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殺処分ゼロを目指して~「ちばわん」の活動から~ 第3回 「ちばわん」の活動。

殺処分ゼロを目指して
~「ちばわん」の活動から~

第3回 「ちばわん」の活動 

    


‐具体的にはどのような活動を行っているのですか?

  飼い主のいない犬や猫に新たな飼い主となる いぬ親さんねこ親さん を探す活動が主で、そのために犬親会・猫親会というイベントを開催しています。千葉県動物愛護センターから引き出した犬・猫は、“預かりさん”と呼ばれる一時預かりボランティアの下で家庭犬・猫としてのしつけを受けながら、新しい飼い主との出会いを待っています。
 いぬ親会・ねこ親会は、そんな犬や猫たちの様子を実際に見ていただくことができる場であると同時に犬や猫にとっては、新しい飼い主さんとの出会いの場となっています。現在は都内近郊4ヶ所で行っています(篠崎‐毎月第3日曜日、品川‐不定期・年9回程度、八王子‐年2回、湘南‐年4回、品川のみ ねこ親会を同時開催)。また、千葉県動物愛護センターの清掃ボランティアなどもしています。

ちばわん活動の写真1  ちばわん活動の写真1篠崎でのいぬ親会

‐地域猫活動についてもお聞かせください。

  猫に関しては、TNR(Trap Neuter Return)活動もしています。野良猫を捕獲して、不妊・去勢手術を施し、また地域に帰すという、いわゆる地域猫活動です。野良猫はそのまま放っておけばどんどん増えます。生まれた子どもは愛護センターや保健所などに持ち込まれれば処分されることになりますし、野放しのままの成長すればまた子どもが生まれます。でも、きちんと不妊・去勢手術をすれば野良猫は少しずつ減っていきます。近隣の方々にご理解いただければ、地域猫として、その天寿を全うするまで人間と折り合って生きていくことができるのです。

‐そのほかには何かありますか?

  最近は市町村など、自治体からの相談が増えました。昨年も千葉県庁からの依頼で、亡くなったブリーダーが残した多数のチワワを「ちばわん」を含む3つの団体が協力してレスキューしています。また、東日本大震災以降は被災地のペット関連の支援もしています。

‐被災地には何度も足を運ばれたのですか?

  主に福島ですが、数え切れないほど行っています。6月も3分の1は現地に行っていました(笑)。今のプライベートな時間はほとんど被災地支援に使っている感じです。

‐被災地ではどのような活動を?

  はじめは避難所にペットの餌などの物資を届けることがほとんどでした。今は主にTNR活動を行っています。現在まで、60匹以上の猫に不妊・去勢手術をして放しました。

‐犬についてはどうでしょうか?

  犬に関しては手が出せないというのが現状です。犬を置いて避難せざるを得ない状況だったわけですし、当然犬はたくさんいました。不妊・去勢をしていなければ、新たに子犬が生まれてしまう可能性があります。ただ犬は法律や条令で係留することが義務付けられているため、不妊・去勢手術を施して放すということができないんです。放浪している犬を捕獲して手術ができればいいのですが、捕獲しても保護する施設も預け先も足りないのです。ですから、ちばわんでは被災地の犬の預かり先を募集しています。これは、通常の預かりボランティアとは別の枠で募っています。被災地支援によって、愛護センターの引き出し数に影響を与えないためです。

‐そこが被災地支援の問題点でもありますね。

ちばわん3-1  ペット救済のシステムがまったくできていなかったというのが最大の問題点だと思います。犬を飼っている人がたくさんいることはわかっていたわけですから、行政側も災害が起きた場合にどうするかを想定しておくべきでした。たとえ一時的な措置でも、ぜひ対策を取ってほしいと思います。こんな時にペットのことなんか…という声があるのはもちろん承知しています。でも飼い主にとってペットは家族の一員です。ペットを救済することは人を救済することの一環であるということをわかっていただきたいと思います。

  次回は、ペットを取り巻くさまざまな問題について伺います。

殺処分ゼロを目指して
~「ちばわん」の活動から~
第2回「ちばわん」はこうして始まった。

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~「ちばわん」の活動から~
第4回一匹でも多く助けるためには

扇田桂代

扇田桂代

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(おうぎだ かよ)

ちばわん代表

動物愛護団体「ちばわん」(2002年設立)代表。1975年生まれ。法律事務所勤務。 
千葉県内の多頭飼育現場レスキューから、犬猫の保護活動に本格的に関わるようになる。現在関東全域に散らばるボランティアの協力の下、「殺処分ゼロ」を目指し主に千葉県動物愛護センターから引き出した犬猫の新しい飼い主を探す活動を続けている。

ちばわんホームページ:http://chibawan.net/

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