しつけ・ケア

犬と向き合い続ける家族たち

以前、トレーニングを担当したトイプードルのミニーと2年ぶりに再会した。
当初ミニーのトレーニングを飼い主にすすめたトリマーから
「最近、ミニーのワガママがまた少し気になってきた。久しぶりにトレーニングを受けてみたら?」
と言われたことをきっかけに、復習レッスンを受けることにしたそうです。

ミニーは、
自分が「いい時」は咬まない。
自分が「やって欲しくない」「嫌な時」に家族を強く咬もうとする。

咬む行動の改善は、容易ではない。
難しいといってもいいトレーニングです。

ミニーが咬むようになった理由のひとつは、脚が不自由なことがある。
先天的に左後ろ脚に問題があり、車椅子なしでは散歩をすることができない。
使わない脚は、細くなり、獣医から手術の可能性もいわれている。
ミニーは、気持ちが強くはっきり自己主張をするタイプ。
一方、ママは、とても優しく頑張りすぎてしまう人。
脚のこともありミニーを甘く構うことも増え、ワガママが強化された面があった。
ワガママに繋がる甘やかしを絶ち、間違った行動を叱り、正しい行動を褒める。

ミニーの行動を改善していくためには、ただそれだけのことなのに、これが簡単にはいかない。
根気よく続けることも必要。
2年前のトレーニングでママは、「可愛がるために飼ったのに、叱るのは苦しい」と、涙ながらに訴えることもあった。

2年ぶりのレッスン。
抱っこ・ブラッシング・ハーネス・オムツ・車椅子の着脱、以前咬む行動が出ていた状況をひとつづつ確認していく。
ミニーは、唸ることもあるから油断できない。
ただ、ミニーが唸り始めた時、ママ自身が止め諦めさせる事ができている。

間違った行動をミニーに指摘し、咬まれずに正しい行動まで導いてから、褒める事もできている。
2年前のトレーニングで何度も弱音を吐いたママは、もういない。
苦しくても向き合い続けている飼い主。

復習レッスンは、叱るタイミング・褒め方・叱る時の気持ちの在り方など、細かい点を指導して終わった。

「大丈夫と思ってても、時間が経ってからレッスンを受けると意外とあるものねぇ」
余裕のある笑顔のママと、獣医も驚くぐらいに太くなった左後ろ脚に、ママが積み重ねた努力とミニーへの愛情が現れていた。

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

関連記事

  1. 現役ペットシッター講師のセミナー『猫との暮らし方 基礎講座』に参…
  2. ドイツのペット事情 第3回.ペットに関する条例
  3. イヌに教え、教えられ 第27回 大事なこと
  4. 愛犬とのしつけエクササイズ 第3回.フセ
  5. 犬のデンタルケア 第1回 歯の病気と歯磨き
  6. イヌに教え、教えられ 第30回 犬は今を生きている
  7. お悩みグセ解消エクササイズ 9時間目 電話に吠える
  8. イヌに教え、教えられ 第9回 競争は意欲を生む

今月の人気ランキング

PAGE TOP