イヌに教え、教えられ
第18回 一緒にいると楽しいから
褒められたいから「聞く」耳を持つ
褒められたいから「聞く」耳を持つ
愛犬が、散歩の時に引っ張る・他の犬を見て吠える・誘惑があると指示を聞かないなど、飼い主の愛犬に対する悩みを改善していく時、スワレ・フセ・マテ・コイ・アトへ(付いて歩く)などの服従訓練を愛犬・飼い主さんに教えていきます。
イヌに、人の指示を優先し、人に合わせることを学ばせて、引っ張りたくても、吠えたくても、飼い主の指示でそれらをグッと我慢できるようにしていきます。
服従訓練は、イヌが好きなオヤツ・オモチャなどを使い教えていく方法と、物(オヤツ・オモチャなど)は使わずに教える方法があります。
【 物(オヤツ・オモチャなど)を使って教える場合 】
犬の「やる気」を引き出し、形(指示)を教えやすいが、オヤツやオモチャが無かったり、それ以上に気になることがあると、飼い主の指示がそっちのけになりやすい難しい面もあります。
【 物(オヤツ・オモチャなど)を使わずに教える場合 】
愛犬の「やる気」を物(オヤツ・オモチャなど)に頼れず、形を教えるのが手取り足取りのため、結果が出るまでにとても時間がかかる。
その反面、飼い主と一緒に何かをすること・褒められること自体がイヌのモチベーションになってくれば、物がなくても飼い主の指示をきくようになってきます。
どちらの方法が、良い・悪いわけではなく、どちらも一長一短がある方法です。
僕は、愛犬おまめと暮らしはじめた頃、2つの方法を試しながら訓練をしていきました。
おまめは、一通り指示をききますが、オヤツがある時とない時でやる気が大きく違っていることを感じていた僕ですが、「やることはやるから、まぁいいかな…」と考え、それ以上訓練に時間をかけることはしてきませんでした。
そして、おまめ7歳になった頃、物を一切使わない訓練を追求してみたくなり、再び訓練を始めてみました。
しかし、その結果は、僕が思い描くものではありませんでした。
おまめは、オヤツがなくても指示通りの行動をするが、オヤツがある時のやる気や活気はない、そして集中できる時間も短く、どんよりした感じで取り組んでいる感じがした。
今まで、そのときの状況に合わせて、オヤツを使ったり・使わなかったりしてきた方法とは違い、オヤツを全く使わず指示をするということは、人(飼い主)にとっては、部分的に同じ方法と思っていても、イヌにとっては、今までと全く違う知らない方法なのです。そんな状況で、おまめの立場からすれば、これが当然の結果だったのでしょう。
しかし僕にとっては、おまめのやる気がなさそうな様子を見て、楽しくなくしテンションが下がる。そして、そんな僕を感じたおまめは、更にテンションが下がる…まさに悪循環。
訓練での大切な心得
物に頼り・飼い主自ら動き・できたら目一杯褒める
僕は、この大切な心得を忘れていたことに気づきました。
それから、時間を作ってはおまめとの訓練をコツコツと続けていきました。
「自ら率先して動き」「褒めちぎって」そしてまた「自ら動く」を地道に続けて約3ヶ月、物がなくても、おまめのやる気が安定してくることを実感し始めた。
まだ長くは続かないが、調子の良い時は、一緒にダンスを踊っているような、共同作業をしているような、呼吸をひとつに合わせるているような心地のいい一体感を感じるようになってきた。
物(オモチャ・オヤツなど)を使う・使わないではなく、その使い方。
物を使っても使わなくても、愛犬にモチベーションを飼い主があげられるかが大事で、「飼い主と一緒に何かをしたい」「飼い主に褒められたい」から、イヌは「聞く」耳を持ってくれる。
仕事での人間同士の関係も同じである。
もちろん、業務に対して報酬として受け取る金銭などは、仕事に対するモチベーションの一つであるが、それだけではない。お客さまや一緒に仕事をしている人が喜んでくれるから、更なるやる気が出てくるはずだ。
子供のしつけでも同じこと。ご褒美をもらえるからお手伝いをするのではなく、親が喜んでくれること、褒められることが子供たちのモチベーションになっているはずである。
イヌと暮らしていると、人間同士のことや生き方、考え方に落とし込める共通点が多い。教える以上に教えられ、気付かせてくれるおまめには頭が上がらない。
Copyright © GORON by ペット共生アドバンスネット All rights reserved.