暖かくなったと思ったら寒くなったり雪が降ったりと、三寒四温と呼ばれる春の揺らぎが強くなって来ました。
春は気温やお天気だけでなく、人もワンコも生き物全てがゆらゆらと変化しやすい季節です。
なかでも持病があったり、シニアのワンコは影響を受けやすく、体調不良になりやすい時期でもあります。
ワンコ薬膳のアシスタントである我が家の愛犬の小桃も先日12歳を迎え、
「あれ?ちょっと前までこのくらいのお散歩は嬉しそうに歩いてたのに…」
「熟睡してて、声をかけても起きないなあ…」
「顔が白くなったなあ…」と、老いを感じる事が多くなっています。
加齢によって様々な症状が出たり、病気になりやすくなったりしますが、今回は主に足腰の関節に表れる症状のお話をさせて頂きます。
「えー、私はまだまだ若いもん!!!」
ワンコのシニアって何歳から?
西洋医学では一般的に小型犬で7歳ごろ、中型犬で6歳ごろ、大型犬は5歳ごろを基準にシニア期に入ると言われています。
東洋医学では親から受け継いだ生命パワーである「腎精(じんせい)」は5〜6歳でピークを迎え、徐々に下がっていくと言われています。
あくまでも目安ですから「◯歳だ!今日からシニア!」ではなく、年齢を考慮しつつ、体調や様子を見てフードの切り替えなどを行なっていくと良いと思います。
「数字は大切だけど、あくまでも基準のひとつなんだね」
※泰介は推定8歳ですが、カロリーはシニア寄りですが、タンパク質は気持ち多めの薬膳ご飯にしています。
シニアのワンコに多い足腰の痛み
〈 膝蓋骨、股関節の痛み 〉
人間も歳を重ねると悩む方も多い足腰などの関節の痛みですが、ワンコも多い症状です。
人間は足の裏全体で立ちますが、ワンコは小さな肉球だけで体重を支え、踵は宙に浮いた状態で立ちます。
人間で言うとつま先立ちで常に立ったり歩いたりしているという状態です。
人間なら足の甲までのびる足指の骨や意外とたくさんある甲の骨、柔軟に動く足首の関節などで足にかかる衝撃を逃したらしますが、犬は足首が動く範囲が人間よりかなり小さいので主に膝関節や股関節に負担がかかります。
特に膝関節はワンコの体の構造上、かなり酷使されます。
ワンコの「膝蓋骨脱臼」は悩まれている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
シニアはもちろん、出来れば仔犬の頃から…お家にお迎えすると決めた日からワンコが暮らす場所や動線の床はマットをひくなどして滑らない様にするのがおススメです。
若いうちから早めに気を付けてあげてください。
「僕も股関節が悪いから、お家にマットひいてもらってるよ」
※我が家はコルクマットを使っています。滑らず、床からの冷えを軽減しますが汚れると落ちにくいです。
敷物は生活スタイルに合わせてお選びになると良いと思います。
〈 腰椎ヘルニア 〉
背骨の椎間板が変形して、脊髄を圧迫する事で起こる病気です。
痛みや麻痺などの神経症状を引き起こし、症状が重くなると下半身麻痺になってしまう事もあります。
東洋医学では骨棘(こっきょく)と呼ばれる骨の棘が神経に刺さり、何をしても痛い状態です。
(西洋医学の「骨棘」とは少し違います)
年齢の若いワンコでも発症する事が多く、特に胴が長いダックスフント、コーギー、ペキニーズ、シーズーなどに多い病気です。
この後お話する頚椎ヘルニアもそうですが、痛みに強いワンコでも動けなくなったり、酷い時は鳴き叫ぶ程の痛みがあります。
注意したいのがワンコの場合はほとんどの場合一番最初に発生した時の症状が短い為、気づいて病院に駆け込んだ時は症状が進んでしまっている事が多いです。
「あれ?歩き方がおかしいな」
「体に触れさせてくれない…」
「なんか動かないなあ?」
と思ったら出来るだけ早く病院へ行ってください。
〈 頚椎ヘルニア 〉
今回は「足腰」がテーマのお話ですが、腰椎ヘルニアや股関節の痛みとセットで併発する事もありますので今回少しだけお話させて頂きます。
腰椎ヘルニアと同じ様に、首の骨である頚椎の椎間板が神経を圧迫して様々な症状を起こします。
首が捻れてお顔の角度が変わったり、強い痛みで脈が早くなったり、食欲不振や排泄の回数が減ったりコントロールが効かなくなったりします。
ワンコは頚椎ヘルニアになる確率は低いと言われていますが、罹ってしまうと軽度の時は普通に元気に走ったりジャンプも出来てしまう為、症状がかなり進んでから発見される事が多いです。
重篤になると四肢の麻痺や心肺機能への影響がありますので「おかしいな」と思ったらすぐに診察をして、治療を開始してください。
発症から5〜7日以内に治療を始められれば影響を最小限にできると言われています。
「早く見つけて、早めの治療がベストだね!」
〈 侮れない!肩こりと首こり 〉
こちらも足腰にかなり影響がありますのでお話させて頂きます。
ワンコは若くて健康な状態で体重の6〜7割を前足に乗せていると考えられています。
しかし、加齢などが原因で後ろ足が弱くなると重心はどんどん前足の方にかかって行き、腰や背骨が丸くなったり、肩、首の周りの筋肉に負担がかかって気付けばカチコチになってしまっているワンコは非常に多いです。
「えー、肩こりなんて、大した事ないでしょ?」と思われるかもしれませんが、ワンコの場合、体の前側の筋肉が固まると不快感だけでなく、背骨の変形、首の変形、呼吸や心拍への影響と侮れない症状が出て来ます。前提疾患や癲癇発作のあるワンコも首、肩周りはとても緊張しやすいですので、是非ケアしてあげてくださいね。
「肩こり、飼い主さんも放置しないでね」
次は、ケア方法をご紹介します。