ペットのためのホリスティックケア
第1回 ホリスティックケアとは?
「ペットに元気がないみたいだから病院に行って診てもらおう」というのはよくある光景ですが、他に「普段から自分にできることはないかな」と思うことはありませんか?その答えが、ホリスティックにあるかもしれません。
ホリスティック『Holistic』は、ギリシャ語のホロス『Holos(全体)』を語源とし、『Whole(全体)』『Heal(癒す)』『Health(健康)』などとともに派生した『 全体的 』『 つながり 』を意味する造語です。このホリスティックの考えに基づくと、健康とは『 精神・身体・環境がほどよく調和し、与えられている条件において最良 のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を得ている状態 』であり、心も体も癒された状態こそが「健康」であると考えます。これは東洋医学の包括的な考え方に近いものと言えます。
あらゆる生物には自然治癒力(ホメオスタシス=恒常性)が備わっており、例えば私たちがウイルスに感染すると、身体は体温を上げて熱に弱いウイルスを退治しようとします。この自然治癒力が十分に働いているため、私たちは健康な状態を維持しているのです。しかし、気温の変化や化学物質などによる環境的なストレス、精神的なストレスから強い刺激が加わったり、栄養状態の悪化、老化、遺伝的体質によって自然治癒力が低下すると病気に掛かってしまいます。
病気に掛かると通常は西洋医学を基本とした治療を行います。これは対症療法と言われ、即効性があるのが特徴の一つです。しかし、悪い部分に限定して治療するため、根本的な解決に至らないこともあります。一方でホリスティックケアには即効性はありませんが、自然治癒力を高め、そもそも病気に掛かりにくいような身体を作ります。
この西洋医学とホリスティックケアは相反するものではなく、上手に組み合わせると病気に掛かりにくい身体に、さらに病気になっても少しでも軽く済ませてあげられるようにすることができるのです。
これらはもともと人間に対するものですが、動物にも同じことが言えます。ペットへのホリスティックケアには、鍼灸やホメオパシーなどの専門家によって行われるものもありますが、食事やアロマセラピー、マッサージ、あまり聞き慣れないかもしれませんがT-タッチやレメディなど、家庭で日々の生活に取り入れることのできるものも多くあります。一つ一つに劇的な効果はなくとも、飼い主がペットのために自らの手でできることとして注目を集めています。
では、代表的なものついて簡単にご説明しましょう。
食事は、体内で作ることのできない栄養を取り込むことであり、体調管理の根幹をなすものです。ペットフードとして一般的なドライフードか缶詰か、それとも手作り食か、さらに加熱してあげるか生食にするかなど様々あり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どれが良いかと迷われる方も多いと思います。
ドライフードなどの市販のフードは保存が利きやすくお財布にも優しい一方で製造工程が分かりにくかったり、大量生産のため個々への配慮に欠けます。そのため原材料や添加物をよく確認し、ライフステージに合うものを選ぶことが大切です。手作り食は保存が利かず手間の掛かることが多い上に、1回で必要な栄養をすべて満たしてあげるのは大変です。
しかし手作り食は、その季節の旬やその子に必要な栄養を取り入れてあげることも出来、個々の好みにも対応しやすくなります。
他にも多くの選択肢があり、その中から一つを見つけることは大変ですが、何も一つにこだわらなくてもいいのです。ドライフードに新鮮な食材やふりかけをトッピングする、手作り食にフリーズドライの食品を使うなど、いくつかを組み合わせてその子と飼い主さんに最良の選択をしてあげましょう。
マッサージはツボを刺激することで筋肉の緊張を緩和し、血行を改善します。例えば、いつも首を持ち上げる格好の犬は首から肩甲骨のあたりがコリやすくなります。他にも腰に負荷の掛かりやすい犬や、お腹の弱い猫にも用いることが出来ます。ツボの場所がよく分からないという人なら、無理をせずただ手をあててあげてください。そして、嫌がらない場所を優しく撫でてあげるようにしましょう。大切なのは自分自身がリラックスしていること。そうすれば、温もりや安心感を得て、目を細めた気持ちよさそうな顔が見られるでしょう。マッサージはコミュニケーションの手段としても有効です。
普段からマッサージをしながら身体のチェックをする習慣を付けておけば僅かな変化にも気付きやすくなります。口の中から尻尾の先まで、触られることに慣れさせてあげましょう。
アロマセラピーとは植物の科学的成分が凝縮された100%天然のエッセンシャルオイル(精油)やハイドロゾルを使った治療を言い、飼い主さんも一緒に、手軽に楽しむことができます。ラベンダーやカモミール、オレンジ、イランイラン、ローズなど種類は豊富で、希釈してマッサージに使用することもあります。リラックス効果だけでなく、皮膚や被毛のケア、ノミ取りにも使えます。使用する際の精油はとにかく質の良いものを選ぶことが大切です。さらに、人間に用いられるものの中には動物には避けた方が良いものもあるので注意しましょう。また、猫は精油の成分を分解出来ないので、一緒にいる時に使用するのは止めましょう。それ以外にも使用中に落ち着きなく動き回る、よだれがやくしゃみが出るなど、異常が見られた際は即ちに中止してください。
ホリスティックケアに関わらず、大切なのは書いてある通りに行うことではなく、その最中から後の変化をよく観察することです。
特に動物は弱っている姿を見せたがらないため不調に気付くのは難しいことですし、声に出してくれないからこそ、こちらから気付いてあげなければいけません。
そのためのバロメータはたくさんあります。便や被毛の状態、食欲、体重、元気かどうかなど、その子をよく見てあげることから日々のケアは始まるのです。
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GORON編集部
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