しつけ・ケア

イヌに教え、教えられ 第41回 家族が変わると犬が変わる

犬を初めて飼うIさん家族は、ヨークシャーテリアのカイのしつけに悩んでいた。

散歩で歩かない。
立ち止まり足を踏ん張り震えていると、つい抱っこ。
そして、いつの間にかこれが習慣になり、カイが歩くのはワンブロックだけ。

小型犬に見られがちな悩み。
その改善のため、カイと家族とのトレーニングが始まりました。

 

カイが散歩する様子を観ると、外が怖くて歩けないのではないことが分かった。
家族にとってカイは、孫のような存在で可愛くてしかたがない。
ヨークシャーテリアとしても小さい身体であるカイだから、ちょっとしたことで心配になってしまう気持ちも理解できる。
歩かなければママが抱っこしてくれることを覚えたカイ。

このトレーニングの課題は『家族の考え方を変える』ことでした。

カイが歩かなくても抱っこせず、うながし歩かせる。
ただそれだけのことが、案外難しい。
座り込んでしまうカイに合わせて立ち止まってしまうママ。
座り込んで潤んだ目で見上げられても応えず、うながし歩かせることが必要だ。
ここが、このトレーニングのターニングポイントになる。
私は、ママをサポートしながら一緒に頑張った。
うながして歩かせては立ち止まり、またうながして歩かせる・・
根気よく繰り返すうちに、頑として動こうとしなかったカイが楽しそうに活き活きと歩き続けるようになった。

以前は
「寒いから、散歩しなくていいわね」
「雨が降ったと思えば、散歩しなくていいわね」
と言い訳を作っていたママ。
ワンブロックで終わっていた散歩は、今1時間コースになりました。

「カイは、いい子になったねぇ」とママは言う。
確かにそうだけど、それはママが頑張ったからこそ。
そして、今はまだできるようになったばかり。
『続けること』
それが次のママの宿題だよ。

イヌに教え、教えられ 第40回 犬は、自らの準備が整ったとき、自ら変われる

イヌに教え、教えられ 第42回 頼るもの(オヤツ)がないトレーニングを

里見 潤

里見 潤

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(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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