しつけ・ケア

イヌに教え、教えられ 第43回 犬と向き合い続ける家族たち

以前、トレーニングを担当したトイプードルのミニーと2年ぶりに再会した。
当初ミニーのトレーニングを飼い主にすすめたトリマーから
「最近、ミニーのワガママがまた少し気になってきた。久しぶりにトレーニングを受けてみたら?」
と言われたことをきっかけに、復習レッスンを受けることにしたそうです。

ミニーは、
自分が「いい時」は咬まない。
自分が「やって欲しくない」「嫌な時」に家族を強く咬もうとする。

咬む行動の改善は、容易ではない。
難しいといってもいいトレーニングです。

ミニーが咬むようになった理由のひとつは、脚が不自由なことがある。
先天的に左後ろ脚に問題があり、車椅子なしでは散歩をすることができない。
使わない脚は、細くなり、獣医から手術の可能性もいわれている。
ミニーは、気持ちが強くはっきり自己主張をするタイプ。
一方、ママは、とても優しく頑張りすぎてしまう人。
脚のこともありミニーを甘く構うことも増え、ワガママが強化された面があった。
ワガママに繋がる甘やかしを絶ち、間違った行動を叱り、正しい行動を褒める。

ミニーの行動を改善していくためには、ただそれだけのことなのに、これが簡単にはいかない。
根気よく続けることも必要。
2年前のトレーニングでママは、「可愛がるために飼ったのに、叱るのは苦しい」と、涙ながらに訴えることもあった。

2年ぶりのレッスン。
抱っこ・ブラッシング・ハーネス・オムツ・車椅子の着脱、以前咬む行動が出ていた状況をひとつづつ確認していく。
ミニーは、唸ることもあるから油断できない。
ただ、ミニーが唸り始めた時、ママ自身が止め諦めさせる事ができている。

間違った行動をミニーに指摘し、咬まれずに正しい行動まで導いてから、褒める事もできている。
2年前のトレーニングで何度も弱音を吐いたママは、もういない。
苦しくても向き合い続けている飼い主。

復習レッスンは、叱るタイミング・褒め方・叱る時の気持ちの在り方など、細かい点を指導して終わった。

「大丈夫と思ってても、時間が経ってからレッスンを受けると意外とあるものねぇ」
余裕のある笑顔のママと、獣医も驚くぐらいに太くなった左後ろ脚に、ママが積み重ねた努力とミニーへの愛情が現れていた。

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里見 潤

里見 潤

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(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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