しつけ・ケア

ペットの心身の健康に主体的に関わる~ホリスティックケア~ 第1回 ホリスティックケアの今

ペットの心身の健康に主体的に関わる
~ホリスティックケア~

第1回 ホリスティックケアの今

    


 「ホリスティックケア」の中には、既に以前の連載でご紹介した「食事療法」「マッサージ」「アロマセラピー」など、認知度が高くある程度効果を認められているものもありますが、いわゆる“科学的検証”が充分でないものも含まれます。
 今まで詳細な研究が進んでこなかったのは、科学偏重の世の中で、民間療法的な分野を軽んじる傾向があったからでしょう。科学的な裏付けを重視する人たちの中には”怪しい“とか”気のせい“などと言って、取り入れる価値がないと考える人が少なからずいるのも事実です。でもそれは、実はとてももったいないことかもしれません。

ペットの健康管理をめぐる状況

 30年前と比べると、ペットを取り巻く環境は驚くほど改善されました。人間と同じように予防接種や栄養管理が一般的になり、病気を未然に防ごうという意識が強くなっています。健康管理を獣医師まかせにせず、積極的に関わりたいと考える飼い主も増えました。

 獣医療に限らず、世界の医療は“近代西洋医学”に支えられています。病気の治療には一般的に「対症療法」と「原因療法」の二つがありますが、ペットを含め、私たちが病院で受ける治療は、体に現れている症状そのものを緩和(かんわ)する目的の「対症療法」が中心です。ところが「対症療法」では、必ずしも根本的な原因の解消とはなりにくいために、ある場所の痛みは治まったけれど別の場所に不調があわられる…という可能性がありました。

心と身体はつながっている

 一方「原因療法」は、単に症状だけでなく、それを引き起こした根本を探り、心身全体を診ることの重要性に着目した治療法で、代替医療(補完医療)と呼ばれる分野もその一つです。よく知られている食事療法、マッサージ、伝統中国医学(漢方、指圧、鍼灸、気功など)、アーユルヴェーダなどのほか、植物療法(アロマセラピー、フラワーエッセンス、ハーブなど)、エネルギー療法(指圧、気功、レイキなど)と多岐に渡りますが、「ホリスティックケア」はそれらの総称。ギリシャ語の「Holos(全体性)」を語源とする「包括的なアプローチのケア」という意味です。肉体的な面だけでなく、ストレスなど精神的な面もサポートするのがその特徴。自己免疫力をアップさせることで病気や不調に立ち向かうだけでなく、病気を未然に防ぐことを目的としています。心と身体、両方のバランスを整えることで“自分で治す”方法と言えるかもしれません。

本当に効果があるの?

 欧米では人間の治療にも、植物のエネルギーを水に転写したとされるフラワーエッセンスを処方する病院が多数存在しますし、健康保険が適用される場合もあります。日本発祥のヒーリング法であるレイキ(手当て療法)は、アメリカ国立衛生研究所の研究対象になっており、米国内の大学病院でもレイキの施術をしているところは少なくありません。また、米テキサス州の陸軍基地医療センターで、イラク戦争後のPTSDにレイキ治療が効果を上げているという記事が新聞に取り上げられたこともあります(2010年7月4日、東京新聞・国際面)。

 日本でも、「効果が期待できる」としてそれらを治療に取り入れている病院、動物病院は増えつつあり、関心を持つ医師も増えてきました。もちろん、従来の医療を否定して、「ホリスティックケア」だけでペットの健康を管理するのは危険なことです。しかし、獣医師の治療を補うものとして、また飼い主が主体的にペットの健康管理に関わることのできるツールとして、注目度はどんどん上がっています。

 次回からは、最近多くの人が興味を持ち、スクールなども充実し始めた、フラワーエッセンス・メディカルハーブ・クリスタルヒーリング・レイキについて、実際の体験談なども交えて取り上げる予定です。また最近、あちこちで耳にするようになったアニマルコミュニケーションについてもレポートします。アニマルコミュニケーションは、動物の気持ちを読み取る方法ですが、アメリカの動物病院では、痛みの箇所や症状を伝えるなど獣医師と連携して活躍しているアニマルコミュニケーターが存在します。

 まだまだ玉石混交(ぎょくせきこんこう)の分野であることは否めませんが、かけがえのないパートナーであるペットの健康のために、心の垣根を取り払って「ホリスティックケア」の世界に分け入ってみませんか。今まで考えもしなかった、新しい、ワクワクするような光が見えるかもしれません。


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