『セクレタリアト』『戦火の馬』で感じる、馬の誇りと絆
乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は夏のおすすめ馬映画!夏休み、映画で馬と向き合ってみませんか?
馬が登場する映画には、静かな癒しもあれば、思わず涙がこぼれるような感動もあります。
今回ご紹介するのは、そんな中でも「馬が生きる意味」「人との深い絆」を描いた2本の名作。
どちらも実話や歴史をベースにした、“心に残る”馬の物語です。
『セクレタリアト/奇跡のサラブレッド』(2010)

競馬ファンには言わずと知れた名馬「セクレタリアト」。
1973年、アメリカ三冠を圧倒的な走りで制したこの馬の物語を、女性オーナーの視点から描いた作品です。
この映画の魅力は、何と言っても「走ることが使命である馬の姿」
芝の上を駆け抜けるレースシーンは圧巻で、夏の青空と歓声の中、まるで風のように走るセクレタリアトの姿に、言葉を失います。
物語としては、主人公のペニーが馬主として周囲の反対や経済的な不安を乗り越え、馬とともに大きな夢を実現していくサクセスストーリー。
でも、その裏にあるのは、「この馬は走ることを望んでいる」という確信と、それに応える人間の覚悟です。
「勝ちたいんじゃない。走ることが、この馬の誇りなのよ。」
そんなセリフが、深く心に残ります。
『戦火の馬(War Horse)』(2011)

対照的に、こちらは戦争という過酷な時代の中で、馬と人が引き裂かれ、また再び出会うまでを描いた壮大なヒューマンドラマ。
イギリスの田園地帯で育った少年アルバートと、彼が育てた馬・ジョーイ。
物語は、第一次世界大戦の勃発とともに、ジョーイが軍馬として戦場へと送られてしまうことから大きく展開していきます。
この映画は、正直、美しいけれど、つらい場面も多い。
戦争という非情な現実の中で、馬が道具として扱われる苦しみや、命の尊厳が試される瞬間が描かれます。
それでも、ジョーイは決して希望を手放さない。
馬でありながら、まるで人間のように「生きること」を選び続ける姿に、観ているこちらが勇気をもらいます。
「あの馬には、心がある。生きたいという意思がある。」
終盤、再会のシーンで泣かされない人はいないと思います。
「馬は、自分のために走る」ということ
この2本に共通しているのは、馬が「誰かに命じられて走っている」のではないということ。
セクレタリアトも、ジョーイも、走るとき、逃げるとき、立ち止まるとき、、、すべては自分の意思と誇りに基づいています。そしてその姿に、人間はただ心を打たれるしかない。
走る意味も、生きる意味も、言葉ではなく行動で示してくれるのが、馬という生きもののすごさだと思います。
この夏、馬と“心の距離”を近づけてみませんか?
『セクレタリアト』は、爽快な感動を味わいたい夏の日にぴったり。
『戦火の馬』は、静かな夜にじっくり観たい一本です。
もしあなたが犬や猫と暮らしていたら、「馬って、こんなに感情があるんだ」と、きっと驚くと思います。
映画を通して馬と出会うことで、いつか実際に会ってみたい、触れてみたい。
そんな気持ちが芽生えたなら、それがこの夏の素敵な第一歩になるはずです。






























