進由紀

妊娠中に乗馬はできる?

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は「妊娠中に乗馬はできるのか?」についてお話します。

妊娠中の乗馬については慎重に考えましょう

妊婦さんの体は妊娠によって様々に変化し、運動や日常生活の行動においても注意が必要になります。
乗馬は楽しいアクティビティであり、アウトドアや動物とのふれあいを楽しむための素晴らしい方法かもしれませんが、妊娠中にはいくつかのリスクが伴います。
妊娠中に乗馬をすることのリスク、注意点、安全に乗るためのアドバイスを詳しく説明します。

妊娠中の乗馬のリスク

1.落馬の危険性

妊娠中は、体が重くなり、バランスを取るのが難しくなります。
特に妊娠後期ではお腹が大きくなり、動きや体勢が不安定になりがちです。
乗馬中に落馬すると、腹部に衝撃が加わることがあります。
これが流産や早産のリスクを高める可能性があり、最も注意しなければならない点です。

2.馬の動きが予測不可能

馬は敏感で、外部の刺激や環境に反応する動物です。
妊婦さんが乗っている時に馬が急に走り出したり、方向を変えたりすると、妊婦さんが予期せぬ動きに反応できない場合があります。
こうした急激な動きが体に負担をかける可能性もあります。

3.身体的な負担

妊娠中は骨盤周りや腰に負担がかかりやすく、乗馬はその部位に圧力をかける運動です。
特に妊娠中期や後期では、体調が不安定になりやすく、急な動きや揺れが腰痛や関節の痛みを引き起こすこともあります。

妊娠中に乗馬をしても良い場合

とはいえ、すべての妊婦さんにとって乗馬が絶対に危険というわけではありません。
妊娠中に乗馬をする際には、以下の条件が整っている場合は、より安全に楽しむことができるかもしれません。

1.妊娠経過が順調であること

妊娠が順調で、特に医師から運動を控えるように指示されていない場合、軽い運動として乗馬を楽しむことができることがあります。
しかし、必ず医師に確認し、妊娠の状態に問題がないかを確認することが重要です。

2.経験豊富なインストラクターがサポート

妊娠中に乗馬をするなら、必ず経験豊富なインストラクターと一緒に乗り、しっかりとサポートを受けることが大切です。
初めて乗馬をする場合や、長期間乗馬から離れていた場合は特に注意が必要です。

3.馬の性格と環境

落ち着いた性格の馬を選び、静かな場所で乗ることが理想的です。
騒がしい場所や競技馬は避け、穏やかなペースで乗ることをおすすめします。

妊娠中に乗馬をする際の注意点

1.必ず医師に相談する

妊娠中の運動については、必ず産婦人科医に相談してください。
妊娠の経過や個々の体調によって、乗馬が適しているかどうかを診断してもらうことが大切です。

2.無理をしない

妊娠中は体調が不安定なことがあり、疲れやすくなることもあります。
無理をせず、体調が良い時に短時間、軽く乗ることを心がけましょう。
もし体調が少しでも不安定であれば、乗馬を中止することを選択するのが賢明です。

3.ペースを守る

妊娠中は急な動きや激しい運動は避け、常歩でゆっくり歩く程度にしましょう。

妊娠中の代替運動

もし乗馬に不安を感じる場合やリスクを避けたい場合、妊娠中でも安全にできる代替運動を選ぶこともできます。
ウォーキングや水泳は妊婦さんに優しい運動として広く推奨されています。
特に水泳やアクアビクスは、体への負担が少なく、関節を守りながら全身を使った運動ができるのでおすすめです。
また、妊婦向けのピラティスやヨガも、柔軟性を高め、体幹を鍛えるのに効果的です。


妊娠中の乗馬にはリスクが伴いますが、条件が整っていれば楽しむこともできます。
ただし、体調や妊娠の進行具合によって、注意深く運動を選ぶことが重要です。
必ず医師に相談し、経験豊富なインストラクターのサポートを受け、安全に行うことを心がけましょう。
また、もし不安があれば代替運動を検討し、妊娠中の健康を最優先に考えることが大切です。

とはいえ、インストラクターの立場から申しますと、妊娠中の乗馬はやめましょう!実際に妊娠中に騎乗できる乗馬施設は日本ではほぼないかと思います。
プロの方は出産直前まで乗って、産後もすぐに競技復帰される方もいらっしゃいますが、、

特に妊娠中期以降はお腹が大きくなると乗り降りにも不自由が出てくると思います。
どうかあえてのリスクを取らずに、出産後の乗馬を楽しみに妊娠中は馬との安全な触れ合いを楽しんでいただけたらな、と思います!

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

関連記事

  1. 冬の馬の管理〈 後編 〉冬の騎乗で気を付けること
  2. 一生忘れることない馬『カザン』の話
  3. 馬の心理学「驚く馬」
  4. 馬のいたずら「悪癖」
  5. 「馬の脳」と「人の脳」- 2 馬は嫉妬する?
  6. 馬が出てくるおすすめの映画紹介 〜 基本編 〜
  7. 馬とメディカルアロマセラピー 活用方法と注意点
  8. 馬の皮膚のかゆみ(後編)