飼い主だから分かってあげたい!
ペットのSOS
Part(3) 歯周病
前回に続き、飼い主が注意しなければいけないSOSのパート3、今回は歯周病についてです。
お宅では、ペットの歯磨きはどうしていますか? 小さい時から習慣づけていれば、抵抗なく磨けるかもしれません。しかし、激しい抵抗を受けて、苦労されている飼い主さんも多く見かけます。
「虫歯の一つや二つくらい…別に命に関わるわけじゃないし」。
そう軽く考えがちなペットの歯。実際にイヌやネコは虫歯の発生はまれとされています。しかし、その一方、約8割のペットが歯周病にかかっているともいわれているほど、ペットの歯は劣悪な環境にあるというのが現状です。動物にとって大切な歯がダメージを受けることは、単に食欲が減るだけではありません。
歯周病の雑菌が傷ついた歯肉から血液中に入り、全身に運ばれていくので、心臓や肺、肝臓、腎臓などに悪影響を及ぼすことにもなりかねないのです。軽く見ていると命を脅かす大変な病気、それが歯周病です。
体の他の部位に感染してしまう最も危険な感染症としては、感染性心内膜炎、肝炎、腎炎などがあげられます。感染性心内膜炎は、病原体が心内膜に付着し、炎症を引き起こすもので命に関わる怖い病気。危険な歯周病は、ケアを怠るという飼い主の単純なケアレスが始まりです。
しかし、その油断がかわいいペットを苦しめる結果になるとしたら? いますぐペットの口の中を、よくのぞいてみましょう。
歯周病のプロセスはこうです。
人間もそうですが、口腔内は不潔になりやすい場所です。食べ物のカスが歯にたまり、大量の細菌を含んだ歯垢が歯肉を刺激して炎症を起こします。この歯垢をそのままにしておくと、唾液に含まれるカルシウムなどが歯の表面に沈着して、やがて歯石が形成されます。歯石が出来上がるまでの時間は、イヌは3日間と短いのが特徴。色は出来始めでは黄緑や灰緑をしていて、ひどくなると茶褐色になります。歯石は硬く、歯と歯肉の間に細菌の住み家となる歯周ポケットという溝を作っていきます。こうして、固まった歯石により圧迫された歯肉に細菌が入って炎症を起こした状態が「歯肉炎」、さらに炎症がひどくなり、歯を支える骨までが破壊されていくのが「歯槽膿漏」。そして、これらを総称した病気が「歯周病」となります。
一般的に歯石がたまった段階では、口臭が強くなったり食欲が落ちたりという症状が見られます。歯肉炎が進むと、口臭はもちろん歯肉が赤く腫れ、よだれが多くなり、歯がグラつき出します。さらに歯槽膿漏へと進むと、歯肉から膿が出たり出血したりもします。
治療方法としては、歯垢・歯石を取り除き、歯の周りを清潔にすること。ただし、いったん歯垢や歯石ができてしまうと、飼い主さんがいくら頑張っても家庭ではキレイには取り除くことは不可能です。病院できちんと除去してもらい、すっかりキレイになったところで、家庭でケアするようにしてください。
病院では、全身麻酔をして、スケーラーで歯石を除去し、研磨剤で表面を磨き歯石の再沈着を予防します。家庭でもできるスケーラーが売られているようですが、研磨まで行わないとまたしばらくたって歯石が付着してしまったり、奥歯の裏や歯茎の境目など細かな部分まで手が届かないため、効果がありません。
歯周病の予防は、こまめな歯磨きです。とにかく小さいころからの習慣づけが大切。1歳半くらいの歯が抜け変わるころを目安に始めるといいでしょう。大人になってしまい、なかなか口を開けてくれないようなら、唇をめくって、ガーゼや綿棒などでヌメリをぬぐうだけでも効果はあります。週2回くらいを目途に行うようにしてください。定期的に病院でチェックしてもらい、そのペットの状態にあったケア方法をアドバイスしてもらえば、より効果的だと思います。
Copyright © GORON by ペット共生アドバンスネット All rights reserved.