人間にとって「相手の目を見て」あいさつをすることは普通ですが、犬にとってそれは常識ではありません。「相手の目を見つめる」ことは、犬にとって「相手を威嚇する、される」ことを意味するサイン。じっと見つめられることは犬にとって決して楽しいことではありません。
散歩中、犬好きの人が「かわいいですね~」と犬の目を見つめ、あいさつをしてきたとき、吠える犬を見たことはありませんか?犬にとって悪気はまったくなく、「威嚇されたから、または怖いと感じて」吠えただけなのです。
コマンドをかける前の「アイコンタクト」でコマンド成功確率をアップ させることができます。チャイムに吠える、他犬に吠えるなどの改善トレーニングとして「吠える前に愛犬の注目を引き付けて吠えさせないようにする」など、「アイコンタクト」ができると犬と生活する中で役立つことも多くありますが、それだけでなくまずは愛犬のため「目を見る」コミュニケーションが「威嚇や怖いことではなく、楽しいこと」になるよう、名前を呼んだら犬が喜んで飼い主さんに注目するように練習をしていきましょう。
- ドッグフード、おやつなど愛犬の好きな食べ物を一粒手(誘導に使う利き手)に取り、手の中にあるオヤツの匂いを愛犬にかがせます。
- 愛犬の名前を呼び(コマンドでもかまいません「 例、Look!」)、誘導の手を自分の目の横までゆっくり移動させ、愛犬の顔と目線を上げます。
- 愛犬と目が合ったらしっかりと褒め言葉( 例、Good!、Yes!、いい子!)をかけてから手に持っているごほうびをあげます。1~3を繰り返し反復練習しましょう。
※小型犬の場合、飼い主は立ち膝の姿勢から練習し、できるようになったら立ち姿勢での練習にステップアップするとよりよいでしょう。 - ハンドシグナル(手の誘導)をなくします。ごほうびを持った手は後ろに回し、愛犬の名前を呼びます。愛犬が目線を上げ、飼い主と目が合ったらしっかり褒め、手に持ったごほうびをあげましょう。4を繰り返し反復練習します。
- ごほうびは手に持たないまま(テーブルの上や、ごほうび用タッパーなどに入れておく)、愛犬の名前を呼び、「アイコンタクト」が取れたら、しっかりと褒め、それからごほうびを手に取り、愛犬にあげましょう。
- 飼い主に動きを入れていきます。愛犬は自由にさせ、近くをゆっくりと歩きながら名前を呼び、「アイコンタクト」。できたらしっかりと褒めてごほうび。できるようになってきたら飼い主の動作を大きく、歩くスピードも普段と同じぐらいにして練習していきましょう。
- 慣れている室内でできるようになったら庭先、散歩コース、公園などいろいろな環境でもできるように練習をしていきましょう。いつもと違う場所での練習は犬にとってはハードルが一段上がります。室内でやっている段階から始めるより1、2レベル下げたところから練習を始めるのがポイントです。
WAN!ポイント
- 照れていたら愛犬に伝わらない
- 求めている行動ができたとき、ごほうびだけに頼っていると、「ごほうびがあるときはやります、なければやらないよ」になってしまうことがあります。よく、「うちの犬はおやつがあるとやるけれど、ないとやらないんだよ、まったくしっかりしてるよ」と飼い主さんから聞くことがありますが、それは愛犬のせいではなく飼い主さんの褒め言葉が足りないからです。日本人、特に男性は褒めることが苦手のように感じます。でもそれでは犬には伝わりません。「褒め上手はしつけ上手」。求めている行動ができたときはしっかりと褒めて評価してあげてください。愛犬も飼い主の期待に応えようと頑張っています。照れている場合ではありません。しっかりと褒め、ごほうびだけに頼らない飼い主さんには愛犬もついてきます!
- 日常生活こそがいい練習のシチュエーション
- 「アイコンタクト」ができるようなってきたら、日常生活の中でもどんどん使っていきましょう。普段なにげないときに愛犬の名前を呼んで「アイコンタクト」。飼い主を気にしていないときや愛犬が何かに気をとられているときに「アイコンタクト」。普段から「アイコンタクト」を使っているといろいろな状況で飼い主さんに注目ができるようになり、家族にとって望ましくない行動(チャイムに吠える、他の犬に吠える)の改善トレーニングにも「アイコンタクト」が活躍するようになります。
次回は、6時間目「オモチャ遊びとちょうだい」をお送りします。