世界の動物事情

アメリカのシェルターにおけるコロナ対策「新型コロナウイルス流行が長期化した時に、シェルターで何が起こるか」

西山ゆう子さんの情報サイトより(2020年5月1日)
https://yukonishiyama.com/shelter-covid19-preparation/

新型コロナウイルスが流行、あるいは長期化した時に、シェルターに何が起こるか

具体的には、下記のことが懸念され、また、現在実際に起こっているところもあります。

  1. 寄付金の減少
    経済が鈍化し、失業者が増え、市民は善意の募金をする余裕がなくなります。
  2. 譲渡会ができない
    譲渡希望者のために、市民が施設を訪問することを禁止される。
    実際に今、一般の人が見学できる公共や個人のシェルター施設は、営業が禁止されています。
    譲渡希望者は、インターネットなどを通して譲渡を申し出するしかなく、通常ルートでの譲渡が減少します。
  3. シェルターで働くスタッフ・ボランティアの数が減る
    いつもは出勤していた夫が今はずっと家で仕事をしている、子供が家でホームスクールになる、保育園が閉まる、といったことがあると、いつもはボランティアに通う時間的余裕があった人が、家庭で家族の世話をすることになります。
    スタッフもどうしても家にいなくてはならない、という人も出てきます。
    実際に新型コロナに罹患したり、農耕接触したりして、入院や自宅検疫となる場合もあるでしょう。
    シェルターで働く人の数が、今までのように確保できなくなります。
  4. スペースがなくなる
    これから、自分のペットを飼えなくなった、という人が増えるのは明らか。
    ご自身が死亡した、長期入院となる、失業破産のために金銭的に飼えなくなった、などなど。
    最悪の場合、シェルターが満杯になってしまい、引き取りお断りという事態になってしまうと、どこにも引き取ってもらえないペットが捨てられたり虐待されるかもしれません。
  5. 検疫、隔離の場所が必要になる
    新型コロナの人からペットへの直接感染は、今のところ否定されていても、ペットがウイルスを媒介する可能性を懸念しなくてはなりません。
    それゆえ、新型コロナウイルスと接触した動物(飼い主が新型コロナにかかった)は、従来の在舎動物とは別の、検疫室、隔離室を使わなくてはなりません。
    今まで以上に、多くの個別スペースが必要になり、グループに分けて飼育しなくてはなりません。
  6. 施設の閉鎖などがありうる
    一般的に、アメリカは日本よりも保健所や衛生局などの当局が強い権限を持っており、必要と判断されれば、明日にでもシェルターを閉鎖する指示が出ることもあります。
    不衛生な環境やネグレクトから、閉鎖の命令が出ることもあります。
    寄付金や人員減少、引き取り依頼の増加を考えると、とにかく今、在籍している動物を何とかして減らすことが望ましいでしょう。
  7. 備品、消耗品、個人防護具の深刻な不足。
    消毒薬、クリーニング洗剤、マスク、ガウン、グローブ、、これらは、ヒトの医療現場に第一に送られるべきもの。
    今後、これらの慢性的不足、あるいは絶対不足事態が予想されます。
    施設内で、パルボなどほかの感染症予防対策が、十分にできなくなることも考えます。

アメリカでは、どのような方法でシェルターにいる動物を減らしたのでしょうか?
そこには、緊急事態を考慮した柔軟な対応がありました。

次回へつづく >>

アメリカのシェルターにおけるコロナ対策「新型コロナウイルス渦中にあるアメリカの動物シェルター」

アメリカのシェルターにおけるコロナ対策「これからに備え、緊急事態における柔軟な対応を」

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

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(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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