乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、ムックという馬のお話です。
ムックは斑毛のミックス。
生まれたのは推定1992年。
誕生日は7月7日に決めました。
福島県で生まれたらしいという事はわかっていたけど、詳細不明の馬でした。
馬は、歯の溝の長さを見ると推定年齢がわかるんです。
それで1992年としたんですけど、その十数年後、ムックと思われる馬が仔馬だった頃を知っているという人と出会いました。
ちょうど92年頃と聞いて嬉しかったのを覚えています。
ムックは、中間種と呼ばれる種類のミックスでした。
顔が大きくて、体もずんぐりと逞しい。
今思うと、中間種ミックスの中ではかなりバランスの取れた体型の馬でした。(親バカ)
ムックは、オールマイティ。
初めての方から、経験者のレッスンまでこなしてくれていました。
ムックの気持ちも乗り心地も安定感があって、全幅の信頼をしていました。
でも少し寂しがりやな面があって、若い頃は1頭で何かするのが大嫌いでしたね。
こういう種類の馬はとても頭が良くて、頑固な面があります。
ムックも例に漏れず、1頭で運動されるのが嫌で、トコトコと馬場から厩舎まで速歩(決して早くはない)でお客様を乗せたまま戻ってしまう事もありました。
そういう時にはお客様ではなかなかコントロールが難しい頑固さがありました。
でも、暴れたり暴走したりする訳ではないので、長く一緒に働きましたが、私と一緒にいた十数年の間に落馬はありませんでした。
そんなムックは、以前お話したボスのダックと共に、クラブの創成期を支えてくれました。
本当に数え切れなくらい一緒に仕事をしてきました。
ムックは25歳で亡くなりました。
寂しがりやだし、自己主張はしっかりするタイプでしたが、最期の時は、検査結果で獣医さんが驚くほどの悪い数値が出ているのに、痛がらず、辛そうな姿を私たちに見せることなく、静かに息を引き取りました。
ムックと一緒に働けた事は本当に心底楽しかった!
ムックの思い出を持っていらっしゃるお客様もたくさんいらっしゃると思います。
私はこの先も様々な馬に出会うと思いますが、ムックの様な馬にはもう出会えないだろうなと思います。
ムックと一緒に過ごした乗馬クラブの創世記は20代の青春そのものでしたね。
皆さんも、忘れられない馬、一緒に過ごしてきた動物はいますか?