今回の世界の動物事情は、新型コロナウイルス感染拡大しているアメリカの動物シェルターの状況について、動物虐待や違法行為などに関する「獣医法医学」を修了した認定法医学獣医師であり、アメリカ在住の現役臨床獣医師、シェルターメディシンでもある西山ゆう子さんにうかがいました。
GORON 吉川奈美紀
西山ゆう子さんの情報サイトより(2020年5月1日)
https://yukonishiyama.com/shelter-covid19-preparation/
アメリカの動物シェルターは空っぽ?
新型コロナウイルスが大流行しているアメリカの各地では、行政のシェルターや、個人保護団体のシェルターなどで、譲渡が進み、シェルター内の動物がどんどん減っている、というニュースが日本でも報道されました。
おそらく地域差はあると想像しますが、私の住むロサンゼルスでも、いくつかの愛護団体は、シェルター内の動物が減っていると言っています。
そのニュースを見た多くの方は、「いくら外出禁止令で家にいる時間が長いからといって、衝動的にペットを飼うなんて」「今後失業しても、ずっと飼い続けられるの?」と、思われたかもしれません。
確かに、施設側の発表やニュースを見る限り、「この時期、癒しを求めて犬や猫をもらってくれる方がたくさんいます。おかげでほら、シェルターは空っぽ。うれしい悲鳴です」みたいな報道の仕方です。
「シェルターを空っぽに」というのは、新型コロナ対策のキャンペーン
実は、新型コロナの流行が始まった2~3カ月くらい前から、アメリカの専門家や関係者が集まり、行政や愛護団体のシェルターを何とかしないと大変なことになる、と考えていました。
そして、来る大流行に備えて、今からできる事、今から準備しておかなくてはならない事は何かと話し合われました。
そして出した答えが、「今のうちに、シェルター内の動物の数を可能な限り減らす」ということでした。
権威のある専門委員会や団体が中心になり、そのメッセージを全米の愛護団体や自治体に知らせ、多くがそれに従い実行しました。
なぜ、こうした備えが必要になると考えられたのでしょうか?
それは、今の状況が長期化したとき、動物シェルターで起こることが心配されているからです。
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