動物の多くは体毛に覆われており、汗をかくことができません。特に犬は暑さに弱い生き物です。人間も夏場を快適に過ごすためあれこれ工夫しますが、実は動物のほうがもっと暑さ対策を必要としているのかもしれません。ペットの種類、年齢、住まい、飼い方、周辺環境などによっても異なりますが、大切なペットを暑さから守る効果的な方法や食事について考えてみましょう。
暑さ対策はエアコンが最多
犬猫の飼い主さんを対象としたペットの暑さ対策について、2014年に行われたインターネットアンケートによると、室内での対策をしている人が約3割、そのうちの7割強がエアコン対策をしているという回答でした。次に日差し除けのカーテン、扇風機と続きました。
まず、暑さ対策を立てる際には、外出時の室内温度がどれ位になっているのかを把握しておく必要があります。窓を開け放して外出できる地域もありますが、防犯上の理由から窓や戸を閉めざるを得ない地域もあり、その場合、室内が思わぬ高温になっていることもあります。
エアコン使用に関して、オリーブ動物病院(東京都国分寺市)の有薗浩見(ありぞのひろみ)先生にお聞きしました。
「犬は暑がりなので猫の場合よりも低めの温度設定がよく、適温は24-26度位と言われています。猫は寒さが苦手なせいかクーラー嫌いの子も多いです。ただ、猫でも留守番中に室温が30度以上になってしまうような場合は、もう少し高めの温度設定にして、エアコンを入れてあげたほうがよいでしょう。」
ひと昔前と違い、飼い主さんの熱中症対策に対する知識や理解も深まり、多少電気代がかかっても、外出時はエアコンをつけていく人が多くなったそうです。「扇風機は空気を循環させるという目的ならいいのですが、室温自体は下げられないため、ペットにとって直接的な効果は薄いです。また、ペットに直接風を当てるのは、クーラーでも扇風機でもよくありません。」
室外での対策
屋外に犬小屋を置く場合は、可能な限り直射日光の当たらない北側や、地面がコンクリートではない土や芝生・草のある場所に設置することで暑さをしのげます。小屋全体をヨシズやグリーンカーテンで覆って日差しをガードするのも効果的。床は、スノコを敷いて足元の通気性を良くすることで随分涼しくなります。
また、犬は毛を短めにカットしてあげると夏場の暑さが軽減します。ただし、刈り過ぎると屋外では虫刺されや日焼け、ケガの原因にもなりますので、皮膚を保護するために適度な長さは残しておきましょう。
室内での対策
室内ではエアコン使用が最も効果的ですが、市販のタイル風冷却板や冷却マット、窓用断熱シート、ブラインドや遮光カーテンなどもエアコンの効率を上げたり、補助的なものとして役立ちます。ただし、「冷却シートやタイル類は、冷たさを感じられる短時間の効果で、体温を下げることはできません。」と有薗先生。長時間の効果があるのは、やはりエアコンだそうです。
また、室内でも屋外と同様に、最も日当たりが悪い涼しい場所にケージやサークルを置くようにします。可能であれば、室内のドアを開けて室温の上昇を防いだり、ペットが涼しい場所に移動できるような余地があればなおよいでしょう。
夏のフードの注意点
ペットは通常、冬場は食事量が増え、夏場は1-2割程度、減る傾向にあるようです。また、人間も夏場は水分の多いものが食べやすくなるのと同様、暑さで食欲が落ち気味のペットには、少し手を加えてやることで食欲増進につながることもあります。
例えば、いつもドライフードを与えているなら、ウェットフードと混ぜたり、良質のたんぱく質であるささみを茹でるなど、手作りフードに挑戦したりして、よりペットの食欲をそそるものを出してあげるとよいでしょう。
夏場の食事の注意点として、有薗先生は次のようなことを挙げています。「犬は氷やアイスなどを与えると喜びますし、どんどん食べたり飲んだりします。でも、冷たいものの与え過ぎには気を付けてください。夏でもフードや水は常温で与えるのが基本です。冷えから消化不良を起こし、下痢で脱水症状を起こす可能性もあります。」また、「犬の場合、夏場は常温でポカリスエットなどのイオン系飲料を2倍以上に薄めて飲ませるのもよいでしょう。脱水の初期症状は見た目では分かりづらいので、とにかく水を欠かさず与えることに気を付けてください」とアドバイスしています。
取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm
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