イギリスとスイスの動物事情
第4回 イギリスとスイスを訪れて
イギリスとスイスに滞在して一番感じたのは、両国とも人目線からではなく、動物からの目線で見ているということでした。
人がどのようにしたいのかではなく、その動物のニーズは何なのか、それらをきちんと満たせるのか。
動物を家族の一員としてのペットとして見る前に、人とは違う動物であることを認識する。なので、犬に関する専門的な知識はなくとも、基本的なこと、つまり犬という動物がどういう生き物で、どのようなことが必要とされるのか。犬種特性と言われる犬種による特性や気質の違い、運動量の違い。そういった知識は犬を飼う前提の知識としてとらえられているように感じました。
例えば、イギリスで行なわれていたロンドンペットショー。
日本で行なわれるペット博のようにグッズなどが販売されているのに加えて、様々な犬種を紹介するコーナーがありました。そこには、
この犬種はどういう犬種で
どういうお仕事をしてきたか
どんな特徴・どんな気質がある。
などなど。
このように「正しく犬種を理解しよう」という考えが広く浸透しているように思いました。
また、スイスでは、犬を飼う際に、犬についての基礎知識を学ぶ講習を受けることが法律で義務づけられています。
その背景として、犬種や見た目だけで犬を飼うのではなく、犬のことを正しく理解してから飼いましょうという取り組みがあります。
この講習というのは、まず犬を飼う前に最低4時間の座学、そして犬を飼ってから1年以内に犬同伴で最低4時間の実技を学びます。(2頭目以降を飼う場合は実技のみ必須。)
内容としては、
・犬を飼う上で必要なこと(登録、予防接種など)
・犬にかかる費用、医療費
・犬種やその特徴
・どのように犬をコントロールするか
・起こりうる問題行動の対処法
などです。
なかには、この講習を受けただけで犬を飼うことを断念する人もいるそうです。
国から公認された施設は、この講習を行なうことができ、先にご紹介したSVPAでも受講できるようになっています。
また、どちらの国でも犬のしつけをするトレーニングクラスが数多くあり、パピーから飼っても成犬から飼ってもトレーニングクラスに通うというのが一般的になっている印象を受けました。
日が暮れるのが遅いヨーロッパならではですが、夕食後20時から始まるクラスもあり、仕事を終えた飼い主が犬を連れてクラスに参加し、アフターファイブを楽しんでいました。
どのクラスでも「トレーニング」という堅苦しさはなく、犬も人もイキイキとした表情で、一緒に何かするということを楽しんでいるように見えました。
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