乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬の死亡原因で多いとされているものについてのお話をしようと思います。
馬の主な死亡原因は3つ
- 疝痛を含む胃腸疾患
- クッシング症候群
- 跛行/蹄葉炎
と言われています。
《 疝痛 》
「疝痛」は、いわゆる腹痛です。
さまざまな問題を包括するような用語で、馬の胃腸の問題も対象となります。
馬は吐くことができないため、腸に問題があると最悪な結果を招く可能性があります。
馬が転がったり、のたうち回ったりすると、疝痛の危険性が高まります。
これにより腸がねじれ、破裂する可能性があります。
腸捻転を防ぎ、腸を動かすために引き馬をする場合もあります。
腸内の活動を維持するは、監視付きの運動が重要です。
ただ、馬は痛みに弱いため、痛みを取り除く治療を優先させます。
《 クッシング症候群 》
「クッシング症候群」は、下垂体に影響を及ぼし、ホルモンの不均衡を引き起こします。
クッシング症候群の一般的な兆候には次のようなものがあります。
- 抜け落ちないウェーブのかかった長い被毛
- 慢性跛行
- 発汗(過剰)
- 運動能力の低下
- 体重の減少と筋肉の減少、特にトップラインの減少
この病気は、通常10 代から高齢の馬に見られ、診断時の平均年齢は20歳です。
下垂体機能の正常化に役立つ薬がいくつかあります。
また、飼料は炭水化物を極力減らす必要があります。
夏でも毛が伸びるので、夏はもちろん一年中過剰に伸びた被毛を毛刈りします。
また発汗も多いため、毛刈りは体温や体調の管理に有効です。
クッシングの症状を回復させる治療法や方法はないため、クッシングの管理は生涯にわたって必要となります。
《 跛行と蹄葉炎 》
「跛行」と「蹄葉炎」は別のものです。
「跛行」とは、馬が痛みを感じ、足を引きずったり、不健康になったりすることを意味する総称です。
足の骨折など、より極端な跛行の原因は安楽死の原因となる可能性があります。
「蹄葉炎」は、馬の蹄の病気です。
蹄骨が剥がれ落ちてしまい痛みを伴います。
治癒のできない病気で悪化しないように管理が必要ですが、悪化すると最終的には予後不良となってしまいます。
原因は、はっきりと解明されない場合が多いですが、濃厚飼料の与えすぎや、感染、クッシング症候群もこの病気を引き起こす原因となります。
蹄なくして馬なしと言われる程、馬にとっては大切な蹄です。命に関わる病気にかからないように適切なケアが大切です。
これ以外の死因ももちろんありますし、とても長生きして老衰もあります。
犬や猫と比べても、大動物である馬の治療や療養について出来ることは限りがあります。
死因を特定できない(しない)事も多々あります。
私たちにできることは、その時その時でどうする事がその馬にとってベストかを判断し、色々な側面からベストを選択できる人であり続ける事だと思っています。