すべての動物にとって、精神的な安定や生命の維持のためにとても重要な睡眠。
そして、一緒に暮らす犬や猫が、寝ている姿に多くの飼い主さんが心癒されていることでしょう。
それにしても、1日のほとんどを寝て過ごしているように感じる犬や猫たちの睡眠と人の睡眠に違いはあるのでしょうか?
そして、犬や猫たちにとって快適に暮らすために必要な睡眠は、どんなものなのでしょうか?
今回は、人と犬・猫の睡眠メカニズムを比較しながら、犬と猫にとっての理想的な眠りをご紹介します。
睡眠のメカニズム
まずは、動物の眠りの仕組みをおさらいしましょう。
眠りには、2種類の性質の異なる睡眠があります。
【 浅い眠り「レム睡眠」…身体の眠り・夢を見る状態 】
「REM」とは、”Rapid Eye Movement(目が速く動く)”の略です。
身体が眠っているのに、脳が起きているような浅い眠りで、まぶたの下でピクピクと目が動くためこのように呼ばれています。
【 深い眠り「ノンレム睡眠」… 脳の眠り 】
まどろむ状態から脳が完全な休息する状態まで、眠りの深さの段階があります。
より深いノンレム睡眠であれば、少しの時間でも脳の休息になります。
身体と心を健康に保つために、とても大切な睡眠です。
人の睡眠を知ろう!
眠りにつくと、まずノンレム睡眠があらわれ、次にレム睡眠へと移行します。
人間の眠りは、この2種類の睡眠を約90分周期で一晩に4~5回、一定のリズムで繰り返されています。
人間は、レム睡眠のときに夢を見ることで、日中に起きたことを頭のなかで整理したり、記憶にとどめています。
*人の睡眠:8時間
*2種類の睡眠の割合:レム睡眠(浅い眠り)20%・ノンレム睡眠(深い眠り)80%
犬の睡眠を知ろう!
人と同じく、犬もレム睡眠のとき夢を見ています。
手足がぴくぴく動いたり、ワフワフ・ウーと吠えたり、思いっきりダッシュしているように手足で宙をかくはとても微笑ましい姿です。
睡眠時間は、人より長く、年齢や犬種などにより個体差があります。
一般的に、幼犬や老犬は睡眠時間がやや長く、超大型犬も長め、作業犬(ボーダーコリー・シベリアンハスキーなど)は活動する時間を多く取るため短めな傾向があります。
もともと狩りをする動物であった犬は、狩りで消費する体力温存のため睡眠時間が多く必要でした。
また、寝ているときでも危険を回避できるように、外敵の気配を感じたらすぐに動き出せる浅い眠り(ノンレム睡眠)の割合が多くなっています。
*犬の時間:成犬12~15時間
*2種類の睡眠の割合:レム睡眠(浅い眠り)80%・ノンレム睡眠(深い眠り)20%
猫の睡眠を知ろう!
犬と同じく、人より睡眠時間が長く、幼猫・老猫は成猫よりさらに長い時間の眠りが必要になります。
また、夜行性・狩りをしていた名残で昼間にたくさん眠り、浅い眠り(レム睡眠)が多いという特徴も犬と同じです。
*猫の時間:成猫12~15時間
*2種類の睡眠の割合:レム睡眠(浅い眠り)80%・ノンレム睡眠(深い眠り)20%
1日の半分を寝て過ごす犬と猫のために
人・犬・猫にとって、質のいい睡眠は身体と精神を健康にし、生命活動の質を高めてくれます。
まずは、1日の半分を寝て過ごす犬と猫が安心して快適に眠れる空間を用意してあげてください。
【 体温調整ができるように 】
ベッドや毛布など暖かく寝れる場所と涼しく寝れる場所(タイル・フローリングなど)を自由に行き来できるようにする。
サークルなどで休ませるときは、できるだけ温度変化が大きい窓際をされて適温が保てる場所に設置する。
因みに、犬も猫も身体を固く丸めているときは寒さを感じています。
ゆるやかに身体を伸ばしているときが適温です。
寝ている姿を観察して、温度設定の目安にしましょう。
【 犬には、適度な狭さと暗さがある場所を 】
穴倉で寝ていた犬にとって、適度な狭さと暗さがある場所に安心を感じやすいです。
室内をフリーにしているときは、家具の横やテーブル・棚のしたなど、少し囲われた空間に寝床をつくってあげるといいでしょう。
睡眠は、短すぎても長すぎても身体と精神にストレスを与え、健康を害することになります。
まずは、愛犬・愛猫の平均的な睡眠時間を把握して、ぜひ安心して眠れる環境を整えてあげてください。