しつけ・ケア

イヌに教え、教えられ 第42回 頼るもの(オヤツ)がないトレーニングを

柴犬の凜とご家族。


食べる意欲が強い凛は、オヤツがあると俄然やる気が出てトレーニングしやすい。
「スワレ」「フセ」「マテ」「コイ」「アトヘ」
どのコマンドも上手にできる。

そのトレーニングを通して、
・指示の出し方
・褒めるタイミング
・強弱 など
家族が覚えることで、当初悩んでいた凛の行動も改善に向かっている。
そして、今ではトレーニングの目的が「凛と楽しむこと」「信頼関係を深めること」に変わってきました。

ただ最近、飼い主のパパとママに
「オヤツがなくてもできるかどうか・・」と半信半疑な思いがあることを知りました。
私から見ればオヤツだけでやっているのではないと分かっていたが、家族にはその確信がなかった。
そこで、私は、あえてオヤツを一切使わないレッスン日を設けることに!
「・・えぇ!」
パパは、明らかに驚いた反応を見せ、顔に「オヤツなしでできるの?」と書いてある。

トレーニングスタート。
凛以上に、パパが「オヤツがない」ことを意識しすぎて、態度や動きが硬い。いつもはできることが1回できないだけで、落ち着かなくなるパパ。
指示を連呼してしまう。
一旦止めて、すぐにできなくてもいいので、慌てずに凛がパパの呼びかけに反応してるか観ながらやってみようとアドバイス。

「凛」
耳が動く。
凛は、ちゃんと聞いている。
一呼吸置いてもう一度。

「凛・・スワレ」
振り向いてパパを見上げた時に指示、そしてスッと座る凛。
喜ぶパパの声は、いつも以上に大きくなった。
オヤツではなく、自分に反応してくれたことを実感できたのです。

凛と家族のトレーニングで、私自身もオヤツに頼り過ぎていたのかもしれない。
そうしたことも「オヤツがないとできないのでは?」とパパとママを不安にさせてしまった原因かもしれない。
オヤツがないことで、パパもママもよく動き、声が出て、凛を褒める以上に自分が嬉しそうだ。
「凛、できるんだねぇ!」とママの声も弾む。

『頼るものがないトレーニング』
時に、とてもオススメです。

イヌに教え、教えられ 第41回 家族が変わると犬が変わる

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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