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イヌに教え、教えられ 第19回 みんな違っていい
雑種犬のポンタは、保護団体の一般社団法人ランコントレ・ミグノンに保護され、新しい飼い主に迎えられました。
初めて犬を飼う家族。
若くて体力がある中型犬のオスのポンタ。
人と犬、お互いが楽しく暮らせるように、家族は躾け方レッスンを受けてくれることにしました。
レッスンを始めて4回目、うまくいかないことはあっても、家族は犬生活に考えていたより早く馴染んでいるように見えた。その理由は、家族の犬との面白い付き合い方・向き合い方にあるように思う。
例えば
あっちこっち引っ張ろうとするポンタに、ピタッと立ち止まり、
「エー!!それは違うんじゃない?」と声と顔の表情、態度に大きく出して、不満を感じていることを伝えようとするパパ
自分がフセの姿勢をして、
「フセはこう、こうやってやるんだよ」とポンタと話しあいながら教えるママ。
服の袖を噛み引っ張るポンタを叱る・止めるではなく、
逆にもっとやらせてあげて、それを遊びに変えてしまう。ポンタ以上にママやパパの方が楽しそう。その上でやっていいときとやらないときの区別はつける。
公園のベンチに座り、それをじーっと見るポンタが飽きてその場に伏せるまで気長に待ってフセを教えてみるママ。
どれもドッグトレーニングの教科書には載っていそうにない方法で、うまくいく・いかないは別にして、人も犬もとても楽しそう。家族とポンタの間には会話が成り立ち、信頼関係がある。
『人の希望通りにやりなさい』ではなく、『ポンタがどう感じているか、どんな気持ちなのか』を観察し、『何が好きで、苦手でどう伝えれば伝わりやすいのか』を探る。
躾け方法の前に、ポンタを知ろうとしている。
そのイヌ、その家族に合っている躾け方法、向き合い方は皆それぞれ違う。
それでいい。
レッスンで最初に伺った時、険しさがあったポンタの顔。その顔が、伺うたびに穏やかで柔らかい表情に変わっていく。
保護される前の事は知らないけれど、多分今のポンタは楽しいのだろうということは分かる。そしてそのポンタと同じぐらい家族も楽しそう。
ポンタと家族の正解は見つかったみたい。
まだ、フセは出来ないらしいポンタ。
私は、家族にやり方を教えず、家族なりに考えて次回レッスンまで教えてみて、それでもできなかったらフセのやり方は教えますと伝えた。
教科書にあるやり方を教えてしまうより、この家族にはその方がいいと思ったから。
家族の探究心・やる気を刺激したつもりだが、、、さて次回どうなるか。
次回までに、フセができたか・できなかったかはどちらもでいい。
結果がどちらにしても、きっとポンタも家族もフセの練習を楽しんでいるだろうから。
▲ポンタ
一般社団法人ランコントレ・ミグノン
http://rencontrer-mignon.org/