乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬と猫のお話。馬と猫はマイペースな性格と、驚きの身体能力という共通点があります。
犬のように人懐っこくはないものの、じわじわと距離を縮めてくれる存在。
そんな「マイペースさ」を持つ馬と猫には、意外な共通点が多くあります。
一方で、体のつくりや能力には大きな違いもあり、知れば知るほど面白いのです。
乗馬クラブには必ずと言っていいほど猫も暮らしていますよね。猫は小さくても肉食系。馬は大きいけど草食系。根本的な生物学的な違いがあるのですが、どんな共通点があるか、探ってみました。

性格・習性の共通点
- マイペース
人間が急かしても、やる気スイッチが入らなければ動きません。
逆に、自分から動きたいときの集中力は見事です。 - 空間感覚が鋭い
人や物との距離感を正確に測ります。パーソナルスペースはとても大切です。 - 観察好き
じっと景色や人を見ている時間が長く、特に初対面の相手はよく観察します。 - 触られたいときとそうでないときがはっきり
甘えたいタイミングは自分で決めます。そこに無理やり入ると、スッと距離を取るのもよく似ています。 - 信頼関係はゆっくり築く
一気に仲良くはならず、少しずつ距離を縮めて時間をかけて心を開きます。

身体能力・感覚の比較
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項目 |
馬 |
猫 |
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平均体重 |
約400〜600kg |
約3〜5kg |
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視野 |
約350度(両目で見える範囲は約65度) |
約200度(両目で見える範囲は約140度) |
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視力(色) |
青・緑は識別可、赤は苦手 |
青・緑・黄色は識別可、赤は苦手 |
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聴力 |
約55Hz〜33kHz |
約48Hz〜85kHz(高音に強い) |
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脳の重さ |
約500〜700g |
約25〜30g |
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ジャンプ力 |
約1.8m以上(オリンピック級) |
約2m(体高の5〜6倍) |
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寿命 |
平均25〜30年 |
平均15〜20年(長寿は25歳以上) |
ジャンプ力の秘密

馬の1.8m以上という高さは、オリンピック級の障害飛越の記録です。
普段の乗馬クラブでは60〜90cm程度が多く、1.2m超えでもかなりクラスです。
しかしトップレベルの競技馬は、人の背丈以上の障害を軽々と飛び越えます。
一方、猫の2mジャンプは体高約30cmの6倍以上にあたります。
人間に置き換えると、身長170cmの人が約10mの壁を飛び越える計算になります。
小さな体に秘められた筋肉の瞬発力とバネの強さは、まさにアスリート級です。
似ているからこそ、見えてくること
マイペースで、人間に合わせすぎず、それでいてふっと寄り添ってくれる瞬間があります。
こうした距離感の生きものと暮らすと、相手の機嫌や表情の変化に敏感になります。
馬と猫。
体の大きさも暮らす場所も異なりますが、「自分のペースで生きる」という姿勢はどちらも同じです。
似ているところも、違っているところも、どちらも魅力的ですよね。






























