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イヌに教え、教えられ 第47回『いけない』を伝えることもコミュニケーション ~家族に吠える犬~

保護団体から引き取ったパールは、とても怖がりなミックス犬。
パールは、ママにベッタリだが、迎えた日に不在だった娘さんを部外者と認識し強く吠える。
リビングを自分のお城のようにテリトリー化し、虚勢を張っている。
娘さんがリビングを動く度に、吠えかかるパール。
仲良くしようにも近づけず、一緒にいてもいい気持ちはしない。
そんな様子に心配になったママは、パールとトレーニングをすることにしました。

 ファーストステップ

『娘さんは「群れ」の一員だとパールの意識を変えていく』
娘さんにパールのお世話を集中させ、他の家族は行わないでもらう。
散歩・食事など、生活に必要なことや楽しいことをしてくれるのは娘さんだとパールに刷り込む。

【それから2ヶ月後の変化】
家に来た頃は、散歩でいろいろなことが怖くて止まってばかりいたパールが、娘さんとなら歩けるようになった。
しかし、リビングで娘さんを吠えることは、、続いている。
そんなパールと娘さんを見守るしかできないママ。
ママに、トレーニングを諦めたい気持ちが見え隠れしていました。

 セカンドステップ

『ママが介入し、パールの吠えを止める』
吠えてからではなく、吠える前に制止する。
娘さんがリビングを動く時、ママがパールに「スワレ・マテ」の指示をする。
パールは、「ウ~ゥ・・」と声が出そうになるも吠えずに我慢できた。
そして、ママはパールをめえいっぱい褒める。
はじめ驚いていたパールも、大好きなママに褒められてまんざらでなさそう。
「これならやりやすい。1日何回?どれぐらいやっていい?」
と、ママも積極的になってきました。

【それから2ヶ月後の変化】
ママの態度に自信が感じられるようになっていた。
早速、リビングでパールと過ごす様子を見せてもらうことに。

娘さんは、動き出す前に「今からキッチンに行くよ」と声を掛ける。
ママは、パールに指示を出し、準備が整ったら娘さんへ「いいよ、オッケー」
娘さんが動いても吠えないパール。
ママが喜び褒めてパールをワシャワシャ抱きしめる。
「声掛けを忘れてしまった時も、パールに「ダメ!」と伝えると止まるようになったんです」と嬉しそうに話すママ。
いざと言う時でも、人の声を聞けるようになりつつあることが、パールの成長の証拠だ。

自分の予定も大事に、上手にやりくりしつつパールとの散歩を続けている娘さん。
パールに「いけない」をしっかり伝え、褒めることも忘れないママ。

パールの顔から険が減って、少し穏やかな顔つきになっていた。
わたしにとって、この変化がなによりいちばん嬉しい。

イヌに教え、教えられ 第46回 犬のトレーニングに大切な人の指導

里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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