乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は「馬の鼻水」についてです。
季節的に人間界では様々な感染症が流行していますね。
馬も同じように風邪を引いたり感染症にかかります。
馬の鼻水が出ているのを見たことがある方もいらっしゃるかと思いますが、馬の鼻水はどういう時にでるものなのでしょうか。
鼻水は馬の呼吸器官に異常がある兆候です。
他の馬に感染して危険となる呼吸器疾患を患っている可能性があります。
呼吸器の一部にアレルギー症状が出ている可能性もありますし、伝染性やアレルギー性のないさまざまな病気のいずれかにかかっている可能性もあります。
鼻水が出ている場合は、次の点に注意しましょう。
- 鼻水は片方の鼻孔から出ますか、それとも両方の鼻孔から出ますか?
- 見た目はどうですか? 透明ですか、白ですか、黄色ですか、薄いですか、濃いですか?
- いつもですか??そうでない場合、どのくらいの頻度でですか?
- どのような状況で気づきましたか?馬房の中、乗馬中、馬具を外しているとき、または草を食んでいるときですか?
鼻水は、細菌やウイルスの感染、または上気道(鼻と喉)または下気道(下気管と肺)の炎症の結果である可能性があります。
腺疫
腺疫 ( Streptococcus equi ) は馬の細菌性疾患で、下顎枝間の膿瘍を伴うことが最も一般的です。
ただし、目に見える膿瘍がなくても発症することがあります。
腺疫には非常に効果的なワクチンがあります。
分泌物は、通常、濃く黄色で大量に出ます。
馬は食事をとらないか食べる量を減らし、体温が正常より高くなり咳が出ることもあります。
ウイルス性疾患
馬には人と同じ様に多くのウイルス性疾患があります。
通常、一時的な体温上昇、薄い乳白色の分泌物、咳、および若干の体調不良を引き起こします。
馬インフルエンザ、馬ヘルペスウイルスなどです。
分泌物は、二次的な細菌感染により黄色に変わることがあります。
二次的な細菌感染は、若い馬や免疫反応が低下した馬によく見られます。
気管支と肺がウイルス感染から回復するには数週間の時間がかかります。
そのため、仕事に復帰する前には十分に休ませてあげることが大切です。
病気や感染の恐れのある馬は、できるだけ他の馬と近づかないように隔離しましょう。
片方の鼻孔から分泌物が出る場合、喉嚢や副鼻腔などの感染症など、さまざまな原因が考えられます。
片方の鼻孔から悪臭がする場合は、口から副鼻腔への通路が塞がれていることが考えられます。
これは通常、臼歯の損傷が原因です。片側から何度も分泌物が出る場合は、早期発見が大切ですので、獣医師に診察してもらいましょう。
アレルギー
アレルギーで鼻水がでることもあります。
通常季節性で、花粉に関連しており頭を振る動作を伴うことがあります。
鼻を鳴らす回数が多いこともよくあります。
分泌物は通常薄く、やや乳白色の外観を呈することがあります。肺に影響するアレルギーは、馬房で過ごす時間の長い馬で起こることがあります。
ほこりやカビにさらされる機会が増えると、ほこり、カビ、飼料、寝具、花粉、特定の植物や木に対するアレルギーを発症する可能性があります。
炎症性気道疾患 (IAD) と再発性気道閉塞 (RAO)
運動馬に見られる下気道の症状には、炎症性気道疾患 (IAD) と再発性気道閉塞 (RAO) (喘鳴とも呼ばれる) の 2種類があります。
これらの馬は、粘液を咳き込むことがあります。運動後に頭を下げると、一時的に鼻水が出ることがあります。運動を始めた時に咳き込む馬は注意してみてみてください。
鼻水は、感染症かアレルギー、気道のトラブルの可能性の兆候ですので、気になった場合はすぐに獣医さんに診て頂いてくださいね。