しつけ・ケア

イヌに教え、教えられ 第44回 他の犬が怖い、、そんな愛犬は気遣いながら見守る

元保護犬トイプードルのプリンは、犬が苦手。
犬が近づいてくると、スーッと飼い主さんの後ろに隠れる。
でも、足の間からじーっと相手を見ていることも多い。
興味はあるけど、今のプリンにとっては、不安が少し勝るようだ。
そんなプリンを他犬に慣れさせるべきかどうか、、、
挨拶をさせてあげたいと思っても、犬が求めていないなら押し付けになってしまうのでは、、、

いろいろ考えて、飼い主さんは、怖がりながらも他犬に関心の芽があるプリンに、経験させていくことを選んだ。

他犬との挨拶は、相性もありますが、ケースバイケースの関わり方が必要です。
一方的に挨拶して、どちらかが不安や不愉快を感じているなら、人が犬の間に入るべき。
でも、犬に不安な態度が感じられても、興味がある様子がしっかり見えているならば、間に入ったり抱っこして引き離すことは、犬のためにならない。
身体のしぐさから犬の気持ちを感じ取って、飼い主は「見守り」と「助け舟」を使い分けるのが大切なコツになります。

犬同士でやりとりする中でしか学べないこともあり、その積み重ねが犬の自信になる。

お互いにじっくり嗅ぎ合えなくても、プリンなりに頑張れた時、ママはプリンをベタ褒めだ。
「ちょっと頑張れた」を見逃さない。
プリンのトレーニングを通して、飼い主さん自身の犬の気持ちを観る力(観察力)も上がった。
保護されるまで散歩経験がなく外が苦手だったプリンは、地道なトレーニングで散歩を楽しみにするようになり、今では犬が近づいてくると不安よりも先に、まず確認してみようと身を前に乗り出すようになった。
押したり引いたりを見守る飼い主さん。
犬を見つけると隠れることが多かったプリンは、少しづつ成長している。

放ったらかしでなく、過保護でもない。
バランスよくやることは難しい。
相手のあることだから簡単ではなく、ちょっと失敗する事もある。
でも、ママは前向きに考える。
うまくできることだけを目的にせず、自分の観察力向上と、その仔なりの成長を目指す。
自分のことを理解し、見守ってくれている安心感が、プリンにもう一歩を踏み出させているはずだ。

イヌに教え、教えられ 第43回 犬と向き合い続ける家族たち

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

関連記事

  1. 犬と共に踏み出す一歩「KIDOGS」 第2回 保護犬 KIDOG…
  2. 愛犬とのしつけエクササイズ 第11回.呼び戻し
  3. 愛犬とのしつけエクササイズ 第3回.フセ
  4. ペットの介護
  5. ペットと暮らすために考えたいこと 第7回 シニアペット 大切な家…
  6. 犬を飼っていない人の立場で考えてみると
  7. 知っておくと便利なケア方法 ゆるっとワンコ薬膳より 〜東日本大震…
  8. ゆるっとワンコ薬膳のススメ 〜一緒に楽しもう!東洋医学を使って機…

今月の人気ランキング

PAGE TOP