フィラリア対策
第1回「フィラリア症を予防しましょう!」
もう本年度のフィラリア症予防接種は受けましたか?暑い季節が近づくにつれ、蚊が増加していきます。そうなると、犬にとって重大な病気の一つ、「フィラリア症」に気をつけなければなりません。フィラリア症は「イヌ糸状虫症」ともよばれ、蚊の吸血を介して犬から犬へ感染して起こる病気です。
フィラリアは成虫になると、犬の心臓と肺動脈に住み着き、血流を邪魔したり、組織を刺激したりすることから心臓はもちろんのこと肺などにも悪影響を及ぼします。
さらに血中に虫体が存在することから肝臓や腎臓など、さまざまな臓器にも害を及ぼします。
そのうえ一度感染し、いざ成虫を駆除しようとすると、外科手術が必要となったり、副作用の強い薬物療法が必要となったり、死んだ虫体が様々な障害を引き起こしたり…と、完治がとても難しく、最悪な場合は死に至ることがあります。
というようにフィラリアは怖い病気ですが、安心してください。正しい予防をすれば必ず防げる病気です。 それでは、どのようにすれば良いかみていきましょう。
フィラリアは、トウゴウヤブカやアカイエカなどの蚊が媒介になり、犬から犬へと感染します。フィラリアの成虫は、犬の心臓に住み着き、幼虫であるミクロフィラリアを血液中に放出します。そのまま、ミクロフィラリアは血中を漂い、その血液を蚊が吸うことで、ミクロフィラリアが蚊に感染します。そして、そのミクロフィラリアは蚊の体内で感染力を持つ段階まで 成長します。そして、その、成長したミクロフィラリアを保有した蚊がほかの犬の血を吸うことで、ミクロフィラリアがほかの犬に移り、感染が成立してしまうのです。犬に感染したミクロフィラリアは、2‐3ヶ月の間に、成長しながら心臓・肺動脈へと移動し、3ヶ月程度で成虫になります。成虫の大きさは20‐35cmほどになり、これらが心臓内などに多数寄生することになったとき、動物にとってどれほどの負担になることか想像できると思います。
フィラリア症はスケジュール通りの投薬さえ行えば簡単に予防できる病気です。毎年、蚊が出現するという時期から考えられた期間に月に一回飲ませる薬、背中にたらす薬、と、6ヶ月予防効果のある注射などがあります。
ただし、これらの予防措置は血液中にミクロフィラリアがいる犬に行うと副作用がでる恐れがあります。したがって、蚊がでる季節の前にフィラリアの有無を検査しなければなりません。もし、フィラリアが確認されたら、その状況に合わせて投薬もしくは治療を行わなければなりません。もし、成虫に寄生されているのに、通常の予防薬を投与してしまいますと、薬剤の種類によっては、死んだミクロフィラリアや成虫により。前述のような急性症状が起きてしまう可能性があるのです。
予防に関しては、フィラリアの子虫の成長と温度には密接な関係があることから必要な期間、そして体重から計算する必要な量が決められます。精密な検査は2‐3年に一度でいいという意見もありますが、以前の予防状況が少しでも不安がある場合は毎年検査してからの予防が安全でしょう。また、子犬の場合は生まれた季節と年齢により、検査の有無、投与できる薬剤の設定がありますので、いずれにしても必ず獣医師に相談の上、予防薬を使用するべきでしょう。
また、コリーなどの犬種では、特定の薬剤に対して耐性がなく、使用できない場合がありますので注意が必要です。
近年では、確実で簡単な予防法で減ってきているのは事実ですが、ほとんどいなくなったのは都会だけで、地方都市ではいまだに広く、蔓延しています。さらに、近頃、地方から犬を連れて都心へいらっしゃる方、移住してらっしゃる方もいることから、都内にはいない、と言い切ってしまうのはかなり危険なことだと考えられます。数十年前は当たり前のようにかなりの割合の犬の死因であったのがフィラリア症です。どうしてフィラリア症を予防するのかを知り、確かな知識をもってフィラリア対策をしてくださいね。
成虫が寄生している慢性のフィラリア症の場合、やせてしまっていたり、栄養状態が悪くなっていたりするため、身体一般状態を改善させながら、咳やアレルギー、血管内反応を抑えるような投薬などの対症療法により、苦痛を軽減しながらの薬物療法が行われます。
しかし、急性の場合は、虫体が直接的で重大な障害の原因となっているため、緊急手術によりフィラリアの虫体自体を摘出しなければなりません。しかし、病状によっては手術を行うことさえ困難なので、かなりの危険を伴うこととなります。さらに、薬物療法により、殺虫ができたとしても、血管中に虫体は残ってしまいます。その虫体が血流を流れてどこかに引っかかってしまうと、それにより重大な副作用が起こってしまうのです。それは成虫のみならず、ミクロフィラリアについても同じことです。この「血管内に寄生する」という性質そのものが、とても厄介なのはこのあたりです。
そして、変形してしまうほど傷害を受けてしまった心臓や血管、肝臓を元の健康な状態に戻すことは不可能です。フィラリアの寄生はそれほど深刻な傷害を体内に引き起こします。
次回は、フィラリアの症状とわたしたちにできることを解説します。
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