しつけ・ケア

猫の不妊去勢手術 は5カ月齢までに行いましょう 〈 3 〉~早期不妊去勢手術 3つの不安~

西山ゆう子さんの情報サイトより(2021年3月9日)
https://yukonishiyama.com/spay-neuter-by-five/

【 この情報についての注意 】
・不妊去勢手術の施行時期については、猫と犬では見解が異なり、今回は猫に限った話です。
・アメリカにおける猫の不妊去勢手術の情報に関する情報サイトを許可を得て転載しています。
・アメリカの専門委員会「Veterinary Task Force on Feline Sterilization」が出している公式な見解です。

〈 1 〉~時代によって変わってきた手術時期の考え方~
https://goron.co/archives/10700
〈 2 〉~早期に不妊去勢手術をすすめる理由~
https://goron.co/archives/10702
からの続きです。
正しく、そしてより理解を深めるために、事前に上記2つの記事をお読みいただくことをおすすめいたします。


 早期不妊去勢手術の不安 〈 手術技術 〉

一般に、生後4か月齢までの子猫に行うものを、早期手術と呼んでいます

早い場合は、生後6週齢くらいで行うこともありますが、一般には生後8週齢くらいから行っています。
ただ、子猫の成長、栄養、病気の有無などで、体力に差があります。よって、判定は個別に行い、8週齢になったらみんな手術可能、という訳ではありません。
特に鼻炎、下痢、寄生虫、その他の感染症の疑いの子猫は、注意が必要です。
麻酔は、成長した猫と「基礎」は同じですが、手法が異なります。
子猫は成猫とは生理が異なるので、いわゆる小児学の知識が必要です。
具体的には、低体温の予防、低血糖の予防、代謝や血圧の変化のモニターが異なります。
手術前の絶食時間は成猫よりも短く、2カ月齢で2時間、3カ月齢で3時間、4カ月齢で4時間が目安です。
手術の術式は成猫と同じですが、メス子宮卵巣といった組織は柔軟で脂肪、血管が少なく、生理的腹水が子猫にはあります。
しかし逆に慣れてしまうと、むしろ成猫よりやりやすく、短時間で終了することができます。
そのため、メスは腹部の切開する部分が、かなり短くても安全に手術できます。
オスの去勢手術も、睾丸を陰嚢に確認したうえで、ごく小さな皮膚切開で行えます。
クローズ法という、総漿膜を切開しない去勢方法が一般的です。

また一般に、子猫は麻酔量が少なく、1匹あたりの手術時間が短いため、経営的にはコスパがよいとされています。
アメリカの低料金不妊去勢クリニックは、多くは子犬、子猫の早期不妊手術で、また料金も、従来の生後6か月齢と比べて、より格安で行うことが可能です。

 早期不妊去勢手術の不安 〈 麻酔 

子犬、子猫の麻酔関しては、複数の統計報告が出ています。
結果として、早期不妊去勢手術の麻酔は、安全に行うことができることが分かっています。
麻酔、手術中と、麻酔覚醒直の合併症―死亡、心肺停止、痙攣などーは、早期手術も、6カ月齢以上の手術を比較しても、発生率に差がみられません。
しかし、手術から1週間以内に発生するマイナーな合併症―切開皮膚部分の感染、糸がとれる、治癒の遅れや、下痢、元気食欲の消失などは、逆に早期不妊去勢手術のほうが、発生率が低いという結果が出ています。
これは実際に、現場の獣医師も感じていることで、子猫の手術は、切開部分も小さく、多くの場合気にして舐めることもなく、覚醒直後から元気に飛び回って遊んでいるのを経験しています。

麻酔と手術は、子猫も成猫も同じく安全であり、そして術後の合併症は、子猫のほうがより少ない、というのが判明しています。

 早期不妊去勢手術の不安 〈 長期的な副作用 

子猫の不妊去勢手術と、ある種の病気の関連性はないのでしょうか。
結果からいうと、手術時の年齢と以下の病気の間に、明確な関連性は認められていないと結論づけられています。

骨格形成、関節形成不全
特に大型犬では関連性が示唆さえているために、猫でも骨と関節の成長に影響するのではと懸念されていますが、猫では関係は否定されています。

オス猫の尿道狭窄、尿道の未発達について
あまりにも幼少の時期に去勢をすることで、尿道がうまく発達せず、将来、尿道閉鎖症が起こりやすくなるという懸念が以前からありました。
確かに、去勢のオス猫の尿道閉鎖症の発症率は、未去勢猫よりも高くなっています。
しかし、複数の研究報告、統計結果で、早期去勢手術をした猫と、生後6か月より遅く去勢手術をした猫との間に有意差はなく、どちらも発症率は同じだとわかっています。
そもそも猫の尿道閉鎖症は、尿道の細さだけではなく、尿道炎、膀胱炎、尿結晶、尿の酸アルカリ度、尿比重、細菌感染、無菌性膀胱炎、ストレスなど、複数の因子が関与している病気です。尿道のサイズだけで病気の発生率は予想できません。

早期不妊去勢手術と問題行動
排尿、排便異常行動、尿スプレー、攻撃性などの好ましくない猫の行動と、早期不妊去勢手術との関係も、調べられています。
結果的に、早期不妊去勢手術と、問題行動の因果関係はないと結論されています。


〈 4 〉~ まとめ ~
https://goron.co/archives/10706
に続きます。

猫の不妊去勢手術 は5カ月齢までに行いましょう 〈 2 〉~早期に不妊去勢手術をすすめる理由~

猫の不妊去勢手術 は5カ月齢までに行いましょう 〈 4 〉~ まとめ ~

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

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(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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