乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
馬を減量させたい時にどうすれば良いか?
後編は、具体的な方法などご紹介していきます。
馬の肥満のリスク
まず、肥満の馬のリスクを知っておきましょう。
- 関節、腱、靱帯、蹄にさらなる負担がかかり、怪我の可能性が高まります。
- 心血管能力の低下
- 蹄葉炎やクッシング病などの代謝障害の可能性が高くなります。
- 体が冷えにくくなる
- 脂肪腫は疝痛のリスクを高める可能性があります。
馬が太り過ぎか?を見分ける方法
馬が太りすぎているかどうかを見極めるためにはボディコンディションスコアを使用したり、獣医師の判断を仰きましょう。
減量するときに気を付けること
馬の体重が減少するまでにかかる時間は、
・どの程度痩せさせる必要があるか?
・馬の身体能力
・運動の頻度
によって大きく異なります。
たとえば、基礎疾患のない健康でやや太りすぎの馬は、跛行の病歴がある肥満の馬よりも早く体重を減らすことができます。
馬にとって食事は身体的な健康のみならず、心の健康のためにもとても大切なものです。
単純に飼料の量を減らす事は馬にとって辛いものです。人間と同じ様にストレスとなります。
摂取カロリーは減っても量が明らかに減らないように、栄養価や「かさ」を考えてあげましょう。
食べづらくなっている小さな穴のヘイネットは馬がゆっくり食べるのでおすすめです。
少しずつ長く食べ続けることができ、消化管を通って飼料が移動し続けるためより健康的です。
穀物などの濃縮飼料の摂取を徐々に減らしていきますが、馬が十分なビタミンやミネラルを摂取できるようにしてください。
馬の体重を減らすためのサプリメントもあります。
・クロム(微量ミネラル)
・L-カルニテン(アミノ酸)
・亜鉛(微量ミネラル)
クッシング病や馬メタボリックシンドロームなどの代謝異常が原因で馬が太りすぎている場合は、獣医師と相談の元サプリメントを使用することも良いと思います。
大切なのは運動
食事量の調整より運動量を増やす事で減量できる事が理想的ですが、肥満の馬は急激に運動量を増やす事が難しい場合もあります。
食事量の調整と運動量の調整は一気に行わず、徐々に減らし、徐々に増やしていく様にし、ストレスや怪我を予防します。
馬が体重を減らすのに最適な運動はハードに走る様な運動ではなく、常歩や速歩での調馬索、あればウォーキングマシンも良いです。
人間に置き換えるとウォーキングや軽いジョギングの様な有酸素運動です。
ウォーミングアップとクールダウンの時間はより意識的にしっかりととりましょう。
馬の減量は基本的に人間と同じ考え方です。
人間と違うところは、馬にその意思がないということ。
食事量を減らせば馬は割と簡単に痩せますが、馬にとって1番の楽しみである食べる事を奪うのではなく、人間が工夫して馬のストレスにならない形で健康的な減量をしましょう。