トラブル
保護犬と暮らす時 気をつけるべき「脱走」
預かり先やトライアル、譲渡家族先での保護犬の「脱走・迷い犬」
脱走から事故に繋がる可能性も高く、事故があれば犬はもちろん、その保護犬に関わりを持つ人皆が深く悲しみ、苦しみます。
今回は、保護犬の脱走について、体験も踏まえ考えてみたいと思います。
私は、1度保護犬を脱走させてしまった経験があります。
保護センターから引き取り、自宅で預かっていた柴犬でした。
ある朝、私がトイレに行って戻ってきたら居るはずのその子が居ない・・・
玄関の鍵は閉まってる。もしや、開けてあった窓から柵を飛び越えた?
いや、柵の高さから考え、それは無理だろう。
時間だって数分しかたっていない、部屋を再度見回したけれどやっぱり、居ない。
今、この時を振り返れば、私は半分パニックになりながら外に出ていました。
その柴犬は、幸いすぐ近くの公園で匂い嗅ぎをしていました。
しゃがんで呼んだら戻ってきてくれたので、ゆっくりと首輪を掴み、ただただホッとしました。
預かってまだ数日だったこと・反対側が大通りだったことを考えると、事故にならなかったのは、「運が良かった」ただそれだけ。
普段は、人懐っこく、とても大人しいタイプの犬だったので、恥ずかしながら脱走するとは全く考えてもいませんでした。
リードを付けて庭でトイレをさせている時に電話が鳴り、リードを杭に繋いで携帯を取りに行き戻ってきたら、リードは噛み切られて犬が居なかった。
玄関の扉を少しだけ隙間を開けていたら、扉を開いて逃げた。
散歩中、ウンチ処理中に背後を通り過ぎたベビーカーに強く怖がり、急に引っ張ったためリードを離してしまった。
保護犬の脱走の多くは、預かる側・飼い主側からすると予期しない形で逃げてしまったケースも多く、決して甘く考えていたわけではないと思っています。
犬の脱走を防ぐために「すること」「できること」
***これから保護犬を家族に迎えたいと考えているご家族へ
犬を迎える期待と楽しさを感じているご家族に犬の脱走の怖さを伝え、その対策に活かしてもらうことは、簡単でないと感じています。
でも、犬が脱走してからでは遅いのだということは、誰もが容易に考えられることでしょう。
では、犬の脱走を防ぐために「すること」そして「できること」は?
その心構えや防止策をいくつかお伝えします。
《その1》先入観を持たない
保護犬の多くは、どんな環境でどんな生活をしてきたか、どんなことが苦手で、強く反応してしまうか、保護した時にはわからないことも多く、一緒に生活しているうちに見えてくることの方が多いのです。
ずっと外飼育だった子もいれば、元野良犬やブリーダーなどの施設内でずっと生活していた子など、色々な環境で育っています。
今まで飼った犬は大丈夫だったからという先入観を持たないことが必要です。
《その2》二重の防止策をする
室内であれば、玄関前や窓際に脱走防止柵を設置する。
ダブルリードで散歩。
玄関が開いた一瞬に出てしまうことなどを防ぎます。
また散歩中は、ダブルリードにして、万が一1本のリードが外れても逃げない状況を作る。
《その3》慣れてきた頃の油断が怖い
犬が新しい環境や生活に慣れた頃、人は油断しやすく事故は起きやすいものです。
犬の様子を観察し続け、常に万が一を頭の片隅に置いておく。
保護団体のスタッフさんは、里親希望家族の環境チェックをさせてもらう時、脱走の怖さをしつこいぐらい伝え、防止環境作りをお願いしています。
それは、保護犬から迎えることを過剰に心配させたいのではなく、せっかく救った命、できる限りの予防をして犬も人も楽しく暮らせるようにしてもらいたいためです。
ペットと飼おうとする時、「保護犬を迎える」方法を選ぶご家族が増えつつあると感じています。
だからこそ、事故によって保護犬を怪我や亡くすことが減ることを心から願っています。