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イヌに教え、教えられ 第26回 難しいときは、視点を変えてみる

イヌに教え、教えられ

第26回 難しいときは、視点を変えてみる


元保護犬ミックスのカイ子は、散歩中にすれ違う高齢者や元気な子供、ジョギングする人に大きな声で吠えてしまうことがある。
ひとたび興奮して吠え出すと、なかなか止まらにカイ子。
飼い主Sさんは、散歩吠えの改善を目的に訓練をすることにしました。

Sさんに、「いつ人が来るか、吠え出すかヒヤヒヤしていませんか?」と聞くと、「その通りです」と答えが返ってきました。
飼い主が不安を抱えたままだと、その不安が態度に出てしまう。それでは、犬に対して毅然とした態度で吠えを止める指示を出すことは難しい。

でも、散歩中に飼い主が不安になる気持ちは、とても良くわかります。
吠える行動は、他の人に迷惑を掛けてしまうこともあるので気になるのが当たり前です。
カイ子への訓練と同じくらい、Sさんの散歩態度や気持ちを変えていくことが必要だと判断しました。

「年配の人や元気のいい子供が来たらどうしよう、吠えたらどうしよう」
と考えるのではなく、練習の機会が1回作れた!と気楽に考え
「来るなら来い。私が止める!」
と考えてくださいと、私はSさんにお話しました。
 
正面右から、子供が三輪車でやって来た。
吠える隙を与えないように、すかさず通路逆側の左端に寄って「スワレ」「マテ」を指示。
上手にすれ違えたら「ほめて」「オヤツをあげる」
・・・うまくできた!

Sさんが「なんだかゲームのような感じですね」と言った。
「それ!いいですね、ゲームと考えましょう」私は、その案にのりました。

次に、年配の方が正面右手からやって来る。
立ち位置をどこに取るかを素早く判断し、移動してカイ子に指示、完全にやり過ごすまで飼い主に集中。
・・・吠えずにすれ違えた!

吠えたらどうしようと考えるより、
次は、どっちから来る!?と状況を楽しむ。

そんなゲーム感覚で訓練をしはじめてから、Sさんの態度や動きが変わってきた。
 
難しい問題にぶつかった時、視点を変えてみることで、気持ちが前向きになれたり、解決の糸口に繋がることがある。

日常生活や仕事にも通じるところあるある!とSさんと2人で盛り上がった。
Sさんに笑顔が増えた気がした。
「吠え改善トレーニングは、シューティングゲーム」
この合い言葉は、Sさんと私以外には分からないだろう。

 


 

2016年5月20日掲載

 

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里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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