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災害時のペットとの避難を考える ~アメリカの『スノーボール法』~


今回の記事は、動物虐待や違法行為などに関する「獣医法医学」を専攻し、現在、日本人で唯一の認定法医学獣医師である西山ゆう子さんが、この夏の日本の台風被害や避難所の状況などを見て、Facebookに投稿されていたアメリカでの災害時避難の現状についてご紹介いたします。
少しでも多くの方に知ってほしいと思い、転載の許可をいただき掲載しています。
災害時の避難や避難所、避難場所のあり方。
これからの日本、国として、一個人として、とても参考になるアメリカの事例です。

GORON 吉川奈美紀


日本の台風被害のニュースを、胸を痛めながらアメリカから見た。
被災者の方々には、心からお見舞い申し上げます。
その後の、避難所に関わるニュース(動物の拒否、ホームレスの拒否)など、事実だとしたらなんとも悲しい。やるせない気持ちでいっぱになった。
ある個人の方のブログに、「アメリカみたいに、避難者は必ずペットと一緒に同行しなくてはいけない法律が、日本にも早くできるように」というような文章があった。これは多分、誤情報なので、少しお話したい。
私は災害の専門家ではないが、知っている限りのアメリカの現状をお話したい。間違いがありましたら、ご指摘ください。

写真:アメリカの避難所
https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/133455/lackland-supports-hurricane-katrina-evacuation/

アメリカには、いわゆる「スノーボール法」というのがある。

これは、2005年に、ルイジアナ州ニューオリンズを、大型ハリケーン「カトリーナ」が直撃し、堤防が崩れて、町の80%が浸水被害にあい、約1800人の人が逃げ遅れて死亡した災害に由来している。
ハリケーンの暴風雨と堤防破壊で、市に緊急避難命令が発令された。逃げ遅れた人が多数いて、自宅の1階が浸水し、2階に避難しながら、さらに増水している状態で救助を待つ人であふれた。トラックやボートが多数出動した。
当時、そのような救急隊員のトラックやボートには、ペットを一緒に乗せることはできなかった。人命第一。犬を1匹そこに乗せたら、もう一人、そこに座ることができた人の命を、救えなくなるからだった。
2階で救助を待つ人の中には、「犬も一緒に乗せられないのならば、私は乗らない」と、「乗車拒否」する人が何人もいて、残念ながらその人も犬も、溺死するという惨事が起こった。
また、9歳の男の子が白い小さな犬を抱えて、家族と一緒に急いで避難する時に、「犬は乗せられないんだよ」といって腕から犬を取られてしまった。その後大声で「スノーボール!」と泣き叫ぶ男の子の映像が、全米のテレビのニュースで放映された。そして、災害時に、ペットの乗車を拒否するのは、どうなのか。もう一度法律を見直そう、という動きにつながっていった。
翌年、議会で「災害時、ペットと一緒に避難を希望する人に、ペットの乗車拒否をしてはならない」という法律が出来た。そのため今では、災害時の救助をする時に、「ペットも一緒に」とお願いする人には、ペットを残して人だけ救助することができなくなっている。
もちろん、政府も、人道団体も、動物愛護団体も、災害の時は、ペットと一緒の同行避難を呼びかけている。それは日本も同じだ。
スノーボール法は、決して、ペットと一緒に避難しなくてはいけない、という強制力を持ったものではないのだ。やはり最悪の緊急時には、自分だけ逃げるのが精いっぱい、という場合もあるだろう。同行避難は日米ともに奨励であるが、義務ではないのだ。

+++

ともあれ、避難所となると、アメリカと日本はずいぶん異なるように感じる。
まず、災害時の緊急の避難所は、アメリカでは、基本、ホームレスであれ、非住人であれ、動物同伴の人であれ、誰でも保護することが前提になっている。
まずはすべての人、動物を保護する。短期期間の避難場所である。どうしても動物が多くなったり、ホームレスが多くなったり、宗教的、人種的な摩擦が起きてきたら、その場でベストを尽くして、対処する。避難者も、ホテルではないのだから、ある程度は我慢する。
さらに、長期の避難場所(仮説住宅)などになる場合は、のちにもう少し制限が厳しくなるが、災害時の一時避難場所は、まず、すべてを受け入れる。人道の立場から、これは当たり前のことだろう。
避難所はホテルではないのだ。被災者は多少の不便や迷惑を寛容しながら過ごさなくてはならない。

次頁へ、続く。

「西山ゆう子さんFacebook」より 2019年10月31日転載


西山ゆうこさんは、米国で獣医師として動物たちの医療に携わるかたわら、日本での動物虐待の認知を広めために、SNSでの情報発信や日本国内での講演会をおこなっています。
詳しく知りたい方は、下記URLより情報をご覧ください。
【西山ゆうこさんFacebook】
https://www.facebook.com/dryukonishiyama

災害時のペットとの避難を考える ~アメリカの事例:ペット同行避難のために事前計画を~

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

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(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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