殺処分ゼロを目指して
~「ちばわん」の活動から~
~「ちばわん」の活動から~
第2回 「ちばわん」 はこうして始まった。
‐まず、この活動を始めたきっかけを教えてください。
正直に言えば成り行きっていう感じですね(笑)。もともと動物が大好きだったんです。でも、ある日ひどいやけどを負った子猫を拾って「もしかして虐待?」っていうことが頭をよぎりました。それまで自分の周りでそういうことを見聞きすることがなかったので、別の世界のことのように思っていましたが、虐待は必ずしも遠い世界のことではないんじゃないか、と。それで動物愛護関連の書籍をむさぼるように読むようになったんです。そこに紹介されていた愛護団体に寄付をしたり、フードを送るという物的な支援をすることから始まりました。
‐では、なぜご自分で?
最初は寄付することで満足していたし、自分ができるときに既成の愛護団体さんの“1日ボランティア募集”みたいなものに応募して活動していたんです。ある日、その団体のベテランボランティアさんに「多頭飼育現場があるんだけど、手伝ってくれない?」って声をかけられました。運転が苦手ということだったので「運転手ならできるかな」という軽い気持ちでお手伝いを始めたんです。でも、そのベテランボランティアさんが事情で関われなくなって。でも放っておくわけにはいかないし、自分たちでやってみようかと。
‐すぐに団体を設立しようと思われたんですか?
いえいえ。仲間数人で、その多頭飼育現場にフードを届けることで精一杯でした。でも子どもはどんどん生まれるし、死んじゃう子もいるし、とにかく一匹だけでも いぬ親 を探してみようか、と。あっ、いぬ親というのは、犬の新たな飼い主さんの事です。ちばわんではそうよんでいます。猫の場合は、ねこ親さんです。話をもどしますと、それでいぬ親さん探しのためにチラシを作って、ポスター貼って…という手探りの方法でやっと一匹に いぬ親を見つけたんです。でも一匹見つけると、二匹、三匹って見つかって、欲もでてきました。それでHPを作って、いぬ親さんが見つかるまでの間一時的に動物を預かってくれる“一時預かりボランティア”を募集し始めたんです。預かってくれる人がいれば、同時に何匹ものいぬ親さんを探すことができますから。
‐お仕事の傍らの活動では大変な毎日ですね。
あまりに忙しくてそのころの記憶がないくらい(笑)。でも、私たちが手を引いたらこの子たちは…という思いでした。
‐経済的な負担も大きかったのではないでしょうか?
はい。資金を捻出するために、会社が終わってから週4日はアルバイトをして、残りの3日を活動に充てるという毎日でした。電話代だけで月に7~8万かかることもあり、寄付を呼びかけようという案も出たのですが、善意の資金提供を受けることの重大さもわかっていたので二の足を踏んでいる状態でした。ただ、あまりに出費が大きかったので、話し合いに話し合いを重ねた上で寄付を募り始めました。2002年のことです。そこから、一歩一歩進んできたという感じです。
‐着実に歩みを進めてこられたんですね。
おかげさまで、最初に名乗り出てくださった預かりボランティアの皆さんがいい方ばかりで、助けられたからこそやってくることができました。いぬ親さんになってくださった方々が一時預かりのボランティアを引き受けてくださることも多くて、大きな助けになりました。当時のいぬ親さんと預かりさんの多くは、今も関わってくださっています。一緒にやってくれる人は、本当に楽しんでご参加くださっていると思います。趣味はボランティアですと言えるくらい気軽にやれる場を、これからも提供していきたいと思っていますし、楽しんでやっている姿を見ていただくことで輪が広がっていけばいいなと思います。
‐保護犬猫に対する社会の意識は変わってきたと思いますか?
はい。活動開始当初に比べて、大きく変わってきたと思います。企業の側から、何かお手伝いをすることがありますか? と声をかけていただくこともあります。また、「ちばわん」では いぬ親会、ねこ親会 という、新たな飼い主を探すイベントを開催していますが、来場者が非常に増えました。来場する方も保護活動について知識のある方が多いと感じます。動物に対して愛情の深い方が「買うよりも保護された犬・猫を」と言ってくださる機会が増えました。次の子を助けるために、譲渡する際は医療費や保護費の一部をご負担いただいているのですが、最初のころは「タダだと思っていたのに」とか、「ボランティアのくせに金を取るのか」なんて言われることもありましたから、大きな変化だと思います。
次回はいよいよ、具体的な活動の詳細について伺います。
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