ペットの肥満、原因と対策
前編
ペットの肥満の要因は?
近年、ペットの肥満は国内・海外共に増加傾向にあります。人間同様、ペットも肥満には日頃から気を付けておかないと健康を維持できません。なぜなら肥満はやがて、病気に直結していくリスクがあるからです。今回の前編ではまず、ペットの体重増加の要因について考えてみたいと思います。
ペットの肥満は、個体差や環境差に依るものが大きいですが、肥満になりやすい犬猫の種類というのはあるようです。東京都国分寺市にあるオリーブ動物病院の有薗浩見院長は、これまでに来院したペットたちの印象として、次のような種類を挙げています。「まず、犬で肥満になりやすいのは、チワワ、ミニチュアダックス、シーズー、ビーグル、ウェルシュ・コーギー、カバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ラブラドール・レトリバーなどが、比較的太りやすいようです。一方の猫は、種類による差は犬よりも小さいと思えます。食生活、飼い主さんの食事コントロール次第ではないでしょうか。」
太りやすい犬種の中には、元々作られた目的が牧羊犬であるなど、非常に多くの運動量を必要とする種類も含まれています。そのような体質の犬たちがペットとして飼われて、日々、散歩程度の少ない運動量で生活するようになると、当然カロリー消費をしきれずに太っていってしまうということが起こります。
一方、太りにくい犬種というのはあるのでしょうか。
「ミニチュアピンシャーやグレイハウンドなど、足が細く細身の犬種は、その細くてかっこいい外見が重要でもあるので、飼い主さんが太らせないよう、よく気を付けていることが多いせいか、肥満の子をあまり見かけないですね」と有薗先生は語っています。犬種の体質という理由ではありませんが、このように、犬種・猫種の外見によって飼い主さんがペットの体型維持に努めているといった理由もあるようです。
「ペットの肥満の原因は、とにかく食べ過ぎに尽きます」と断言する有薗先生。「要は、摂取カロリーが運動量を上回ってしまっていることが肥満の原因です。日本だけでなく外国でも肥満ペットが増えているのは、ペットフードなど食生活が充実してきたこと、飼い主さんが食事やおやつをあげすぎてしまうことなどが原因でしょう。」
食べる回数や量は、基本的に飼い主さんがコントロールすべきもので、ペット自身は節制できず、食事やおやつを出されれば、どんどん食べてしまいます。特に、一度に多量の食べ物を食べることが少ない猫より、犬のほうが出されれば出されるだけ食べてしまう傾向が強いとのこと。ただし、昨今は犬より猫、特に日本猫の肥満傾向が目立つと有薗先生は指摘しています。
太り出す時期についてはどうでしょうか。たいていの場合、犬猫共に、1歳前後で去勢手術をすることが多いため、ホルモンバランスの変化によって、その後2、3歳辺りから徐々に太り始めるようです。
「動物は発情すると食欲が落ちてきます。しかし、去勢・避妊手術をすると発情しなくなるため、その結果、食欲が落ちる時期もなくなってしまいます。常に食べ続ける状態になってしまい、太る原因になるのです」と有薗先生。
去勢・避妊手術をしてからは、飼い主さんがこうした変化を踏まえて、食事量をうまくコントロールしてあげないといけません。
ペットの体型や病気は飼い主さんに似てくる傾向があるようで、かかる病気も似てくることが現実にあるようです。有薗先生も、「飼い主さんが間食しがちな人で、太り気味の方であると、ペットも同じようになることはあります。なぜかと言うと、そういう人はペットに対しても、ついついおやつをあげてしまう傾向があるからです。飼い主さんが糖尿病で、ペットも糖尿病になってしまったというケースもたびたび見ます。」とペットの間食に対して注意を促しています。「人間の食べ物をペットにあげたり、食べさせる量が多過ぎたり、時間を決めず常にだらだらと食べさせるのはダメ。ペットには空腹の時間と食べる時間のメリハリが必要で、だらだら食べ続けると高血糖が続き、糖尿病になりやすいのです。」
糖尿病に限らず、ペットの体重が標準以上に増加していけば、いろいろな病気や健康トラブルのリスクが増えていきます。そこで次回後編では、肥満によってどのような病気にかかりやすくなるか、どのような対策をすればよいかなどを挙げていきたいと思います。
取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm
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