皆さんはイモリとヤモリを見たことがありますか?
もちろんイモリとヤモリを知っている方は沢山いると思いますが、どう違うかと聞かれるといまいちピンとこない方が多いのではないでしょうか?
今回は両生類が大好きな私が、イモリとヤモリの違いを調べていきたいと思います!
︎イモリ(井守)

イモリにも様々な種類が存在していますが、特に有名なのが写真の「アカハライモリ」。
本州、四国、九州にかけて広く生息しています。沖縄本島や奄美大島などでは、シリケンイモリやイボイモリなどの近縁種が見られます。
諸説ありますが、アカハライモリなどの「イモリ」の語源は、井戸を守る「井守」からきているといわれています。古くから、人間の生活圏で見られるとても身近な生き物でした。
イモリは、主に水の中で暮らしており「両生類」です!
お腹の赤色は警告色(警戒色)であるといわれています。実際、アカハライモリは微量ではありますが、フグなどと同じテトロドトキシンと呼ばれる毒をもっています。
手で触れる程度なら基本的に問題ありませんが、その手で目や口をこすったりせず、必ずよく手を洗うようにしましょう。
︎イモリの再生能力はすごい!
アカハライモリの大きな特徴は何といっても、そのすさまじい再生能力です。

生物の再生能力といえば、まず「トカゲのしっぽ」を思い出す人が多いのではないでしょうか。
ただ、トカゲの仲間の尾は一度じせつをしてしまうと、一見すべて再生しているように見えても、実は骨は再生していません。
よく見ると自切した部分から色が違うのもわかりますし、何より骨は再生せずに軟骨によって支えられるようになります。
しかし、アカハライモリなどのイモリの仲間の再生能力にかかれば、骨まで再生してしまいます。また、尾だけでなく、肩以降であれば手足も再生できますし、驚くことに、眼や脳、心臓などの臓器の一部さえ再生してしまうのです。
このことから、イモリは再生医療の分野で注目されており、そのメカニズムが少しずつ解明されてきています。
︎ヤモリ(家守)
ヤモリは家の中、ベランダや窓に張り付いている姿などがよく見かけられます。

家の中で見かけるヤモリは、トカゲなどと同じく爬虫類に分類され、ニホンヤモリという種名がついています。漢字では「家守」「守宮」と書き、その名のとおり、災いから家を守る縁起のよい生きものとされてきました。
つぶらな瞳と大きな頭部が特徴で、よく見ると愛嬌のあるかわいい顔をしています。
国内に生息するヤモリは毒を持っておらず、噛みついたり人に向かってきたりする心配はありません。とても警戒心が強く、危険を感じるとすぐに隙間に隠れてしまいます。
︎ヤモリは身体能力がすごい?
ヤモリは床や地面にいることは少なく、窓ガラスなどつるつるとした垂直面を器用に移動します。この特殊能力を可能にしているのが、足先の「趾下薄板(しかはくばん)」と呼ばれる器官です。この器官には超微細な剛毛が無数に生えており、毛の先に0.2〜0.5ミクロンの小さな突起がついています。

この突起の一つひとつに引き合う力(ファンデルワールス力)が生じ、この力を使って、壁や窓にくっつきます。
︎ヤモリは私たちの生活をサポートしてくれている
ヤモリの好物はよく動く小さな虫です。厄介者のシロアリや小型のゴキブリなどを捕食してくれるため、私たちの生活を陰ながらサポートしてくれています。
私たちの生活を助けるハエトリグモ「アダンソンハエトリ」は害虫を駆除してくれる「益虫」であると以前にもご紹介しましたが、ヤモリは爬虫類なので「益獣」といわれています。
︎ヤモリとイモリの違いを比べてみよう
| ヤモリ |
ヤモリ |
| ・家の壁や天井に生息 |
・水田、池、川などに生息 |
| ・夜行性 |
・夜行性だが、昼間に活動することもある |
| ・光に集まる昆虫を捕食 |
・ミミズ、昆虫、オタマジャクシなどを捕食 |
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イモリとヤモリを見分けるポイント
1番簡単に見分けられるポイントは、
イモリ→井戸を守る 水辺に住んでいる
ヤモリ→家を守る 主に家屋のそばに住んでいる
水か、地上かを見ると分かりやすいですね。
︎まとめ
名前が似ているこの2種類の生き物、イモリとヤモリ。
名前は似ていますが、生息地や生き方も全然違うことがよく分かりました。
特に私たちの身近に住んでいるヤモリ。
もしも見つけた際には、私たちに害を加える生き物ではなく、暮らしを守ってくれている大切な生き物だということを思い出してみてくださいね。