健康・病気

ペットの応急処置 – 屋外編

 

ペットの応急処置(屋外編)

 

 


 ペットがケガをした、事故に遭った、具合が悪くなったなどの緊急事態が発生したとき、動物病院に運んだり往診してもらえるまでの間、飼い主さん側でできる応急処置について考えてみたいと思います。もちろん、一刻も早く獣医師に診てもらうことが最優先事項ですが、少しの間に飼い主さん側でできること、また逆に、してはいけないことなどを把握しておけばいざという時に余裕ができ、役立つのではないでしょうか。

まずは、お散歩時を含めた外出時に、屋外でペットが事故にあった場合を想定してみましょう。

交通事故やケンカでの噛み傷の場合

 打撲だけでなく骨折している可能性もあり、痛いとペットが興奮して暴れ出すかもしれません。まずは飼い主さんが落ち着いて、ペットを安心させ、引っかかれたり噛まれたりしないように気を付けましょう。東京都国分寺市にあるオリーブ動物病院の有薗浩見院長に緊急の手当てについてお聞きしました。

「まず最初に、ペットが出血しているかしていないかを確認しましょう。もし出血があれば出血しているすぐ側の血管を押さえるなり、包帯や布類で巻くなりして止血します。そういったものがない場合は、素手で出血している箇所の付近を押さえてもよいです。通常は、5分から10分程、圧迫していると止血できますので出血が止まったかどうか患部を確かめます。」

ただ、止血方法が分からなかったり、実体験がなく手慣れていない飼い主さんの場合は、包帯や布で縛るにも縛り方や力加減がよく分からないかもしれず、難易度が高いかもしれません。傷を負っている動物は触られることをとても嫌がることもあり、手間取ったり、締めつけすぎたりしてうまくいかなくなるより、手で直にじっと患部を圧迫しておくほうが簡単で無難です。その後、ケージや箱などペットを入れられるものにさっと入れて、できるだけ速やかに病院へ運ぶのがベストです。

「出血がない場合はしばらくペットの様子を見ます。連続的な痛みがなさそうで、数時間ほどで痛みが引くレベルなら、一晩、家で様子を見てから動物病院に連れていっても大丈夫でしょう。ただし、触ると痛がって鳴く、元気がなく、だんだんぐったりしてきたというような様子であれば、出血がある場合と同様に、すぐに病院へ連れていくことです。」と有薗先生。

運ぶ際は、ペット自身が楽な姿勢、痛みを極力カバーできる姿勢を自らとるので、無理に姿勢を変えず、その状態でケージ等で運びます。興奮させないように、できるだけ移動中は揺らさないように気を付けましょう。

出先で何か誤飲した場合

口の中を確認して何か入っている場合は、可能であれば取り除きます。吐かせることも重要ですが、喉の中で引っかかるものなど危険物を飲みこんでいたり、薬品類を飲んでしまっていた場合、吐かせないほうがよいこともあります。

「可能な限り、出先の緊急事態でもまず獣医師に連絡を取り、状況を説明してどのようにするのがよいか指示を仰いで行うことが重要です。拾い食いをした様子であれば自宅に連れて帰り、しばらく何らか症状が出るかどうかを観察します。しばらくたってから吐いたり下痢をしたり、呼吸が苦しそうな様子が見られたら、すぐ病院に連絡して連れていきましょう。」と、有薗先生はアドバイスしています。自宅内での誤飲よりも、飲み込んだものを特定しにくいため、より慎重に対処したほうがよさそうです。

熱中症や低体温、意識不明の状態

 真夏のお散歩、高温の室内での放置等が原因で、人間同様ペットの熱中症も多くなっています。ひどくなると脱水症状を起こして、意識不明の重症に。すでに、ペットがハァハァ息をして、よだれを垂らしているような状態であれば、すぐに涼しい場所へ移動させ、水をかけたり、水枕を当てたり、水風呂に浸けたりして体を冷やしてやりましょう。

逆に、寒い屋外や雪の積る中に長時間居て、凍傷や低体温になり、ぐったりして意識がなくなってしまうことがあります。このような場合は病院へ連れていくまでに、少しずつペットの体を温めてあげるようにします。「まず、体が濡れている場合は、乾いたタオルで拭いて水気を取ります。ドライヤーなどで温風を当てたり、湯たんぽを使うのもよいでしょう。ただしお湯のお風呂は、出した時に体が冷えてしまう可能性もあり、入れないほうが無難でしょう。」と有薗先生。

また先生は、「基本的に、動物のけがや事故などで、飼い主さん側でできることは割と少ないので、すぐに獣医師に状況を伝え、そのケースに応じた指示をもらってください。そのうえで、病院に連れてくるまでにやれる応急処置があればやりましょう。かかりつけの病院以外でも、急患はどの動物病院でも受け入れ義務があるため、大丈夫です。出先周辺の動物病院の連絡先などを常に控えておくと安心ですよ。」とお勧めしています。

取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm


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