日本での今回の発生と対応
熊本県での発生では、7つの農場で19頭の感染が確認されました。
現時点では重症例は少なく、ワクチン未接種の馬が多かったという情報も出ています。
農林水産省や地方自治体は、以下のような対策を呼びかけています:
・感染馬の隔離
・馬の移動制限
・農場・施設内の消毒
・健康観察と報告の徹底
幸い、殺処分などは行われず、症状が落ち着けば回復する病気です。
しかし、感染が広がれば営業停止やイベント中止も起こりうるため、早期対応が命。
乗馬施設では、競技馬など移動する馬はワクチンが必須ですが、クラブから出ない外部の馬との接触がない馬は打っていない場合も多いです。
乗馬施設で見直しポイントは
・馬のワクチン接種歴の確認と再接種の検討
・外部からの見学やビジター利用の制限
・クラブ内の共用具(ブラシ・手綱など)の消毒強化
・馬房や厩舎の換気、衛生環境の見直し
また、スタッフ自身の衛生管理も重要です。
手洗い・うがいの徹底、施設間の移動制限、着替えの実施など、「ヒトがウイルスを運ばない」ための工夫も必要です。
18年前は日本全土で大流行したので、施設の入り口に消毒槽が設置されて、必ず消毒してから入場してもらったり、競技などでの馬の移動もすごく神経を使いました。
しかし、怖がるだけでなく、今回の件を「施設の衛生管理やワクチンプログラムを見直すきっかけ」としてとらえるのが大切です。
馬の健康が守られれば、結果的に私たちの乗馬ライフも安心して楽しめますね。
不安な時こそ、冷静に、前向きに。愛馬の健康と、仲間たちの安全を守るために、できることからしっかり行動していきましょう!皆さんもまずは消毒からご協力お願い致します