同伴出勤する猫「うにたん」
完全介護の実体験コラム
第1回
スコティッシュホールド先天性異常
スコティッシュホールド先天性異常
ペットショップの人気猫種ランキング1~2位に位置する人気のスコティッシュホールド。
特徴は、ペタンと前にたれた愛らしい耳、全体的に丸いフォルムとおとなしく温厚で人懐っこい性格、そしてあまり鳴かないことから猫飼い初心者向きで、10年前に比べると飼育頭数も増え猫ブログなどでは常連品種になりました。
最大の特徴である耳は、たち耳と折れ耳があり、折れ耳の子猫が産まれてくる確率が3分の1と低く、たち耳の子猫より希少価値が高いため耳の折れ具合にもよりますがさらに5万円程高く値段がつけられる傾向があります。
さらに、毛の長さが短毛種と長毛種の2タイプが産まれ長毛種の産まれる確率が短毛種よりも低いことから値段が高くなると言われています。
もともと、折れ耳の猫は突然変異の骨に奇形がある猫から作り出されたと言われており、将来的に骨の病気や内臓疾患を起こしやすいです。
さらに、両親ともに折れ耳をかけあわせた仔猫は強く異常がでるため耳折れ同士の交配はしてはいけないとされています。
しかし、昔から悪質なブリーダーのなかには、単価の高い耳折れの仔猫を多く産ませるために両親を折れ耳同志で交配するケースがあるため、仔猫を迎える際は、十分に両親の確認が必要があります。
私が飼っているスコティッシュホールドの「うにたん」は、14年程前に数多くのブリーダーに「耳折れ・オス・クリーム色・長毛」と1件1件オーダーのメールを出し、毎回子猫が産まれるたびに連絡をもらい、写真を送ってもらって約2年、ようやく出会えた希望通りの理想の子猫でした。
当時、スコティッシュホールドの魅力にどっぷりはまっていた私は、耳折れ同士の交配が遺伝的に非常に危険だということもわかっていました。
だからこそ、少しでも将来病気になるリスクを軽減するために、うにたんの父親・母親・兄弟等の写真を複数もらい、両親がたち耳と折れ耳ということやその証明にもなる血統書を発行してもらい念には念を入れて慎重に迎い入れました。
大阪空港から飛んだ飛行機を羽田空港で2時間も前から待ち、ようやく小さなバスケットの中にいる15センチほどのクリーム色でふわふわしたかたまりを目にしたときの衝撃的な感動は、今でも忘れられません。
そうして、うにたんとの暮らしがスタートしました。
この数字は、他の猫種よりもスコティッシュホールドの骨の異常が将来的に発症する確率です。
何度も言いますが、スコティッシュフォールドは、遺伝性疾患を発症しやすく「骨軟骨異形成症」や「内臓疾患」など、特に骨の病気は深刻で早いと成長期の生後3ヶ月~2歳頃までの発症率が高くなっています。
症状は、足を引きずる歩行困難から始まり、手首と足首の関節にコブ状の「骨瘤」というものが形成され関節が腫れているように見えることや、四肢や尾・脊椎へと進行してゆくと全身へ骨の異常が広がっていくため神経の圧迫で痛みが発生、関節を曲げることができなくなるため進行度にもよりますが歩けなくなるケースもあります。
この進行度は、個体差があり成長が止まると同時に症状もおさまる場合や、成猫になっても症状が進んでしまう場合もあります。
また、鼻の骨に症状がでた場合は、鼻血を出して止まらないことや、尾にも症状がでると硬直し動きが鈍くなることがあります。
うにたんの場合は、前両足に「骨瘤」ができ、両足とも関節が固まっているため早い段階で立てなくなり寝たきりになりました。
また、発症時期も成長期とは無縁の13歳半頃に症状が現れ、発症から3ヶ月くらいで完全に立てなくなり、全く病気知らずだったにも関わらず突如、完全寝たきり介護生活が始まりました。
この歳から発症するのかと驚きましたが、主治医の先生によるとシニア期に発症し始めるケースも多いとのことでした。
「外科治療」「放射線治療」「薬物治療」です。
*「外科治療」
直接関節にできている「骨瘤」を手術で取り除きます。
*「放射線治療」
スコティッシュフォールドの軟骨異形成症の治療のなかで一番効果的とされており、放射線をコブにあてその成長を抑制してます。
*「薬物治療」
痛みの軽減として鎮痛剤を飲ませて和らげてあげます。最新の薬物治療としては人間の悪性腫瘍の骨転移や高齢者の骨折の原因となる骨粗鬆症の治療にも用いられているビスフォスフォネート製剤を内服させる治療法がでてきました。処置も15分程度の点滴で放射線治療に比べ猫への負担も少なく、治療費も放射線に比べると安く抑えることができ長期的な治療をせざるおえない飼い主にとっては、とても経済的で現実的な治療法のようです。
ここまで、スコティッシュホールドの可愛さとは裏腹にリスクの高いお話しとなりましたが、ペットショップで購入する際に、この大変なリスクをどれだけの人が理解し家族の一員として迎え入れているのかと思うととても心配になります。
次回は、猫介護の実態(日々のお世話のあれこれ)をお伝えします。
【 ご報告 】
会社に同伴出勤する介護猫「うにたん」(享年13歳)は、
7月29日午前1時頃永眠いたしましたことをご報告させて頂きます。
この介護コラムが少しでも皆様のペットちゃん達のお役にたつことを願っております。
※この記事の内容は個人の感想であり、すべての効果を約束できると言い切れる可能性があるとも限りません。
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