アニマルライツ

写文集『クマと旅をする』動物写真家 前川貴行さん、画家・絵本作家 井上奈奈さん デザイナー 富澤祐次さん インタビュー


 2016年2月に発売された、『クマと旅をする』(前川貴行 写真・文/井上奈奈 絵/キーステージ21刊)。情熱大陸にも出演され、注目を集める動物写真家、前川貴行さんの新しい本です。写真家として生きる覚悟を自らの文章で語り、自然への畏敬の念や、世界のあり方までも考えさせられる本です。装画は井上奈奈さん。新刊記念イベントとして神保町の書店でトークイベントが行われたり、書店の週刊売上ランキング1位を獲得したりと、話題になりました。各地でパネル展やフェアが開催されるなど、その後も注目されているようです。

 西荻窪の信愛書店スペースen=gawa で、前川さん、井上さん、デザイナーの富沢祐次さんにお話を伺ってきました。

――本が出来上がって3か月。改めてご覧になっていかがですか。

前川 いい本になったなと、思っています。今までにないスタイルの本で、面白い試みができましたし、あらためて見ても、しっかりした内容にできたなと。次につなげていけると良いなと思っています。

井上 本が仕上がって改めて最初から通して読んでみたのですが、文章と写真の展開や見せ方、細部にまでこだわりを感じられ、前川さんの伝えようとされている世界が自分の中にすっと入ってきてとてもいい仕上がりになったと感じています。

富沢 井上さんの絵が上がってくるまでは、どんな本になるか、いまひとつ想像できなかったのですが、最初の絵を見せていただいた時に、「あ、これはいける」と思ったのを覚えています。想像以上に素敵な絵が上がってきたので、写真を食ってるんじゃないかと前川さんと話していました(笑)

前川 写真のカバー(帯)は要らないんじゃないかとかね。

――そもそも、この本のはじまりは?

前川 写真と文章の本をというお話をいただいて、はじめは(クマではなく)ちがう動物で考えていたのですが、やはり、僕がここまでどういう軌跡をたどってきたのかという屋台骨になる部分だったので、原点から振り返る意味で、クマをテーマにしました。写真と文章だけだったら、まあ、よくある本になったんだろうなと思います。それはそれでいいんですけど、井上さんの絵とコラボしたら面白いものになるんじゃないかと思って提案してみたんですよ。

富沢 はじめにそれを聞いたときは、ごちゃっとした本にはしたくないなぁと思いました。写真と絵のバランスをとりつつ、どうやってメリハリつけていこうかということを考えていました。

井上 前川さんには、前作の絵本2冊にことばを寄せていただいて、自分がしてもらうばかりだったので、今回こういう形でお話をいただいて、とても嬉しかったです。一方で私も、写真と文と絵で構成された本って、すごく難しい仕事になるなと思いました。でもやってみたいという気持ちの方が強かったので、すぐに「お願いします」とお返事したんですけど(笑)

――前川さんと井上さんは以前からお知り合いだったのですか?

前川 もともとは、東京都写真美術館で行っていた新進作家展の3人展に来て下さった時にお話ししたのが最初ですね。
井上 前川さんの先生の田中光常先生のつながりで前川さんの事を知って写真展を見に行ったんです。写真を見てとても感動して、会場にいらっしゃった前川さんとお話しをし、それから連絡を取り合うようになりました。

前川 お互いの展覧会を行き来したり、ときどき飲んだりね(笑)

井上 はい(笑)

――デザイナーの富沢さんとは?

前川 出会いは高校の入学式です(笑)。高校の同級生で。3年間同じクラスだったんですよ。

富沢 クラスがえもなかったからね。

前川 でも、20歳過ぎくらいからはほとんど会っていなかったんです。30代後半くらいのころに、地方に行っていた友人が帰京したというので集まったのが久しぶりでした。お互いに何をしているかというのは、友人を介して知ってはいたのですが。そのときに再会して、一緒に仕事できたらいいんじゃないかという話になって。最初は名刺のデザインでした。

――デザイナーの富沢さんとは?

富沢 いやあ、すごい写真を撮る人なのに、これはないだろうという名刺をもらったので(笑)、僕にデザインさせてよと。最初に作った名刺に入れたマークを、その後、本にも入れるようにしました。前川さんの本のシンボル的なものになれば面白いかなぁと、それぞれの本にあった動物の写真をもとにデザインしています。たまに邪魔になるときもあるんですが(笑)

前川 最初の本は『WILD SOUL』(小学館)です。その後は、出版社でデザイナーを指定してくるとき以外は彼に頼んでいます。『クマと旅をする』をあわせてこれまで5冊、一緒に作りました。カッコいいのを作ってくれるんですよ。僕が求める感覚とマッチしているというか。世間的にいいデザインだといわれても、自分にはしっくりこないものもあるじゃないですか。でも彼のものは本当にしっくりくるんです。相性がいいんでしょうね。

富沢 毎回苦労はしますけどね。『クマと旅をする』はやっぱり大変でしたね。今までにやったことのないタイプでしたし。井上さんの絵も入るし。

――井上さん、今回の挿絵のお仕事、作品作りについて聞かせていただけますか。

井上 写真と一緒に構成されるというのが自分にとっては大きな壁でした。絵が主張しすぎてもいけないし、前川さんの本なので、かわいらしすぎる絵がくるのもそぐわないだろうし…と。 はじめは、写真を見ずに、文章をよんで、これにどんな絵が合ったらよいかなと考えました。詩的な文章が多かったので、絵では、その先の世界というか、写真では表せないような空想の部文を描きたいなと思って描きました。

前川 最初の絵を見せてもらったとき、ああ、これはすごいな、難しいけれどもうまくまとまったらいい本になるなと思いましたね。

富沢 僕も、見た瞬間に「あ、いける」と(笑)

前川 世界観がさすがだなと。まだ文章も完成していなかったんだけれども、その時にあった文章から、自分のイメージを膨らませて、自分の作品として描いてくれたから、そこがすごく良かった。いろいろ考えてくれたんでしょうけど、僕としてはあんまり僕の写真の事とか、考え過ぎずに自由にやってもらいたかった。だからこそ、それをまとめ上げるのは難しいなと、デザイナーの負担になる部分だと思うんですけどね。でもそのくらいやらないとやる意味がないと思ったし。

井上 どこにどの絵を、とか、こんな感じの絵をここに、という指定は全くなく、自由にやらせていただいたんです。もしかして富沢さんのイメージとは違っていたかもしれないと思うんですけれども…

富沢 いやいや、そんなことないです。モノクロページに使った紙との相性がとてもよいなと、仕上がりを見て思っています。絵を描いてもらっている時点では紙はまだ決まっていなかったのに、まるでこの紙に合わせてくれたみたいに。

井上 色の紙になるかもということだったので、紙になじめば良いなと考えましたが、最終的には富沢さんがイメージにぴったりとあうものを選んでくださったように思っています。

前川 最初ぼくは白い紙の方がいいんじゃないかと思っていたんですよ。白の方が、絵の力が出るんじゃないかと思って。でも結果としては富沢にまかせて正解でしたね。

――みなさんは、本の中でどの絵が一番好きですか?

前川 みんな好きなんだけどね。「くまのほんとうの大きさ」の絵はとても好きですね。森の中でクマに会っている感覚をすごく表現してくれていますね。クマが王様ですからね、森の中では。こちらは逃げたり隠れたりしなければいけない存在で、本当にこんな感じですよ、ぽつんとね。すごくよく感じが出ているなあと。読者の皆さんはこれが一番ではないだろうと思うんですけどね。

富沢 うーん…僕もみんな好きなんですよね。でも最初に見せてもらった「Hello, Bear!」の絵はインパクトがありました。なんかとてもぐっときましたよ。
井上 ありがとうございます。

富沢 これはどういう版画なんですか?

井上 これは、コラグラフという技法です。主に紙を使っているのですが、いろいろなものを版に使っています。スポンジや、ボール紙や、紙でも吸収性の良いものとさらっとしたものを組み合わせたり。それを刷ったものをスキャニングして、すこしだけ画像処理をしています。

――前川さんの文章で、気に入っているフレーズはありますか?

井上 撮影をするという本来の目的を忘れて前川さん自身が木になってしまうシーンの表現が美しくて好きですね。「森と同化していると感じた。こんなことは初めてだ。」というところです。ここは「森の持つ未来を共有する」という絵で感じたイメージを表現しました。

前川 これは、南東アラスカの島の森に行った時です。島の森といっても大きな森なんですけど。クマを待っていたら、なんだかだんだん気持ちよくなってきちゃって(笑)。木の林立しているところで待っていたんだけれど、そのうち、木と意思の疎通ができるようになっていって。後にも先にもこの1回しかないですね、こんなふうになったのは。意識としてそういう思いになれることはあるんだけれども、無意識に「木ってこういうことなんだ、森ってこういうことなんだ」ということがわかった瞬間というか。
自分の中のいろんな気持ちや状況があったと思うんだけれども、やっぱり、アラスカの森の持っているエネルギーというか、とてつもないパワーみたいなものが充満していたんじゃないかなと。その時の自分の、緊張感からそうなったんだろうとは思うんですけど。クマと向き合うというのは、やはりすごい緊張感なので。

――『クマと旅をする』冒頭の、「クマと対峙し思う。それは、自分が食物連鎖に組み込まれたということ」という文に通ずる部分ですね。

前川 僕としてはあまり気にとめていない言葉だったのですが、雑誌のトークイベントでこういう話をした時に、別の雑誌の編集長が聞いていて感銘してくれて。僕にとっては日常になってしまっているんですけど、一般の人にとってはあんまり日常ではないですよね。

富沢 いや、あんまり、じゃなくて全然日常じゃないよ。

前川 普段は僕もそうですけどね、クマと会ったときはやはりね。ほかの動物ではあまり感じないことです。クマは、何もない裸のままで自分から近づいていくわけですから。それはもう、ちがいますね。でっかい鹿とかも、違う怖さがありますけど、まあ、やられないじゃないですか。クマは下手すると襲われて殺されちゃいますからね。トラとか、ライオンの場合は、車の上から撮っているので、そういう怖さはないんですよね。ライオンと同じ地面に立ったらそれはめちゃくちゃ怖いと思いますよ。というか、無理だと思いますね。大人になるために一人でライオンを狩りにいく部族があるそうですね。すごいなと思いますけど、それは僕にはとうてい無理な話です。クマっていうのは、それができるぎりぎりの動物なんですよ。
大型類人猿もとりましたけど、それとも全然違いますね。ゴリラも大きいし、下手したらやばいなと思うんですけど、襲われて食われたりはしないから、まだどこか安心感があるんですよ。それに、同じ霊長類として、大型類人猿は仲間みたいなものだから、何か、「言えばわかってくれそう」というか(笑)

井上 前川さんが言うとほんとに通じそうですよね。

前川 「ちょっとまて」とか(笑)

富沢 まあ、きけよ」とか(笑)

前川 クマは、そうはいきません。襲う気になったらもう逃げられないですよ。圧倒的な、力の差です。

――それはものすごい恐怖なわけですけれど、それでも何度も(クマに会いに)行きたいと思うのは、なぜでしょう?

前川 一言で言うと、生きている感じがするんですよね、自分が。普段の生活の中では、そういう感覚になれることはあまりなくて。次の瞬間死ぬかもしれないということを常に考えながらいなくちゃいけないというのはね。クマの近くにいると、そういう感覚がすごく持てて、それはやっぱりなかなか味わえない貴重なことだと思うし、そういう面白さ、醍醐味があるからですかね。あとは、やっぱりクマのすごい写真を撮りたいという欲望もあるし。いろいろな気持ちがありますね。

——— 写真家になられるまでの経緯を少しお聞きしたいのですが。一番最初に撮った写真は覚えていらっしゃいますか?

前川 最初はねえ、近くの公園で夜景を撮りました。とにかく何でもいいから撮りたかったんですよね。兄貴の家に父親のカメラがあったので、夕方それをとりに行って、その足で公園に行って。それはもう適当に撮った写真だったんですけど、「すごいキレイに撮れてるわー」と思って。露出のやりかたなんかまったくわからなかったんですけどね。
そこからいろんな写真を撮りました。夕陽を見るのが好きだったので、夕陽を撮りに行ったり。だから、はじめは全然「動物」じゃなかったんですよ。花を撮ったり友達を撮ったり。ただ、街の風景という感じではなかったですけどね。やっぱり自然のものが多かったかな…。
自然の写真を撮りに行っているときに、森や海で動物に出会った衝撃とか、先輩の動物写真をみて動物写真カッコいいなと思っていたのが心の奥底にあったのかな。うちにOLIMPUS のカレンダーが貼ってあって、動物写真だったんですよ。それもみてカッコいいなと思っていたし。そういうベースもあって、星野さんの写真を見て、すげえな、こんなことしながら生きていけるんだな、と思ったりして。よっしゃ、おれも、と(笑)。でも動物ってどこにいるかわからないし、どうやって撮ったらいいのかもわからないなあと思ってましたね。

——— 写真家になろう、というのと動物写真で、というのはどちらが先だったのでしょう?

前川 写真家になろう、と思ったのが先です。公園で夜景を撮った時にはもう決心はしていたので(笑)。思いきりが良かったんでしょうね。というか、もうそのころの生活や自分の行動にうんざりしていて、なにかこれ、と決めたかったんですよね。
動物を撮りたくて、田中光常さんの助手になりたいと思ったんです。助手になるまでは、動物園に行ったりもしていたかな。知り合いの広告を撮っている先輩のスタジオに出入りして手伝ったり。写真の周辺でうろちょろしていました。自分でも風景を撮ったり花壇を撮ったりしつつ、先輩の物撮りのアシスタントをしたり。

——— この本に出てくる、鹿に出会うシーンは、助手になるより前のことですか?

前川 助手になる前です。動物を撮りたいなと思って車で太平洋岸の道を北上して行ったときで、もう動物でいきたいと思っていた時ですね。鹿に会ったときは、カメラはザックに入っていて写真は撮れていません。

——— 田中光常先生の助手時代の思い出などはありますか?

前川 田中先生とは、子犬や子猫がうまれたときに関東近辺に車で撮影しに行くくらいだったんです。野生動物の撮影は、先生はひとりか奥さんと二人でいっちゃうんで。唯一、丹沢にイタチとかテンの夜間撮影に何度かいったくらいですね。
助手をすることで学ぶことというのは、スキルみたいなものではなく、その人個人の生きざまを見るというか、学ぶ、というか。助手を経験しないで写真家になる人もいっぱいいると思うんですけど、僕は助手になって光常先生のそばで学べたことが大きかったですね。僕が助手になったとき、光常先生はもう72歳でした。普段は田舎のおじいちゃんみたいなんですよ。人あたりはいいんですけど、すごみがあるというか、内に秘めた激しさというか強さみたいなものが半端なくて。これだけ強靭な意志とか行動力があるからこういうことができるんだなというのが、接していると分かるんですよね。同時代に一緒に仕事していなくてよかったと思いますよ。こんなすごい人と一緒にやっていたらとてもじゃないけど勝てないなと思いました。負けないようにしたいと、精神的に。田中先生に負けないくらい頑張らないとこの世界ではやっていけないというのがわかったので、そうなれるかどうかは別として、そういう気持ちで取り組まないと、というのを学べたのが大きかったです。
2年半田中先生の助手をして、独立しました。フリーになる直前と、フリーになってすぐの時に撮ったのがホッキョクグマの写真でした。その写真を引っ提げて「動物写真家でございます」と(笑)。その前にグリズリーを撮りに行っていますけどね。

——— クマを選ばれた理由は、本にも触れられていますが。

前川 クマを撮れたらすごいな、撮ってみたいな、と思ったんですよ(笑)。その辺では撮れないものですしね。アラスカのグリズリーが最初です。最初のアラスカの写真はそんなにいい写真は撮れたわけではないんですけどね。フリーになって最初のまとまった写真がホッキョクグマの写真で。でもその2回以来、ホッキョクグマは撮っていないんです。

——— みなさんは本の中でどの写真が一番好きですか?

前川 これが一番、とはあんまり決めたくないんですけど(笑)やっぱりブラックベアーのこの写真と、シロクマの親子の眠っている写真は、僕の写真家としての活動のスタートを後押ししてくれた2枚なので。都写美での写真展ができたのも、学芸員の方が銀座のキヤノンでやった写真展でこの(ブラックベアー)写真を見て、前川でいこう、と決めてくれたからで。僕にとってはやはり大事な1枚ですね。シロクマの写真は、その前にキヤノンの方がこの写真を見て、『キヤノンサークル』でホッキョクグマの特集を組もうと言ってくれたんです。それが、はじめて動物写真家としてのギャラリーページでした。

井上 私も一 番は決めにくいですけど・・・。前川さんの写真をいちばんはじめに見たのはこちら(ブラックベアー)で、強烈な印象がありました。前川さんは話し方もゆっくりだし、普段は穏やかな感じだけれども、カメラを構えるとまた違う一面があるのかなと。きっとこちらが本来の姿なのでしょうね。。上空から写したクマが小さくぽつんと見える写真も好きです。

富沢 どれもじっくり見すぎて1点というのは選びづらいですね…。デザイナー視点だとおもうのですが、ホッキョクグマのコーナーはよくまとまっていて好きですね。
表紙(カバー)の写真は、(前川さんが)SNS にのせていた写真だったんですけど、文章を初めて読んだときに、頭の中ですでにこれが表紙になっていました。

——— 最後に、読者に向けて、この本についてのアピールをお願いします。

前川 これまでの僕の写真集と決定的にちがっているのは、やはり絵が入っているところです。こういうボリュームのある文章の本も初めてで自分にとっても面白かったし、いままでは基本的に自分とデザイナーと編集者のやりとりでしたが、そこに画家が入ってくれて、自分では想定できないようなものが入ってきて。自分で予想できない楽しみみたいなものがあって。自分の著作というより、いろんな人との共同作業の集大成が1冊の本になったと思っています。文章だけでも写真だけでもなく、この本そのものを楽しんでもらえたらいいなと思っています。

井上 私は子供の頃から本を読むのが好きで、本によって道筋を立てられた部分もありました。いろいろな本に影響を与えてもらったと思います。この本も、きっと誰かに影響を与えるような、100 年先でもよみつがれるような本になって行くんじゃないかなと思っています。子どもたちや年を重ねた人たちにも読んでほしいですね。

富沢 これまでの写真集とはまたひとつ違う本になっているとおもいます。写真を撮っているときの空気感とか、時間の流れとかまで伝わってくるようなものって今までの写真集にはあまりなかったようにおもうので、僕も楽しみながら作りました。

井上 本が完成し、あらためて読んだ時、はじめて他人の目で一冊の本として『クマと旅をする』を読むことができました。言葉と写真、間の置き方、絵の見せ方、展開の仕方が、とても緻密に構成されていて富沢さんの手腕を感じました。映画を見た後のような、余韻の残る本だと思いました。

富沢 少し映画は意識していますね。特に出だしは映画のような始まり方にならないかなぁと、思っていましたね。あとは、全体的に、ゆったりとした気持ちで読んでもらいたいと思って、1頁の字数を少なくしたり、写真を3つのコーナーにわけたり、なるべく余裕のある構成にしたつもりです。

——— 今日はありがとうございました。これからも、ご活躍をお祈りしております。

前川さんの写真からは、自然に対する尊敬の念が伝わってきます。「木と同化」するシーンは、前川さんが森に受け入れられた写真家であることの一端を示しているような、そんな気がしてきます。動物たちも、この写真家のことを受け入れて、その結果が彼の写真に現れているのではないでしょうか。前川さんの写真から伝わる自然の力に加え、井上奈奈さんの絵が前川さんの心象風景を描き出し、デザイナー富沢さんが見事にそれを1つの世界にまとめ上げたという1冊。みなさんもぜひ手にとってご覧ください。お問合せはお近くの書店へ。
『クマと旅をする』特設ページへ

【今後の予定】
◆『クマと旅をする』 前川貴行・井上奈奈展
会期:2016 年6 月24 日~7 月18 日
西荻窪 信愛書店 スペースen=gawa
*7月8日(金)18:30〜前川貴行さんトークイベント予定

◆前川貴行 個展
9 月26日~ 東銀座 ギャラリーM84 にて
オリジナルプリント販売に焦点を当てた、これまでとはひと味違う展示の予定。

◆注目作家による「わたしの中の宮沢賢治」展 (井上奈奈さん 出品予定)
会期:2016 年6 月21 日(火)~27 日(月)
会場:札幌三越 本館10 階 三越ギャラリー

◆谷川俊太郎を描く(仮) (井上奈奈さん 出品予定)
会期:2016 年9月
会場:ギャラリーゴトウ 東京都中央区銀座1-7-5 銀座中央通りビル7 階

【PROFILE】
前川貴行 http://www.earthfinder.jp/

動物写真家。1969 年、東京都生まれ。
エンジニアとしてコンピューター関連会社に勤務した後、26歳の頃から独学で写真を始める。97年より動物写真家・田中光常の助手をつとめ、2000年よりフリーの動物写真家としての活動を開始。日本、北米、アフリカ、アジア、そして近年では中米、オセアニアへとフィールドを広げ、野生動物の生きる姿をテーマに撮影に取り組み、雑誌、写真集、写真展など、多くのメディアで作品を発表している。2008年日本写真協会賞新人賞受賞。2013年第一回日経ナショナルジオグラフィック写真賞グランプリ。2014年TBS テレビ「情熱大陸」出演。
主な著作に『WILD SOUL 極北の生命』『GREAT APES 森にすむ人々』(以上小学館)、『animalandscape』(青菁社)、『こおりのくにのシロクマおやこ』(ポプラ社)、『北の馬と南の馬』(あかね書房)がある。公益社団法人日本写真家協会会員。

井上奈奈 http://www.nana-works.com/

画家・絵本作家。京都府舞鶴市生まれ、東京都在住。
16歳のとき単身アメリカへ留学、美術を学ぶ。武蔵野美術大学卒業。
作品は女性や動物を題材とした物語性を感じる絵画を制作。国内外のギャラリーやアートフェアにて発表を続ける。近年では絵本作品を発表、代表作に『さいごのぞう』(キーステージ21・日本図書館協会選定)や『ウラオモテヤマネコ』(堀之内出版)がある。雑誌や書籍の装画なども手がけている。

◆富沢祐次
1968 年東京生まれ。
デザイン事務所ドットスタジオを経てフリーのデザイナーに。
写真集、児童書、スポーツ関連書籍などのブックデザインを中心に活動中。

【取材協力】
西荻窪 本と紙雑貨のセレクトショップ 信愛書店スペースen=gawa
Blog http://kouenjishorin.jugem.jp/?pid=1
Twitter 信愛書店 en=gawa @kouenjishorin


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