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イヌに教え、教えられ 第10回 引きずらないって、素晴らしい!

イヌに教え、教えられ

第10回 引きずらないって、素晴らしい!


スピッツのシロは運動神経抜群、元気印のとっても明るい女の子。
シロとシロの家族は、しつけレッスンを受けてくれている。
ママが改善したいお悩みの1つが、テーブルにピョン!と前脚を掛けてしまうこと。
誰も見ていない時に、テーブルや台、タンスの上に前脚を掛けて、食べ物やいたずらできそうな物を取ってしまうこともある。
家族の食事をテーブルからシロにあげたことは1度も無いが、誰かがテーブルにつくと、何かを期待せずにはいられないシロ。勢いよくピョン!とテーブルに前脚を掛けたり、イスに前脚を掛けて、人の腕とテーブルの間から顔を出したり、悪気の無い目でこちらをキラキラ見つめてくるシロ。
 
「シロ、それはやっちゃいけないでしょ!」
「ダメっ!!」
と、ハッキリ・分かりやすい大きな声で叱るママ。
ママのカミナリに、その場はしおらしく止めるシロだが、数分後には怒られたことはどこへやら、、、怒られたことをすっかり忘れて楽しそうにチャレンジしてくるシロ。
ママも負けじと何度でも叱る。それでもシロは、テーブルにピョン!と飛びつくのをなかなか止めてくれない。
 
     シロが諦めるか、ママが諦めるか。
 
何度叱られてもチャレンジしてくる諦め知らずのシロに、人間の方が先にお手上げになりそうになる。
 
だけど、叱られてもそれを引きずらず、「シロおいで~!」と呼べば嬉しそうに駆け寄ってきて、いつも笑っている無邪気なシロを見ていると、悩んでいるはずの家族までいつの間にか笑ってしまっている・・・
自分だったら、うまくいかなかったり、叱られればすぐには切り替えられず、明るくなんてできないし、笑えないこともしばしば。悩み込んでしまうこともある。
落ち込まず、引きずらず、笑顔で飛び込んでくるシロに、最後は笑顔にさせられている私たち。
 
     それはそれですごいことなんじゃないか!?
     ママも私もシロも皆笑顔だし!とママと私は妙に納得した。
 
普段の日常生活で悩むことはある。悩んでいると暗くなりがちだったり、切り替えられないことも多い。でも、そんな悩んでいるときにこそ、引きずらずに笑い飛ばすことで、案外うまくいくことだって沢山あるんじゃないか?
 
     「悩んだときは、笑ってみる」
     引きずらないって素晴らしい。

 
 
シロと家族の悩みその後は、、、
シロが好きなオヤツを使って、前脚をテーブルに掛けるよりも、掛けないほうがシロにとってもっともっといいことがあるよ。どっちが得だと思う?って考えさせるような練習方法にしたら、イスの脇にちょこんと座り、大人しく待つようになってきました。
こうしてこの記事にできたのも、シロがテーブルにピョン!を卒業する目処が付きそうだからなんですけどね、笑。

2014年4月24日掲載

 

イヌに教え、教えられ
第9回 競争は意欲を生む

イヌに教え、教えられ 第11回
「大変」から「幸せ」に変わるとき

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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