しつけ・ケア

アフターライドケア(騎乗後の馬のケア)

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、騎乗後の馬のケアについてです。
どんな騎乗内容でも、終わった後は馬に感謝の気持ちを伝えて、また馬に異常がないかをチェックする大切な時間です。

まずは「クールダウン」

運動が一通り終わったら、鎮静運動をしましょう。
5分以上10分程度は常歩で歩きます。
手綱は伸ばして、自由常歩をします。
馬がリラックスして首を前下方に伸ばし、ゆったりと背中を使って歩いていたら、運動が上手くできた目印になります。
馬の呼吸が落ち着くまで歩きます。
夏場はクールダウンが短いと危険です。
なるべく日陰で息が落ち着くまで歩きます。
逆に冬場は馬が汗をかくほど運動した場合は、長く歩かせている間に馬体が冷えてしまいますので、気をつけましょう。

次に「馬装解除」

下馬して馬を繋いだら、馬装を解きます。
頭絡を外したら、鞍、足元を外します。
騎乗が終わったら、自分の事よりも馬の馬装を先に外してあげてくださいね。

「お水をあげる」

馬装解除をしたら、お水をあげましょう。
馬は自分の体温に近い水の方がより多く飲みます。
冷たい水ではなく気温に応じてぬるま湯をあげると良く飲みます。
馬にお水をあげたら、自分も水分補給もして下さい。
(具合が悪い場合などはもちろん先に飲んでくださいね)

「手入れ」

この時点で環境が許すのであれば、お仕事後のリフレッシュとして放牧してあげると良いですね。
鞍下に汗をかいていてもゴロゴロと砂浴びしたり、思い思いに自由時間を過ごしてもらいましょう。
その後、もう一度繋いで、お手入れをしていきます。
お手入れの手順については過去記事をご参照ください。

《 騎乗後の注意点 》

・ブラシをかけながら、背中や腰などビクッとしたり痛がる場所はないか?
・鞍傷や拍車痕、馬体に傷はないか?
・肢元や蹄に熱、腫れはないか?
・呼吸は正常か?
・汗が止まらないなどの異常はないか?

などをチェックしてください。

なるべく手で触り、体温などを感じながら馬の反応を見てケアしてあげてください。
この時間は人馬の関係を築くために大切な時間ですが、長ければ良いというものでもありません。
繋がれて拘束される事も負担になる場合があります。
馬の反応を見て、ダラダラと馬が飽きるまで行わないようにしましょう。

最後に「引き馬(散歩)」を

お手入れが一通り終わったら、馬を馬房に帰します。
少し引き馬をして歩様に異常がないか見ましょう。
少し草を食べさせたりなど、お散歩をするのも良いですね。

アフターライドケアタイム、私は大好きな時間です。
みなさんもお仕事を頑張った馬に、十分な感謝を伝えてくださいね!

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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